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核融合を研究する京大院生が、注目ITベンチャーの内定を辞退してSun*でインターンを始めた理由。

11月からフランジアのハノイオフェスで、エンジニアとしてインターンを始め、現在某有名電子書籍サービスを提供している会社のプロジェクトに入っている安井春輝。彼は京都大学の大学院を休学して、有名ITベンチャーの内定を辞退し、海外で経験を積むことを選んだ。なぜフランジアでのインターンを選んだのか。大学に入ってからの暮らしぶりとこれまでの経緯、今後のビジョンについて語ってもらった。

アイスホッケーに捧げた学部時代

出身は愛知県で、小中高と一般的な公立校に在籍したあと、大阪大学の基礎工学部に合格しました。

中学・高校は卓球部に所属し、大学では、自分の甘さ常識のなさチームでの活動経験の少なさを改善したいと思い、体育会のアイスホッケー部に入部しました。大学四年間のほぼすべてをアイスホッケーに捧げ、二年次の最後の大会からレギュラーを獲得、四年次には副将を務め、最後の大会では実力以上のパフォーマンスをチームが発揮し、引退試合で格上相手に勝利することができました。



(アイスホッケー部の集合写真。最前列右から4人目が自分です。)

大学院で抱いた疑問

部活に明け暮れる4年間を過ごし、なんとか大学は卒業しましたが、大学院試験の準備を始めたのが遅すぎたため、大阪大学の大学院院試験の1ヶ月後にあり、かつ試験科目も自分が勉強したことに近い京都大学院のエネルギー科学研究科を受けて、合格しました。

大学院に入学して研究を再開したものの、学部生のときから自分はただ教授に言われたことだけをやっているだけで、全く楽しめておらず、本当にこのままでいいのだろうかと常に疑問を抱いていました。

大学の研究室では、より硬いアルミニウムを生み出す研究を行っていましたが、僕の隣の席の優秀な生徒はカーボンの研究をしていて、明らかにアルミニウムよりカーボンのほうが素材としても優れていて、自分はなんのために研究しているのかと疑問を持ちました。

大学院では核融合を使い、電力発電をするという壮大な研究をしていたのですが、自分たちが生きている間にはこの技術は実現しないと言われ、では自分はなんのために研究をしているのだろうかと思っていました。

自分が納得できることに人生の時間を使いたい」という自分の中での思いと、現実との矛盾を感じ、このまま好きでもない研究の推薦で就職することに漠然とした不安を感じていました。そんな頃に学校で就活イベントがあり、他の選択肢を探そうとサマーインターンへの応募を始めました。

インターンを機に総合職として内定を決める

サマーインターンでは、三菱商事やDeNA、JT、ドリームインキュベータ、リクルート住まいなど合計13社のインターンに参加しました。サマーインターンは部活のように、とても刺激的で学びもあり、楽しいものでした。そして、自分の人生にとって「チームで活動すること目的に共感できること」こそが大切であると自覚することができました。

このサマーインターンをきっかけに、自分が心から共感できる問題を解決することに人生の時間を使いたいという思いが強くなりました。そして、もしこのまま流れに従って大学院に通い続け、研究室の推薦先に就職しても自分は納得できないと確信し、休学という選択に踏み切りました。

就職先を決めるにあたり、これまでに出会った企業を振り返り、落ち着きがありながらも熱さがあり、組織や人が魅力的で居心地もよかったとあるITベンチャーを志望し、総合職として内定をいただきました。


(リクルート住まいのサマーインターンの打ち上げでの1枚。とてもいい経験をさせてもらいました。)

ずっと憧れていたプログラミングの勉強をスタート

ITベンチャーでの内定が決まり、残りの生活をどのように過ごそうか悩んでいた時に、たまたま学生割引がされているTECH::CAMPの広告を見つけました。大学時代もプログラミングの授業はありましたが、部活に明け暮れていた自分は全て友達のコピペで宿題も終わらせていました。しかし、IT企業に就職するにあたりプログラミングをちゃんと知っておきたい、また就職後には学べないことを学生のうちに学んでおきたいと思い、受講を決意しました。

TECH::CAMPの受講を通して、プログラミングの面白さに惹かれ、より本格的にプログラミングを勉強したいと思い、メンターに応募しました。一度は不合格になりましたが、二度目の試験でなんとか合格し、他のメンター陣とシェアハウスでの共同生活が始まりました。

実力不足への危機感からフィリピンへ

TECH::CAMPのシェアハウスでの生活を通じ、メンター陣から大きな刺激強烈な危機感を感じました。メンターは大学生が多く、自分はメンターの中では年上の方でした。しかし、周りのメンターは自分より圧倒的にプログラミングができて、英語も話せるのが当たり前という人ばかりでした。

例えば、メンター陣の一人に、TECH::CAMPで人材コンサルタントを担っているインターン生がいました。彼は、年齢は自分よりひとつ下なのに、アメリカでエンジニアとして働いた経験や、アフリカでのビジコンの運営やプログラミング教室を開催した経験もありました。それでも現状におごることなく、誰よりもストイックに働いていました。他にも、世界一周をしてプログラマーになることを決意したメンバーや、起業しているメンバーもいました。

そのような優秀な彼らと比べると、自分にはまだ何もできることがなく本当に情けなく感じました。

その時に、自分も海外に行ってみたいもっとプログラミングができるようになりたいと思い、そのためにまず英語とプログラミングを本気で身につけようと決心し、フィリピンのセブにあるNexSeedという学校にプログラミングの留学に行くことを決意しました。

不安でいっぱいだった初めての海外

留学を決意したものの、当時TOEICは415点しかなく、英語は全くといっていいほど話せませんでした。英会話のオンラインレッスンですら何度も挫折するレベルでした。

マニラ空港に着いた時の話です。

セブに行くためには、マニラ空港で国際線から国内線に移動しなければなりません。マニラ空港に着いて、国内線への行き方が分からなかったため、警備員に場所を聞いたのですが、全く何を言っているかが聞き取れませんでした。一応方向だけ指さしてもらい、その後「チップ」と言われ、海外だと道を聞くだけでお金を払わないといけないのかと思い、お金を払いました。結局、どこにいけばいいか分からず、警備員に2度道を訪ねて、2度チップを払い、タクシーの運転手にぼったくられながらなんとか国内線にたどり着きました。学校に着いて、道を聞くのにチップを払う必要はないことを知り、ほっとしたのを覚えています。

海外に行く時は、事前の準備が必要であること、ノリだけでは海外では生き延びられないことを身をもって経験しました。

人生を変える2つの出会い

フィリピンの3ヶ月の留学は、僕の人生にとても大きな影響を与えました。特に影響を受けた人物が2人います。

1人目は、ルームメイトの方でした。彼は35歳で、フライトナースをやられている方です。一見チャラいんですが、話すととても真面目で誠実な方でした。彼は南アメリカのボリビアで看護師として働いた経験もあり、国境なき医師団に所属していました。

僕は何故彼がプログラミングを勉強しているのかがわからなくて、理由を聞いたことがあります。彼は次のように話してくれました。

「ここに来た理由は、医療とITのコラボが必要だと感じたから。今の医療の中でITの使われ方に違和感を感じたからかな。もっと違うところに必要性があると。だから、とりあえずプログラミングの勉強をして、少しでも何かのきっかけになればと思って参加した。でもまあ、いつも通り、自分の勘と勢いかな。」

自分がやるべきことがわかっていて、それに対して行動を起こし、ひたむきに勉強されているのが本当にすごいと思いました。彼はプログラミングや英語の勉強を週に120時間以上は常にやっていました。

彼に会うまでは、自分がプログラミングに挑戦するのは年齢的に不利ではないかと思っていました。しかし、プログラミングは自分がいまやりたいことで、やりたいことをするのに年齢は関係ないと思うようになれました。今から頑張ればいいんだと、そしていつか彼みたいに何かの課題を解決できる人になれるように頑張っていこうと思いました。


2人目は、フィリピン人の英語の先生でした。彼女はとても優秀で、大学を飛び級しており、大学院に所属していました。そんな彼女との授業中に、日本人の会社の経営者から一緒に働いて欲しいと口説かれたことがあるという話を聞きました。フィリピン人にとって日本で働けるなんて正直なかなかないチャンスだろうと思っていたので、なんで今ここにいるんだろうと思いました。

先生:「日本語を覚えてまで、日本で働くメリットを感じない。」

僕はその時、間違いないなと共感してしまいました。

自分は今まで、発展途上国であるフィリピンのことを下に見ていた部分が少なからずありました。しかし、日本という国は優秀な外国人から見ると「日本語を覚えてまで、日本で働くメリットがない。」という程度の国なのだなということを知りました。日本にいた時も、日本が他の海外に比べて衰退しているというニュースをよく見ていましたが、本当なんだなと実感しました。

これ以来、日本はこのままでいいのかと疑問を持つようになりました。


(学校のメンバーと行ったボホール島での写真。尊敬できるいいメンバーに恵まれました。また、開放的な自然も東南アジアで働く魅力の一つだと思っています。)

内定を辞退し、人生の目標を見つける

日本からGoogleやFacebook、Appleのような世界に名を轟かせる魅力的な企業が生まれたら日本は変わるのではないかそんな企業を支えるエンジニアになれたら人生楽しいのではないかと思うようになりました。

そこで、自分がやりたいことと内定をもらっていた会社で出来ることとのズレを感じてしまい、悩んだ末に内定を辞退することを決意しました。たくさんの方に迷惑をおかけしましたが、いつか恩返しできるような存在になれるよう頑張りたいと思っています。

注目スタートアップのCTO/役員に推されフランジアへ

内定辞退後、エンジニアとして就職活動を始めました。自分のやりたいことを叶えるには、どの会社がいいのかという観点で就職活動を行いました。

その就職活動中にたくさんの方に相談に乗っていただきアドバイスをもらい、自分の進みたい道が決まりました。それは、エンジニアとして技術力を高めながら海外で働き、現地の人や文化を理解し、日本発のサービスをその国にあった方法で広げることを手助けできるエンジニアになろうというものです。また、その結果、様々な国で働くことができたら最高だなと思いました。

そこで自らが海外で働けるエンジニアになるため、海外でのインターンシップを探しました。

しかしながら、海外のインターンシップは、移動費や住居など他のインターンと比べるとコストが非常にかかり、環境や仕事内容も、日本でのインターンシップに比べかなり不透明です。実際に無給のインターンシップに参加したが、やらせてもらう業務は単純作業ばかりで最初の話とは全く違ったという話を聞いたこともありました。

そんな中、就職活動の延長で、Fintech関連で上場した会社のCTOや、名刺管理をサービスとしている会社の役員の方と話す機会を得ました。

その時にお二人から、技術力が確かで、目指している世界観もとても面白いと紹介していただいた会社がありました。それがフランジアでした。調べてみると、アジアから世界を狙う企業を生み出すために、ネックとなっているエンジニアの供給に加え、投資活動も行い、全面的にアジアから多くのスタートアップを生み出そうとしているという点に大きな魅力を感じました。自分がやりたいことと似ていると思いました。

また、社員が1000人いるのに対して、日本人が30人ほどしかいないという環境は、これからグローバルに働きたいと思っている自分にもぴったりだと思いました。そこで、フランジアでインターンすることを決意しました。

初めてのベトナム

初めてのベトナムでいろいろ驚きはありましたが、一番に驚いたのが治安の良さでした。もう1ヶ月以上はハノイで生活していますが、ストリートチルドレンを一度も見たことがないです。セブでストリートチルドレンに自分の財布が盗みかけられた僕からすると、「え、本当にここ東南アジア?」と思ってしまうほど治安がいいです。またご飯もフィリピンの時と比べると何倍も美味しく、ずっと暮らしていけるなと思っています。

車やバイクが多いため空気が汚かったり、現地の人はあまり英語が話せなかったりという問題もありますが、総じて言うと、何不自由なく業務に集中できる環境が整っており、今の生活が気に入っています。

フランジアでの業務

現在、フランジアでは、ある有名電子書籍サービスを提供している有名な会社のプロジェクトに、エンジニアとしてアサインされ、iOSのアプリのバグの解決や機能の追加といった業務を行っています。

また、日本人としての強みを活かし、ブリッジSEとともに日本のクライアントのミーティングに参加して、言語や文脈のズレによるコミュニケーションミスの改善を行ったり、ミーティングの方法の改善やタスクの振り方の効率化などを推進したりしています。本業以外では、インターン生の受入制度の仕組み化や、オフィスで無駄だと感じる作業をプログラミングを使って自動化していくことなどを行なっています。


(オフィスでの作業風景。奥にいるのは同じプロジェクトのブリッジSEです。彼はエンジニアとしても優秀で、日本語も英語もペラペラ、前職は日系の超大手企業でした。)

フランジアの魅力:スタートアップのような大企業

現在、フランジアのハノイオフィスには、700人程の社員が在籍しており、クライアントのほとんどが日本の企業であるのに対して、日本人の社員は15人程しかいません。そのため、特に日本人としての強みを活かして自分が行ったアクションが、プロジェクト等の結果に大きく反映されやすく、やりがいを感じています。

また、日本人の社員が少ない分、役員の人たちとも身近に働けることには驚きました。フランジアグループ代表の泰平さん(小林泰平)の誕生日会では泰平さんの隣の席に座らせてもらって、色々相談をさせてもらえました。日常的に泰平さんとランチや飲みに行ける機会も非常に多いです。

このインターン生と社員を言葉以上に区別しないスタンスは、業務内にも表れており、インターン生の意見も社員と全く同じように取り上げてもらえています

この会社なら自分のやりたいことができると感じ、一緒に働きたいと思えるメンバーが溢れていると思います。まだまだ問題や課題も多いですが、インターンを終えてからも一緒にこの会社を支えていきたなと今は感じてます。


(開発チームでの飲み会。この日が僕の誕生日でみんなに祝ってもらいました。皆さんのおかげで最高の1日になりました。)

レベルの高いベトナムのエンジニア

ベトナムのエンジニアはかなり優秀だと思います。

ベトナムの理数教育は非常にレベルが高いと言われていて、数学オリンピックでは世界111カ国中3位に輝いてるそうです(日本は6位)。フランジアはそんなベトナムの中でも、理工系のトップ大学であるハノイ工科大学から毎年多くのエンジニアを受け入れています。彼らは大学時代に5年間、朝から晩までずっと日本語とITについての勉強をしてきており、既に日本の新卒エンジニアのレベルは遥かに凌駕していると思います。

言語プログラミングの面で彼らとのスキルの差が圧倒的なので、それに追いつけるように必死になれる環境がフランジアにはあります。一方で、ベトナムの人たちは基本的に明るく、一緒に仕事をしていて非常に楽しいです。また、優しくて面倒見がよいので、自分が行きづまった時も丁寧に教えてくれます。この環境にありがたみを常に感じています。その分、業務の効率化など自分だから気づけることで彼らに貢献し、その結果彼らがより良く働けていると感じるときに一層の喜びを感じています。

エンジニアとして刺激のある環境

ベトナムのIT業界は環境の面でも魅力的だと思っています。

先日、Googleが主催する『GDG Dev Fest Hanoi 2017』がハノイで開催されました。GDGとは、Google Developers Groupの略で、グーグルのテクノロジーに関する情報交換を目的としたコミュニティーです。

イベントには雨にも関わらず約800人のエンジニアが来場し、テクノロジーに関するスピーチやミニハッカソンが行われました。こういったコミュニティーを通じて最先端の技術の情報が得られたりエンジニアと交流できる機会は、ハノイに来て初めて気付きましたが、とても刺激的で自分自身の成長にも繋がる貴重な機会と感じています。

(Googleに並んでフランジアもダイヤモンドスポンサーを務めています。)

オフショア開発に対するイメージの変化

オフショア開発というと、日本での開発に比べると技術力で劣り、比較的難易度の低い開発を安価な労働力で行っているというイメージが、日本にはあると思います。

しかしながらフランジアは違いました。GreatではなくAwesome。ただ「いいね」といわれるサービスではなく「すっげえ!」「やばい!」といわれる世界を変えるようなサービスを日本のベンチャー企業から生み出すことを目標としていています。

そのため、フランジアはスタートアップの開発案件を非常に多く支援しています。開発会社でここまでスタートアップの開発をやっている企業はなかなかないと思います。エンジニアにとって、スタートアップの案件は新しい技術に取り込めるチャンスなので、そういった自分自身が成長できる機会に溢れているという点はとても刺激的に感じています。

エンジニアとしてのやり甲斐

フランジアでは、ミッションを成し遂げるために、社会にポジティブでかつ大きなインパクトを与える開発を多くサポートしています。自分が使っていた有名なサービスの開発をフランジアが行なっていたというケースがたくさんあり、とても驚きました。
また、社員のスキルアップを常に考えているため、チャレンジングでない開発も基本的には請けていないです。そのため、エンジニアとしても非常に刺激的でやりがいのあるプロジェクトに携われているのだと思います。

更にフランジアでは、ただの下請け会社として開発を行っているのではなくビジネスパートナーとしてクライアントと共に歩み、開発を行っています。そのため、クライアントとの距離も近く、日々たくさんの学びが転がっています。

この記事を読んでくれた人に一言。

この記事を読んでくれている人の中には、挑戦したいけど踏みとどまってている方もいると思います。

例えば、英語ができないから、スキルがないからと諦めている方もいるかもしれません。

僕も英語は全然できませんでしたし、今でも大してできません。技術力もまだまだです。でも一度、日本を出て働くと、自分が思っていたことはそこまで高い壁じゃないんだということに気づけました。

ぜひ挑戦したいと思っている方には、あなたなりの一歩を踏み出してほしいなと思っています。

もしその一歩先にフランジアがある方がいたら、いつかベトナムや海外でお会いできることを心から楽しみにしています。

長文を最後まで読んでいただきありがとうございました!

Sun* Inc.では一緒に働く仲間を募集しています
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