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【イベントレポート】丸の内アナリティクスバンビーノ#16 動画マーケティング&データと法律を考える

丸の内アナリティクス主催のミートアップイベント、バンビーノ。第16回となる今回は、「マーケティング&レコメンドの活用事例」そして注目を集めている「データと法律について」をテーマにゲストをお迎えしました。

レポートでは講演内容の一部をご紹介します。

現代マーケティングにおけるエモーショナルコネクションとミドルファネルの役割

株式会社日本HP
パーソナルシステムズ事業統括
パーソナルシステムズ・マーケティング部 部長 甲斐 博一氏

株式会社日本HPで長年マーケティングに携わってきた甲斐氏からは、今マーケティングの先進企業が取り組んでいるエモーショナルコネクションという考え方、そしてその上で実際に同社がミドルファネルで取り組んでいること。この二軸についてお話いただきました。

そもそも、なぜマーケティング領域でエモーショナルコネクション(情緒的関係構築)を重視する方向に移行し始めているのでしょうか。

甲斐氏はその理由として、「現代は消費の傾向がモノからコトへ変遷しており、モノでは感動しない時代になっています。また、ありとあらゆるものがコモディティ化するスピードが上がっており、差別化が難しい時代であることが背景にあります。」という点を挙げます。

これまで人間がやっていたことでも、今後はコンピューターの方が得意になるという領域が増えていきます。そうなったとき、人間は人間の得意なことをやらなくてはならない。マーケティングの世界でも、より人間らしい分野に取り組むことで、その真価を発揮できるのではないか、と甲斐氏は話します。

では、エモーショナルコネクションを実際にどのように落とし込めばいいのでしょうか。

HP社においては、定量・定性調査に加え、1on1での個別インタビューを行うとのこと。「デプスインタビュー(深層心理を引き出すパーソナルインタビュー手法のこと)などを導入するのは、正直で詳細な行動を把握して、その裏にある心情を想像するため。定量調査で同じようなグルーピングをしても、何を感じどこで気持ちの変化が起きるのかは一人一人異なります。このような表層的でない気持ちの変化を右脳と左脳、人間的な経験、想像力を駆使して見出すことがカスタマーインサイトの本質だと考えています。」

また、見込み顧客が購入にいたるまでの中間フェーズであるミドルファネルにおいて同社が目指すことは、「心理的な絆の醸成」だと言います。「HP社の商品の特性上、購買サイクルは数日から数年と、期間が異なります。ミドルファネルでは、それを埋める手段として、デジタルを通じてちょっとした共感を繰り返し創り出すこと。それによって企業そのものとそこが生み出す製品を好きになってもらうことを目指しています。」

製品だけでなく、会社がやっていることにどのような価値があるのか。それを右脳と左脳の両方に訴えるのはミドルファネルだからこそできることでもあるのです。

データとルールを考える

弁護士 金子 晋輔氏

知財・IT系の訴訟を専門にしている弁護士の金子氏からは、あえてデータに関する新しいガイドラインといった限定的な話ではなく、「ルールとは何か」という根本的な問題に、立ち止まって考える機会をご提供いただきました。

金子氏にとってルールへの関心の原点にあるのは、幼い頃に見た任侠映画への違和感。「映画に出てくる親分って、大抵60代や70代の”おじいさん”なんですよね。それを見たとき『アウトロー』という、文字通り法の外にあり力が支配している集団にも、掟や序列というルールが存在している。これは面白いな、と思ったんです。」

「そこで、単なる人間の集まりと社会を分けるものはルールであり、社会に所属する人同士が互いにそのルールを守るという信頼があって成り立つものだと気づいたんです。」

金子氏は、ツールは違っていてもデータを活用することもルールと同じで、「人間の社会、行動、心理とは何か」、つまり、人間を知りたいという欲求に基づいていると続けます。

今も続いている「ルール」は一体いつからスタートしているのか。

日本の歴史を振り返ると、ルールというものは元号のように古くから存在していたものから、明治維新以降に輸入された概念まで、地層がさまざまに存在していることがわかります。

データに関する点で言えば、今年の5月にGDPR(EU一般データ保護規則)が施行されたことにより、プライバシー保護の波が最近になって急にやって来たと感じている人もいるかもしれませんが、実は1980年にはOECD8原則という個人情報の取り扱いに関する基本原則ができていました。

「ベースにあるルールは実はずっと変わっていないように、地層のどのレベルにあるかで、ルールが変化するスピードは異なってきます。」と前提した上で、「この先どうなるのか、ということについては、短いトレンドを追うのではなく、データの向こう側にいる人やその権利をどう捉えればいいか、ということを、実地で携わっているデータサイエンティスト自身が各々考えてルールを作っていく」ことが必要だと言います。

今まさしく、平成から新しい元号へと移り変わる時代の変化の潮流のなかで、私たちは未来がどうなるかという不安にさらされています。今回はルールがどう変わっていくかという観点だけではなく、時代の節目を迎えこれからどう生きていけばいいのか、という示唆に富んだ内容を話いただきました。

次回のバンビーノは2019年開催となります。

少し早いですが、多くの方々にお集まりいただき、今年もバンビーノを定期開催することができました。

丸の内アナリティクスでは、今後もコミュニティ運営に力を注いでまいりますので、来年以降もぜひ皆さまに積極的にご参加いただければ幸いです。


2018年開催イベント、これまでのレポートはこちらをご覧ください。

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(Text/ナガタハルカ)

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