こんにちは。Natureのエネマネチームのリードの中間です。
今回はNatureが行っているエネルギーマネジメント事業から、「デマンドレスポンス(DR)」についてご紹介します。
需要と供給のバランスが、安定した電力供給の要
皆さんが普段何気なく使用しているスマートフォンや家電。それらを動かす電力が、どのように作られ、どのような仕組みで皆さんの元へ届いているか、考えたことはあるでしょうか。
通常、電気は発電所で作られ、送電線を伝って消費地へと運ばれます。そして変電所で安全な電圧まで下げられた後、各家庭へと届けられます。しかし、この電気の流通には、一般的な製品(モノ)の流通とは大きく異なる、非常にシビアな制約があります。
それは、使う量(需要)と作る量(供給)が常に一致していなければならないという点です。これを「電力の同時同量」と呼びます。
この需給のバランスが崩れると、電力供給の品質が低下するだけでなく、最悪の場合には大規模な停電(ブラックアウト)を引き起こす恐れがあります。そのような事態を避けるために、電力会社や送配電会社は常に需要量をチェックし、ぴったり一致する供給量となるように絶えず調整を行っているのです。
これまでは主に、季節や天候から需要を予測し、火力発電などの発電量を増減させることでバランスを保ってきました。しかし、現代のエネルギー情勢において、この調整が徐々に難しくなってきています。
発電所には様々なタイプがあり、それぞれに長所短所があります。
世界各地で地球温暖化に由来する気候変動が起きています。そんな中、日本は2050年にカーボンニュートラルを実現するという目標を提示しました。その実現のためには、火力発電への依存を減らして、原子力発電や再生可能エネルギーの導入を進めていくことが必要です。
しかしながら、再生可能エネルギーは発電の不確実性が大きなネックとなっています。原子力発電は柔軟な調整が困難です。同時同量を満たすために発電量を調整しようと思ったとき、実質的に活用できる電源は火力発電に限られます。
再生可能エネルギーの導入を進めるにあたり、従来火力発電が提供してきた調整力をいかにしてカバーするかが喫緊の課題となっています。
注目される「第3の調整策」:デマンドレスポンス(DR)
電力需給のギャップを解決する手段は複数ありますが、ここでは電力流通の各段階、発電・送電・消費それぞれに分けて考えてみます。
現在活用されているのは1つ目と2つ目の方法ですが、それぞれ限界があります。
そこで今、日本および世界で実証実験が加速し、Natureが積極的に取り組んでいるのが3つ目の「デマンドレスポンス(DR)」です。
DRとは、発電量に合わせて需要側が電力の消費量を調整することを指します。例えば、エアコンの消費量が増える夏の午後は電力需要が急増しますが、これに発電量が追い付かないときに、需要側で消費量を抑えて(節電して)需給を合わせます。
需要側は供給側または電力グリッドの要請に合わせて消費量を調整することになるので、ポイントや金銭の形でインセンティブが支払われます。
「下げDR」と「上げDR」
DRには、状況に応じて2つの方向性があります。
- 下げDR(節電):夏の猛暑や冬の厳冬期など、電力需要が供給能力を上回りそうな時に、消費を抑制します。
- 上げDR(需要創出):春や秋など、冷暖房需要が少ない一方で太陽光発電が活発な時期に、余剰電力を有効活用するために消費を増やします。
DRの実施手法には、さらに2つのタイプがあります。
- 行動変容型: 節電要請などの通知を受け、ユーザーが自発的にエアコンを消したり、家電の使用を控えたりするもの。
- 機器制御型: IoT技術を活用し、家電や蓄電池などを外部から直接(または自動で)制御するもの。
Natureでは、行動変容型DRの運用支援サービスを行っているほか、自社のスマートリモコン「Nature Remo」や、次世代HEMSコントローラー「Nature Remo E」を活用し、機器制御型DRも実施しています。
Natureが行っているxDR支援の取り組み
Natureは、複数の電力会社様にDR運用支援サービスを提供しています。現在の取り組みを一部ご紹介します。
個人の努力で消費電力が2~3割減る? DRの有効性
これまでの取り組みから、興味深いデータが見えてきました。
Natureが様々なパートナーと実施しているDRの成果より、行動変容型の場合1世帯1時間あたりの需要量変化は概ね下記の結果になることが分かっています。
- 下げDR: 約0.2〜0.3kWhの削減
- 上げDR: 約0.1kWhの創出
一般的な世帯の平均的な消費電力は1時間あたり0.5〜1kWh前後(資源エネルギー庁「家庭におけるエネルギー消費の動向」を参照)であるため、下げDRで20〜30%、上げDRで10%程度の電力を動かせている計算になります。
機器制御型DRの場合は、さらに良好な実績が出ています。
下げDRの機器制御においてはNature Remoを用いたエアコン自動制御を行っていますが、機器制御を行った世帯は通知のみの行動変容型世帯に比べ、平均需要抑制量が20〜30%ほど多いという結果が出ています。
また、心理的なハードルが高い「上げDR」においても、機器制御は非常に有効です。「電気を余分に使うのはもったいない」「生活習慣を変えるのが面倒」と感じる場面でも、エコキュートの沸き上げ時間を自動で昼間にシフトさせたり、蓄電池の充電を最適化したりすることで、ユーザーに負担をかけずに確実な成果を上げることが可能です。制御に成功すれば1kWh/hを超える需要創出が可能です。
500世帯がエコキュートや蓄電池の機器制御DRに参加すれば、一般的な陸上風力発電所1基分(年間500万kWh・平均約570kWh)に匹敵、または上回る電力を動かすことができます。
1人ひとりの小さな変化が、大きなエネルギーの未来を作る
「1世帯1時間あたり0.2〜0.3kWh」と聞くと小さく感じるかもしれません。
しかし、日本には約5,000万以上の世帯があります。もし数百万、数千万の世帯がDRに参加し、賢く電力を動かすことができれば、それは巨大な発電所をコントロールするのと同等の調整力になります。機器制御に参加する世帯が多くなれば、さらに調整力は高まります。
これにより、高コストで環境負荷の高い火力発電所の稼働を減らし、クリーンな再生可能エネルギーを余さず使い切る社会が実現します。
Natureはこれからも、「自然との共生」を世の中の当たり前にしていくため、より快適で、より地球に優しい電力のカタチを追求してまいります。
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