なにをやっているのか
ゲストハウス蔵は2012年より長野県須坂市で始めた素泊まりの宿です。
日本国内のみならず、これまで多くの海外からのゲストも訪れてくれました。長野の観光目的だけはなく、海外のゲストの場合、長旅の中の疲れや、東京・京都・大阪・広島と一大観光地を巡りちょっと大都市に、そして日本各地どこにでもいる観光客に疲れてしまった旅人なんかが観光地でもないこの須坂で数日を過ごしていってくれます。
私たちは宿屋ですから、泊りに来てくれたゲストが心地よく滞在できるよう、掃除をしたり、予約の管理をしたり、ゲストと楽しくおしゃべりしたり、宿屋のプロとして日々ゲストをお迎えしています。
ただ、ゲストハウス蔵での業務は宿屋だけにとどまりません。すべてはゲストがこの町を楽しめるように、ということにつながりますが、地元の行事に参加したり、地元に住んでいる方々との関係づくり、いつもお世話になっている飲食店や商店の方々との関係づくりもとても重要になってきます。これは須坂に住み、ここで宿屋を営みながら、その人一人一人がここで生活することで築きあげることができる人脈です。それは、ゲストによりこの町を楽しんでもらうための大事な宿の持ち味になります。
ご近所さんがゲストを連れて須坂周辺の観光に連れ出して行ってくれたり、山登りや、時には山菜取りやたけのこ狩りに行ったり。蔵にはBarはありませんが、夜ゲストに会いにご近所さんが立ち寄ってラウンジでおしゃべりしてくれたり。夕食に行った先々の飲食店では、常連さんがゲストに話しかけてくれたり、マスターが最上級のおもてなしをしてくれたり。
どれもこれも、ゲストハウス蔵単体では成しえないことで、ゲストハウス蔵に泊まってくれたゲストの満足度は、須坂のいろんな方たちがゲストに出会うことで得られているものだと思っています。
ゲストハウス蔵では、蔵の滞在だけではなく、須坂の町全体でその日の滞在を楽しんでもらえるようスタッフ一人一人が自分なりのおもてなしを実践しています。
なぜやるのか
「多文化に理解のある町・須坂」
ゲストハウス蔵が須坂にできるまでは、外国人観光客が須坂に泊まる、ということはあまりなかったと思う。
昨年2017年では蔵のゲストの約40%が海外からのゲストだ。
これまであまり町では見かけなかった外国人観光客も、地元の飲食店を利用し、温泉に入り、スーパーやコンビニで買い物をし、須坂駅で電車に乗り、須坂に住む人々と同じように、彼らも須坂の町で数日を過ごす。
住んでいる地元の人にとっても、よそから須坂を訪れてくれている旅人にとっても、それが日本人であろうと、外国人であろうと、心地よい時間が過ごせるよう、ゲストハウス蔵として何ができるのか、何をすべきなのか、それを考えていくのは実は宿の重要な一つの仕事。
おかげさまで、これまで6年間、須坂の飲食店・商店・駅など至る所でゲストがお世話になったが、どこでも本当に温かく迎え入れていただいている。
ゲストハウス蔵に泊まる外国人ゲストは、そのほとんどが観光で日本を旅しにきている「短期滞在」の旅行者。短期とはいえ、ゲストの話を聞いていると、10日~1か月くらい日本に滞在する人がほとんどで、長い人だと2か月・3か月と日本を旅する人もいる。これら「短期滞在」で旅をしに来ている外国人にとって、日本という国は、とても魅力的な国だという。ほとんどのゲストが、日本はどう?と聞くと、「Amazing」だと言い、日本人は本当に親切で礼儀正しいと話してくれる。
一方で、「長期的に」日本に住んでいる外国人にとって、日本は住みよい国なのだろうか?
須坂は約5万人の人口の町で、そのうち約500人の外国人が住んでいる。
ゲストハウス蔵では、須坂に住んでいる外国人の方々に日本語レッスンも行っている。
そんなご縁もあり、蔵で日本語を勉強している人や、須坂で英語を教えているALTの先生なども時々、蔵に遊びに来てくれる。
須坂に住んでいる外国人の人々にとって、須坂という町は住みよい町なのだろうか?
私の個人的な意見としては、NOである。
須坂に住んでいる外国人のうち、タイ・中国・ベトナムの国の人々が多いのだが、そのコミュニティーと日本人コミュニティーはなかなか交わることがない。せっかく須坂に住んでいるのに、須坂のお祭りだったり、イベントだったり、そういう情報はきちんと彼らにまで届いていないことが多い。また彼らの中には、会社とアパートの往復だけで、須坂の人・日本人の友だちをつくるチャンスもないままだったりする。
この町に、せっかくゲストハウスがあるのだから、ここがコミュニケーターの役割を果たし、ここゲストハウス蔵が日本人コミュニティーと彼らのコミュニティーとが交わる場でありたいとも思っている。そのための仕掛け作り、これも大切な仕事の一つ。
須坂という町が、旅行者にとっても、住んでいる外国の方にとっても、住み心地の良い町であってほしい、そう願っています。