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ついに、都内の民間バス全線で「二人乗りベビーカー」の乗車が解禁!一人のママ社員が社会を変えるまで #助けて多胎育児

Photo by にむ on Unsplash

フローレンスでは、スタッフの市倉を中心に2019年に全国約1,600世帯の多胎児家庭にアンケートを実施し、そのアンケートに寄せられた当事者の声をもとに、多胎育児支援の政策提言を行ってきました。

特に「多胎育児中に『辛い』と感じた場面」について、89.1%が「外出・移動が困難である」と回答し、二人乗りベビーカーに子どもを乗せたまま、公共交通機関であるバスにも乗車できない状況が明らかとなり、この声を国や行政に届けてきました。

その多胎児育児支援アクションの成果として、「双子ベビーカー(二人乗りベビーカー)の折りたたまないままでの乗車」が、都内民間バス会社全線で、解禁されることが決定しました!

多胎育児の壮絶な育児実態を世に訴えた記者会見から2年、ついに都内の景色が変わる

2019年11月7日に厚労省で全国多胎家庭1,600世帯のアンケート調査を報告し、壮絶な多胎育児の実態を世に訴えた記者会見から2年が経とうとしていた11月某日。

〈参考リンク〉【11月児童虐待防止月間】#助けて多胎育児 全国多胎家庭1,591世帯の実態アンケート調査報告 壮絶な多胎育児の実態が明らかに


多胎育児支援のソーシャルアクションの中心となって日々活動しているフローレンススタッフ・市倉のもとに、突然の電話がかかってきました。

「本日、東京バス協会の上田理事長が都議会にいらっしゃり、本件への進捗を教えてくださいます」

驚く市倉。
「こんな予定じゃなかったからミリタリーシャツ着てきちゃった……大丈夫かな?とりあえず行ってきます!」と言いながら、急遽、都議会に向かいました。


都議会での東京バス協会の報告の冒頭、上田理事長から

「都内の全民間バス会社のノンステップバスで、2人乗りベビーカーが折りたたまずに乗れるよう、準備を進めている。完了した会社から順次運用をスタートし、来年3月には、全ての民間バス会社で2人乗りベビーカーは折りたたまずに乗車が可能になる」

と嬉しい言葉が!

市倉は、話を聞きながら、一昨年の夏に友人から「双子ベビーカーってバスに乗れないんだよ」ってLINEで教えてもらったときの衝撃を思い出していました。


実際のLINE画面。双子ベビーカーがバスに乗れないなんて事実を、市倉が知らなかった時代。

「二人乗りベビーカーは、バスに乗れない?公共交通機関なのに?そんなのおかしい!」

そこから、怒涛の陳情、陳情、陳情、、、、。


市倉は「なぜ『二人乗りベビーカーをバスに乗せる』、ただそれだけのことに、こんなに時間がかかるんだろう」と挫けそうになったこともあったと言います。

でも、双子や三つ子などの多胎児の親御さんたちの『バスに乗って子どもたちとお出かけしたい』という気持ちを叶えたい。その一心で頑張ってきました。

多胎妊娠は出産までの過程で多くのリスクが存在するため、NICUなどの設備が整った指定病院でないと出産ができません。
多くの場合、出産後の検診はその指定病院で受ける必要がありますが、二人乗りベビーカーでのバス乗車がかなわないということは、適切な医療を受ける機会を子どもたちから奪う可能性もあります。

また、気軽に外出できないことで、子育て中の孤立化を招き、虐待などのリスクも高まります。公共交通機関へのアクセスは、本当に大切なことなのです。

市倉が始めたこのソーシャルアクションですが、最初は多胎育児をしているご家庭の切実な声を訴えても「様々な点から考えると、難しい」……そういった曖昧な返答でした。

しかし、次第に「どうすれば安全に乗れるか検討している」となり、段々と「どうにか双子ベビーカーユーザーに寄り添った対応をしたい」という方向性に変わってきました。

今年6月、まずは都営バス。
そしてこのたび、都内の民間バス会社と、二人乗りベビーカーのバス乗車の動きが広がったことは、本当に喜ばしいことです。

市倉の活動を熱心にサポートしてくれたとある都議さんは、民間バス各社が専用ベルトをスムーズに購入できるよう、東京都へ取り計らってくださいました。ベビーカーで都営バスに乗れたことを喜ぶ親子の声を聞いて、「これは絶対に東京都全体に拡げなきゃいけないね」と言ってくれていました。

東京都内の民営バス各社で、今年度中に、二人乗りベビーカーでのバス乗車が解禁されます。すでに固定用の専用ベルトは各社購入済で、乗務員研修や、周知の準備をしているそうです。

東京都内で、2年前には諦めていた景色が、もうすぐ変わります!!

今後もフローレンスは、東京都内だけでなく、日本全国のバスで二人乗りベビーカーのバス乗車が解禁されるよう、引き続き社会に提言していきます。

多胎児家庭にとって心地よい社会は、全ての人にとって心地よい社会

多胎育児のソーシャルアクションの中心人物となった市倉は、いつも多胎児家庭の事をお話をする時、「多胎児家庭だけを特別扱いしてほしいわけじゃない。マイノリティに光を当てられる社会は、結局は全ての人にとって優しい社会なんです」と伝えています。

駅のエレベーター配置が進めば、高齢者や足の不自由な人が使いやすい駅になります。窓口に行きにくい家庭のために行政のサービスのIT化が進めば、皆の手間が省けます。乗り物への乗降に時間がかかる人を暖かく見守れるような社会は、きっと他者に思いやりの溢れる社会のはずです。

フローレンスでは、親子の笑顔を妨げる社会課題を、事業と政策提言によって解決しています。
これからも子育て世代や保育現場の声を政治に届け続け、新型コロナの影響で苦しい状態にある家庭のために、提言を続けてまいります。

このようなソーシャルアクションは皆さまの寄付によって支えられています。引き続き、ご支援、応援をよろしくお願いいたします。

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