こんにちは!FIKA広報です。
今回から2回に分けて、代表・福山 大樹(ふくやまひろき)のインタビューを通して、実体験から現在に至るまでの創業ヒストリーをお届けいたします。
訪日外国人向けホステル「UNPLAN」を中心に、複数の事業を展開しているFIKA。その根底には、「人が集まる場をつくる」という代表の一貫した思いがあります。
その思いはどこから生まれたのか。代表の幼少期の原体験から、創業、そしてUNPLANの価値に至るまでを聞きました。
海外と旅が身近にあった幼少期
——まず、幼少期について教えてください。
父が海外のスキーウェアを日本に紹介する仕事をしていたこともあり、家には外国人の方が日常的に訪れていました。小さいころから、外国人が家に来ることが当たり前の環境の中で育ったので、海外の人と接することは特別なことではありませんでした。
さらに、家族も旅行が好きだったこともあり、小学生の頃にはヨーロッパを訪れ、中学生の時にはアメリカでホームステイもさせてもらう機会に恵まれました。このように、幼い頃から、海外との接点はたくさんある状態でした。
また、父は山形・蔵王でスキースクールの校長をしていたので、長期休みは父親と山で過ごすことも多かったです。全国から人が集まり、同じ時間を過ごす場所にいるのが当たり前でした。
——今の事業にもつながっていそうですね。
そうですね。振り返ると、旅やスキーは原体験としてかなり大きいと思います。
それから、幼い頃に父からよく言われていた言葉があります。
「ルールは所詮、人がつくったものだ」
当時は深く考えていなかったのですが、大人になってからすごく意味が分かるようになりました。決められたものに従うだけでなく、必要であれば変えていい。自分で考えて、自分で選択していいという感覚は、この言葉から来ていると思います。
そして、働き方についても影響は大きかったです。母は祖父の会社の役員で、父もフリーランスのような働き方。親族にも経営者が多く、いわゆるサラリーマンとして働く人がほとんどいない環境でした。
なので、会社に属し続ける人生は、あまりイメージしていませんでしたね。
“やらないこと”への恐怖が、起業を後押し
——大学卒業後はソニーに入社されていますが、当時から起業は考えていたのですか?
はい。もともと長くいるつもりはありませんでした。大企業で学んだあと、早く自分で事業をやりたいと思っていました。
ただ、実際には想定より長く、6年間在籍していました。仕事にも慣れてきて、環境にも順応していく中で、「このままでいいかも」と思ってきました。
けど、この思いが一番怖かったです。大企業に居心地良くなってた自分にちょっと焦っていたんですよ。このままだと、「自分は挑戦しなくなる」と危機感を覚えました。
さらに、29歳のときに父が亡くなったことも大きかったです。「やりたいことがあるなら、後回しにしてはいけない。今しかない」と強く思いました。
安定したキャリアを手放すことに不安ももちろんありました。ただ、それ以上に「やらないこと」の方が怖かったです。
「ホステルはゲストとの距離が近い。」ホステルを選んだ理由
——なぜホテルではなく、ホステルだったのでしょうか?
最初は、旅行者に向けて日本の体験をアップデートさせるために、観光案内所のようなものをやりたいと考えていました。訪日外国人の方が日本で快適に過ごせるようにサポートしたいと思っていたんです。
ちょうどその頃、東京オリンピックの開催が決まって、日本全体が国際化に向かっていく流れがありました。駅の英語表記が増えたり、中国語や韓国語の案内が整備されたり、ユニバーサルデザインが東京に増えてきた時期です。
それまでの日本は、まだ海外の方にとって旅行しやすい国とは言えませんでした。
「成田からどうやって東京に行けばいいのか分からない」という声も多かったです。
今でこそ訪日外国人は4,000万人規模になっていますが、当時はまだ1,000万人ほど。東京オリンピックも決まりましたし、これから確実にインバウンドは伸びていく、絶対に盛り上がる領域だと感じていました。
同時に、日本の経済についても考えていました。今後、日本の経済力は相対的に弱くなっていくであろうと。その中で、海外からお金を稼ぐ仕組みをつくる必要があり、外からドルを稼げるビジネスをやるべきだと思ったんです。
そうした背景もあり、インバウンド領域で事業をやることは自然な選択でした。ただ、観光案内所だけではビジネスとして成立しない。そこで考えたときに、「滞在」と「体験」を一緒に提供できる形として、ホステルにたどり着きました。
ホテルではなくホステルを選んだ理由は、ゲストとの距離の近さです。「人と人が自然につながる場所」をつくりたかったのが大きいです。
ホステルはゲストと距離が近いので、観光案内所のようなこともできますし、訪問したゲスト同士やスタッフとの交流が生まれやすく、その場で友だちになることも多い。これがすごく面白いと思ったんです。
旅の体験により関わることができ、旅のプラットフォームになるには、ホステルが最適と考え『UNPLAN神楽坂』をオープンしました。
「困難は会社を筋肉質にする」創業期、そしてコロナ禍の危機
——創業後は順調だったのでしょうか。
いえ、むしろかなり厳しいスタートでした。
ホステル開業にあたっては、約1.2億円を借り入れ、さらに20年契約で月200万円以上の家賃を背負うことになりました。契約書にサインする時は、正直かなり怖かったですね。
しかし本当に大変だったのは、その後。
初月で500万円の赤字、2ヶ月目も300万円の赤字。さらに、6人いた社員のうち5人が退職するという状況になりました。お金が尽きるかもしれない。あの時はとても怖かったです。
それでも、やめるという選択肢はなく、「やるしかない」という状態でした。コストを削減し、事業を続けるためにできることを一つずつ積み重ねていきました。
できることをコツコツ実行していき創業から約6年、それ以上に苦労したことはコロナ禍です。
訪日外国人がほぼゼロになり、売上は大きく落ち込みました。一方で固定費は変わらず、厳しい状況が続きました。当時はもう耐えるしかなかったですね。正直、かなりきつかったです。
それでも、諦めることはしませんでした。この困難を乗り越えたら、他の会社より強くなれる!と思って粘りました。この辛さをバネに会社も自分の筋肉質になれる!と思って。
この辛い経験を通じて、大きく変わったことがあります。
大抵のことは、なんとかなると思えるようになりました。ある意味、自分自身も精神的にすごい強くなったと思います。
——確かに、新店オープン日が迫る中、工事や開業準備が予定通り進んでない時も落ち着いていらっしゃいましたもんね。
そうですね(笑)
慌てても何も変わらないですし、冷静にすることが大事かなと思います。
焦ったとしてもいい結果にはならないですしね。
「人と人との偶然な出会いを生み出す場所」であることがUNPLANの価値
——UNPLANが提供している価値は何だと思いますか?
一番は、「人との出会い」だと思っています。
旅行で記憶に残るのは、そこの景色や食事だけではなく、「誰とどんな時間を過ごしたか」なんですよね。実際私も、旅の思い出としては、一緒にいた人の表情や笑顔、会話した内容、喧嘩したことなどを鮮明に覚えています。
UNPLANをつくるにあたって、もともと自分自身の旅の経験がすごく影響しています。海外旅行を通して、人生観の変わる体験がたくさんありました。
例えば、学生の時にあまりお金がなかったのでトルコにあるカフェでチャイだけを注文して長時間お店に居座っていたことがあったんです。何も言わずにおかわりをくれたり、結局お金を取られなかったんですよ。日本ではあまり考えられないですよね。
また、エジプトのレストランではサラダに虫が入っていたこともありました。店員さんに伝えたら、手でつまんでそのままポイと捨てて終わりで。「えー!そういうものなんだ」と唖然としたのを覚えています。
場所が違うとこんなに価値観が違うんだ、と実感しました。
シリアを旅したときも印象的でした。バスに乗ろうとしても、定刻という概念がない。乗客が満員になったら出発するんです。
僕が席に着いて、2時間経っても、席が満員になっても出発する気配がなくて、いつ出発するんだろうと思っていたら、通路に椅子をどんどん置き始めて。補助席でもなく、普通のスタッキングチェアを並べて、それも満席になったらようやく出発したんです。
道中にお水のサービスもあったんですが、それもペットボトルをみんなで回し飲みだったんです。日本では考えられないことばかりで、カルチャーショックはたくさんありましたね。
こういう経験を重ねるうちに、たいていのことには驚かなくなりました。
さらに、違うことが起きたときに、それを「良い・悪い」で判断しなくなったというのも大きいです。
考えが違う人とは、「この人はこういう考え方なんだ」と一旦受け止めて、その上で自分はどうするかを考えるようになりました。
中高時代にも「常識を疑え」と学校で教えられていましたし、前述したように父からも「ルールは所詮人がつくったものだから、時代に応じて変えるべき」と言われていました。
父からの言葉と旅の経験により、常に「これって本当に合理的なのか?」と考えるようになりました。
あと、よく思うのは、「10年後から見たら、今の問題は大抵解決している」ということです。そうやって俯瞰して考えると、目の前のトラブルにも過剰に動じなくなります。
こうした、今までの旅の経験や考え方が、困難に対するマインドセットにつながっています。
価値観が違う人同士が出会って、会話をして、時には驚いたり、学んだりする。そういう体験こそが、旅の本質だと思っています。
そのために、宿泊者同士やスタッフとの交流が自然に生まれるような設計を大切にしています。単なる宿泊施設ではなく、「価値観が交わる場所」であること、「人と人との偶然な出会いを生み出す場所」であること。それがUNPLANの価値です。
創業ストーリー(後編)へ続く。
後編では、「プロデューサーを生み出す」という福山さんの思いや、海外との接点を生み出す場としての役割、そしてFIKAで働くということの意味、今後の展望についてお伝えします。
後半の記事はこちら↓
(取材・文:藤村、岡空)
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