サービスデザイナーとして切り拓く、デザインと組織の未来

今回は、サービスデザイナーとして、マネーフォワードiOSアプリのデザインリニューアル(2014年5月公開バージョン)のほか、大手新聞社新規メディアアプリなどを担当し、現在はヘルスケアベンチャーFiNCのアプリ・サービスデザインを担当する齋藤 恵太のインタビューをお届けします。

クライアントワークに従事する傍ら、社内勉強会やPodcast、ラボサークルの立ち上げなどリーダーとして組織にも貢献する齋藤が、どんな想いを抱いてグッドパッチで働くのか。そしてこれから目指す先の展望について、話を聞きました。

「サービスデザイナー」ができるまで

学生時代、研究室のアルバイトでサイトのコーディングを手伝っていた制作会社に、そのまま新卒として入社しました。主にコーポレートサイトなどを手がける少人数の会社でしたね。近所の会社が開催していたUI関連の勉強会に参加して、そこに来ていたグッドパッチのメンバーに会ったことがグッドパッチとの出会いです。

コーポレートサイト制作のように、必要な情報を整理して設計する仕事は楽しかったし、得意でもあったんですが、「これだけでは物足りないな」と感じ始めていた矢先の出会いでした。社長の土屋に話を聞きに行ったその場で採用を決めてもらい、入社前なのに社員旅行にも参加しましたね(笑)。

昔から、もっと根本的に人の役に立つものを作りたい、その結果として社会にいい影響を与えたいという気持ちがあったんです。人とコンピューター・インターネットを繋ぐインターフェイスの部分が重要だと思っていました。「一部の詳しい人だけが使える技術」は社会にインパクトを与えるとは言えないよなと思っていて、テクノロジーの塊のような顔をしているパソコンが、登場して何十年も経っているのに、ワードとエクセル、ブラウザくらいしか価値を提供できていない事実に憤っていました(笑)。
その頃ちょうど、ウェブだけでなくスマートフォンのネイティブアプリが話題になり始めた時だったので、パソコンよりも人間に近いデバイスとして可能性を感じていました。

2013年にグッドパッチにジョインするまで、iPhoneアプリのUIデザインの案件を経験したことはなかったのですが、実際のプロジェクトで、UIデザイナーやエンジニアとコミュニケーションしていく中で、設計思想やUIの基礎を学び、吸収していましたね。優秀なデザイナーに恵まれていたので、勉強している自覚もなく、幸せに成長できたかなと思ってます(笑)。

いくつかのプロジェクトを担当させてもらって、ある気づきがありました。当たり前なのですが、「UIデザインだけではなく、元になるサービスや、場合によってはそこで流通するコンテンツの制作までかかわらなければ、本当に良いものはできないのではないか」と思うようになりました。そんなときにちょうど、肩書きを考える機会があって、「プロジェクトマネージャー」的な業務は大切だけれど、事務的なイメージも強く、本質にダイレクトにアプローチしている感じがしないし、「UXデザイナー」はちょっと流行りすぎてて嫌だった(笑)ので、グッドパッチで唯一「サービスデザイナー」と名乗るようになりました。完全に自称です。

徹底的に染まる

現在はヘルスケアベンチャーのFiNCさんをお手伝させていただいています。「より多くの人を健康にする」ために、アスリートでも健康オタクでもない人に対してもアプローチをするにはどうしたらいいのか、日々議論をしながら改善し続けています。

僕がサービスデザイナーとしてプロジェクトに携わらせていただく時に特に大切にしていることは、とにかくどっぷりと「そのプロジェクトに染まること」です。調査やヒアリングをがっつり行い、クライアントよりもそのサービスや、業界全体を語れるように努力をする。おかげで今は、ダイエットやフィットネスなど、ヘルスケア関連にとても詳しくなって、自宅にはヘルスケア系のガジェットやトレーニンググッズ、サプリメントなどの健康アイテムがたくさんあります(笑)。
最終的には、自分の生活の中にその領域のエクストリームユーザーを存在させるように、色々と改造していきます。そうすると、完全に素人だった自分から、エクストリームなユーザーまでを想像することができるようになり、その成長過程も体験できます。

ここまで言うと大変そうに聞こえるかもしれませんが、そうすることでより詳細なペルソナやストーリーを想像することができ、的確にデザインに落とし込むことができます。お客様とのコミュニケーションもリアルな体験を元に話をすれば盛り上がるし、そういった過程で信頼関係を築くこともできます。基本的に、一緒にサービスを作るからには、お客様ともパートナーとしての信頼関係が成り立った対等な状態でいなければ、良いものは生まれないと思うんです。

逆に、気をつけなければいけないことは、相手が「デザインの素人だから」と言って、今あるプロダクトを(無意識にでも)馬鹿にしてしまうことです。デザイナー目線ではすぐに「ダサい、わかってない」と言いがちなのですが、現在そこに存在しているプロダクトは「何か理由があってその状態になっているという事実がある」だけであって、その理由を軽視せずにじっくりと解き明かすことが、その後のデザインやコミュニケーションに大きく影響してきます。真摯に現実と向き合うことは何よりも大切なことだと思います。

デザインとビジネス、ふたつの観点

一方で、サービスを続けていくためには、ビジネス的な観点も必要になってきます。当然のことですが、収益がないサービスは続かないし、事業を続けていくためには会社の存続が不可欠だからです。

例えば、一部のユーザーだけに熱烈な支持を受けるサービスが生まれたとしても、事業としてスケールできなければ、残念ながら未来はありません(単純なツール系などで完結するアプリもあるのですが弊社の案件としては稀です)。もちろんそうした「いかにユーザーに愛してもらえるか」という部分を考え続けることも大切ですが、時としてデザイナー目線のエゴイズムで判断してしまう時があります。クライアントが本当に成し遂げたいことはなんなのか、それを常に意識する必要があります。

グッドパッチのビジネスとしてクライアントワークをお引き受けしているからには、そのサービスがより多くのユーザーに、より長く提供できること、その為にはクライアントのビジネスがきちんと成立して(さらにはサービスをより良くする為の人材を集め)、持続可能性を持った状態を目指さなければいけません。デザイン・美的な要素と、ビジネスとしての観点をいかに両立させるのか、どこかに双方を両立させる落とし所はないのか、全く別のソリューションはないのか、ここでは何がゆずれるポイントで、何がゆずれないのか、そういったポイントに一番頭を使っていると言っていいかもしれません。

イノベーションを起こせる組織にするために

グッドパッチの強みは、(非常に運が良いことに)日本中の新規案件がめちゃくちゃいっぱい集まってきているところだと思います。そして多くのデザイナーとエンジニアが在籍していること。サービスデザイン・UXデザイン・デザインシンキングから、UI・ビジュアルデザイン、エンジニアリングまで非常に広範な知識が集合しています。さらにはクライアントワークだけでなく、Prottなどの自社事業を開発する部門が存在していること、日本だけでなく、ドイツや台湾にもオフィスがあること、社内にも外国籍のメンバーが多数いること、これだけの多様性を持った組織はそうそうないかなと思っています。

そして、そのそれぞれが獲得した経験や知見を最大限活かすことができたら、最強のデザイン組織になれると思ってます。例えば、スタートアップのお客様に対してであれば、「お客様のアイディアを起点として、最高のプロダクトを最速で出して、成果をあげる」ことができるはずだと思ってます。最終的には、「ここにいるみんなでやるから最高のものができる」と全員が思えることが理想的なんですけどね(笑)。

そのためにみんなで成長していきたくて、様々なことを行ってます。社内勉強会やイベントで個々の能力を向上させること、お互いの理解を深めることは、いうまでもなく重要なので、そういった社内イベントの企画や運営には、なるべく関わるようにしています。また、外の世界との繋がりもとても大切なので、社外で行われているイベントの誘致やゲストを呼んでディスカッションしてもらったりと、勉強会一つとってもあらゆる手段を使ってアプローチしています。

これからもグッドパッチが、イノベーションを起こしつづける組織として成長できるように、まずは全てのクライアントワークにおいて、予想の斜め上をいくような結果を残して、「グッドパッチが関わってくれてよかった」と言ってもらえるようになることを目指したいです。そうやって、本質的なイノベーションとは何か、それを起こせる組織とはどういうものなのかを探りながら切り拓いて行く、そんな存在になっていけたらと思っています。

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