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「貧困なんてあるの?」と聞かれる状態から、仲間を巻き込むまで。自ら率先して活動する、ロータリークラブ会長の姿

「貧困なんてあるの?」と聞かれる状態から、仲間を巻き込むまで。自ら率先して活動する、ロータリークラブ会長の姿

東京都文京区で行っているこども宅食は、文京区民の方で、経済的に支援を必要とする子育て家庭に食品をお届けする事業です。食品の多くは、企業や団体からのご寄付でまかなっています。

こども宅食(東京都文京区)とは


こども宅食は、経済的に厳しいご家庭に、食品を届ける事業です。フローレンスと文京区、企業、NPOの合計7団体が協働して運営しています。

2017年10月に150世帯に対して事業を開始。2018年度は570世帯に、2ヶ月に1回ご自宅に食品を届けてきました。


こども宅食は、食品の配送が一番の目的ではありません。食品の配送を定期的に行うことで、ご家庭を見守り、いち早く困りごとをすくいあげ、必要なサポートにつないでいくことを大切にしています。

今回、こども宅食に寄付とボランティアの形でご協力いただいたのは「東京小石川ロータリークラブ」。

「ロータリークラブ」という名前は耳にしたことのある方が多くても、実際にどのような活動をしているのかは、見えない部分もあるかもしれません。

そこで、東京小石川ロータリークラブの会長、本村さんにお話を伺いました。お話から見えてきたのは、自らが率先して動き、泥臭く地域に貢献していく姿でした。


ご家庭にお届けするお米の仕分けをされる本村さんの様子

――どういった経緯でご寄付いただけることになったのでしょうか

文京区の成澤区長から、お声がけいただいたことがきっかけです。

ちょうど東京小石川ロータリークラブの中で、文京区内に貢献する事業を検討していた時のことでした。

これまでも様々な社会貢献事業をしてきたのですが、その一つとして、こども宅食の支援ができないかと考えました。

――東京小石川ロータリークラブでは、今までどのような社会貢献事業をされてきたのですか

「ロータリークラブって、何をやっているの?」とよく聞かれるのですが、実は見えないところで、様々なボランティアを行っています。

例えば、苗木から木を育て、赤城山麓に植林する活動は3年連続で実施しています。また、少年野球の後援や、カンボジアの地雷除去の支援もやってきました。世界全体のロータリークラブとしては、ポリオという小児麻痺を世界からなくすための活動をしています。

――今回は、ご寄付とボランティアを両方されていますよね。何か意図はあったのでしょうか。

各地のロータリークラブの寄付を、国際ロータリークラブが集約することが多いんです。そうすると、寄付した後の活動が見えないんですよね。

ただお金を渡して終わりではなく、その後の活動まで見届けたいと思ったんです。

また、「地域」というのも、キーワードですね。文京区の地域貢献として、自分たちに何ができるだろうかと考えました。

こども宅食の利用家庭からは、お米が一番喜ばれると聞いたので、今回はお米を寄付することにしました。


お米の搬入の様子。本村会長自ら、現場に立ち会いました

小石川ロータリークラブでは、毎週金曜日に昼食例会を開いています。

実は、ご家庭にお届けするお米は、昼食例会の中でみんなで食べ比べをして決めたんです。どのお米が一番喜んでもらえるか、会員みんなで話し合いました。

このようにお米を選ぶプロセスに関わってもらうことで、こども宅食の活動自体にも関心を持ってもらえるように工夫しました。


――東京小石川ロータリークラブの皆さんは、最初から「こども宅食」に関心があったのでしょうか

最初にこども宅食の話をした時には、「文京区に貧困なんてあるの?」と言われましたね。

そこで、最初に、文京区の子育て家庭の状況を伝えることにしました。なぜ文京区でお米を寄付する必要があるのかを理解してもらいたいと思ったからです。

東京小石川ロータリークラブでは、毎週ゲストを呼んで、勉強会をしています。

その勉強会に、文京区の子育て支援課長に来てもらったんです。

そこで、裕福なイメージのある自治体だからこそ、経済的に厳しい状況を周りの人たちに言い出せずに、孤立してしまいやすいと教えていただきました。

子育て支援課長からの説明を通じて、全体の理解が深まったように感じています。

その結果、「ご家庭に届けるお米の小分け作業に、ボランティアで参加してください」と呼びかけた時には、たくさんの会員が手を上げてくれました。

ボランティアの日程を5日間設定していましたが、たった2日で終わってしまいました。

――こども宅食で届けるお米の小分け作業は、「リアン文京」に委託しています。リアン文京は「就労継続支援事業B型」という障害者福祉施設で、障害などの理由で企業で働くことが難しい方に対して、生産活動などの機会提供を行っています。一緒に小分け作業をされてみて、いかがでしたか?

リアン文京での小分け作業を実現できてよかったです。

子育て家庭への支援を考えていたので、当初は、障害者施設でのボランティアは思いつきませんでした。

そんな中で、文京区から地元のリアン文京を紹介いただき、小分け作業の実現に至りました。


障害がある方とペアを組んで、一つひとつ、お米の重量をはかる中で驚いたことがあります。

それは、障害のある方が一つひとつ丁寧に重さを測っていたことです。


真剣に重量をはかる様子

我々だけで作業をしていたら、きっと効率重視で、早く終わるやり方を模索していたと思います。効率だけが大切なことではないんだなと気づかされました。

ボランティアに参加した、東京小石川ロータリークラブの会員も新鮮に感じていたようです。


障害がある方に対して、どのように関わればいいのか分からない人も多いと思いますが、「障害がある方だから」と意識するのではなく、その方々の良さを引き出せるような社会にしなければいけないと感じました。

自分と一緒に作業をしてくれた方が、たくさん話しかけてくれて。それもすごく嬉しかったです。

リアン文京で障害がある方たちと関わったことで、事業への理解が深みを増しました。

小分け作業への参加を通して、自分たちの寄付がどのように役立つのかを見届けることができて、本当に良かったです。


――今後は こども宅食 とどのように関わっていきたいですか

ロータリークラブには、社会的な活動に向けた補助金制度があります。

補助金制度に申請し、何らかの形で、こども宅食を支援できないかと画策しているところです。次の会長にバトンタッチしてからも、継続的に応援していきたいと考えています。

今回はお米の寄付という形でしたが、また違う形でこども宅食と関わることもできると思います。来年は、東京小石川ロータリークラブが50周年を迎え、記念コンサートを開きます。そういった場所にご家庭を招待してもいいですね。

また、文京区内にはロータリークラブが4つあります。各地域のロータリークラブとも連携して、支援の輪を広げていけたらいいなと考えています。

まずは、各地のロータリークラブが集まる活動報告会の中で、こども宅食の活動を報告し、我々のクラブが一番最初に感じた「文京区に貧困なんてあるの?」という疑問から払拭していこうと思います。

――どれも実現できると嬉しいアイディアばかりです。引き続きこども宅食への参画をお願いします。

こども宅食では、東京小石川ロータリークラブのように、食品や物品などのご寄付をいただける方を募集しています。ご興味のある方はこちらまでご連絡をお願いします。

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