「きれいなものでも、売れないと意味がないんです」
株式会社HMitのデザイナー、新谷有加さんは、穏やかな口調ながらもきっぱりとそう語ります。
「デザイン=おしゃれなものを作る仕事」というイメージを持つ人は多いかもしれません。しかし、ECという、結果が数字としてダイレクトに現れる世界において、新谷さんが何よりも大切にしているのは「課題解決」としてのデザインでした。
コスメ販売員からキャリアをスタートさせ、未経験・独学でデザインの世界へ飛び込んだ新谷さん。現在はHMit唯一のデザイナーとして、数多くのクライアントの「Help Me!」を解決しています。
なぜ新谷さんは安定した職を捨ててまで挑戦の道を選んだのか。そして、スタートアップというスピード感が求められる環境で、どのようにしてプロフェッショナルとしての地位を築いてきたのか。
今回は、新谷さんのこれまでの歩みと、HMitだからこそ得られた「デザイナーとしての真髄」に迫ります。
「好き」を仕事に。販売員時代に芽生えたデザインへの興味
ーーまずは、新谷さんのこれまでの歩みについてお聞かせください。もともとは販売のお仕事をされていたそうですね。
はい。学生時代から、自分の得意なことや好きなことを伸ばしていく方が力を発揮できるタイプでしたので、もともと好きだったコスメの道に進みたいと思い、大学卒業後はアウトレットモールのコスメショップで販売の仕事をしていました。
アウトレットという場所柄、商品の入れ替えが非常に激しく、毎日違う商品が入ってくるような環境でした。そこで、お客様に商品を手に取ってもらうために、自分でPOPを作ったり、売り場のレイアウトを考えたりしていました。
ーーそこでの経験が、今の仕事につながっているのですか?
はい。工夫して作ったPOPを見てお客様が商品を購入してくださるのが嬉しかったですし、そのような仕事をしていくうちに、単なる売り場作りだけでなく、その先にある「商品の魅力をどう見せるか」「どうデザインすれば伝わるか」という部分に強く惹かれるようになりました。それが、デザインの道を志したきっかけです。
ーーそこからスクールなどに通われたのですか?
いえ、スクールに通うという選択肢も考えましたが、私は「習うより慣れろ」というタイプなので、自分で調べられる範囲のことを独学で勉強し、まずはデザインアシスタントとして働ける環境に飛び込みました。自分で机に向かって学ぶよりも、実際の仕事場で手を動かして、現場の空気を感じながら覚える方が早いと思ったんです。そこでデザイナーとしての経験を積んだ後、ご縁があってHMitに入社しました。
ーー数ある企業の中で、HMitを選んだ「決め手」は何だったのでしょうか。
前職はあまり大きな会社でもなく、自分の中でビジョンが見えなかったという部分があったため、転職活動を行っていました。その中で、HMitを選んだ理由は、アルバイト時代に少し経験したECにもっと深く関わりたいという思いがあったからです。単にページのデザインをするだけでなく、商品の構成を考えたり、当時は撮影にも関われたりと、キャリアの幅を広げられる点に魅力を感じました。
また、面接でお会いした代表の濱崎さんと森さん、そして当時の先輩デザイナーの雰囲気が非常に良く、ここなら自分らしく働けると感じたのも大きかったです。
「50点でもいいから出す」スピード重視の現場で磨かれた実践力
ーー入社後、ギャップを感じることはありましたか?
想像以上に「打席に立つ回数」が多かったことですね。デザイナーとして、もっとじっくり時間をかけて制作に取り組むものだと思っていたのですが、HMitはとにかくスピード感を求められる環境なので、デザインのクオリティはもちろんですが、同時に仕事の効率や判断の速さも求められます。
ーー未経験からのスタートで、そのスピード感についていくのは大変だったのではないでしょうか。
最初は実務経験もほとんどなかったので、自分が理想とする完璧なものは作れないとわかっていました。だからこそ、「ダメだとわかっていても、まずは形にして出してみよう」と自分自身の意識を変えました。代表の濱崎さんや森さん、先輩デザイナーからも「まずはやってみて、フィードバックを受けて修正する」というサイクルを叩き込まれました。
時間をかけて100点を目指して抱え込むより、50点の段階でもいいから早く出して方向性をすり合わせる。この繰り返しで、スピードと質を担保する術を身につけていきました。
ーーHMitにおいて、デザイナーに求められる役割は何だと考えていますか?
単に見た目がきれいなものを作ることではなく、「その時々の最適解」を出し続けることだと考えています。弊社はスタートアップなので、状況によって求められる正解が変わります。じっくりブランドを作り込むことが正解の時もあれば、とにかくスピード優先でセールに間に合わせることが正解の時もあるので、その状況を素早く汲み取り、デザインという形に落とし込む力が求められていると感じます。
「デザインはアートではない」プロとしての葛藤と喜び
ーー現在、HMitのデザイナーは新谷さんお一人だと伺いましたが、プレッシャーを感じる瞬間はありますか?
ここ1年ほどはデザイナー1名体制でやってきましたが、クライアントからすれば、こちらの社内体制なんて関係ありません。「社内でたった1人奮闘しているデザイナー」として見られるのではなく、あくまでプロとしてお客様の期待に応えなければならないという意識は強く持つようにしています。直近でも「これが売れなかったら後がない」というようなシビアな案件もありましたが、そう言われると逆に「絶対売ってやる!」という気持ちが湧いてくるので、むしろプレッシャーが私のエンジンになっているのかもしれません(笑)。
ーーデザイナーという職種柄、「自分の作りたいもの」と「売れるもの(数字)」の間で葛藤することはないのでしょうか?
デザイナーにも得意不得意や好きなデザインがあるので、キャリアの浅い時期は、どうしても自分の得意なテイストや作りたいものに寄ってしまいがちです。しかし、HMitで多くの案件に関わる中で、「デザインの本質はあくまで課題解決である」ということに気づいたんです。アートの目的は自己表現ですが、デザインは違います。どんなにきれいなデザインでも、商品が売れなければ意味がないので、自分のこだわりを押し付けるのではなく、「どうすればこの商品の魅力が伝わるか」「どうすれば売れるか」を徹底的に考えて形にすることが、デザイナーの仕事だと考えています。
ーーそんな厳しい環境の中で、仕事のやりがいを感じるのはどんな時ですか?
やはり、売り上げなどの目に見える成果につながった時は嬉しいです。それと同じくらい嬉しいのが、一つ一つの制作物が完成して世の中に出る瞬間です。Webページとして公開されたものは、絶対に消えないものなので、私がいなくなったとしても世の中に残り続けるということにすごくやりがいを感じますし、嬉しい瞬間です。
ーー最近では、クライアントからの信頼も厚くなっているようですね。
以前は単発のご依頼で終わることもありましたが、直近1年間は「次も新谷さんにお願いしたい」と、長期的なご依頼につながるケースが増えてきました。ようやく業務スキルも上がり、クオリティも安定してきたことで、プロとして評価していただけているのかなと感じています。
正反対の2人が率いる、個性豊かで温かいチーム
ーーHMitの組織についても教えてください。共同代表の濱崎さんと森さんは、どのようなリーダーですか?
お二人は性格が全く違いますが、常に私たちの前を走ってくれている頼もしいリーダーです。濱崎さんは、とにかく推進力がものすごく、常に前を見て会社をグイグイ引っ張ってくれるので、その背中を見て「私たちも頑張らなきゃ」と自然と士気が高まります。一方で森さんは、普段は冗談を言って場を和ませてくれるムードメーカー的な存在ですが、仕事に関しては非常に現実的でシビアな視点を持っています。私の相談に対しても的確なフィードバックをくれるので、非常にありがたい存在です。全く性格の違うお二人が経営されているからこそ、バランスがとても良く、多角的な視点で学べる環境があります。
ーーチームメンバーとはどのように連携しているのでしょうか。
社内には、デザイナー以外にもショップ運営を行うメンバーやマーケターなど、個性豊かなメンバーが集まっています。雰囲気は決して堅苦しくなく、昼休みにはみんなで賑やかに話す温かいチームです。仕事においても部署の壁はなく、職種の垣根を越えて「ここはどうしたらいいと思う?」「もっとこうしたら良くなるんじゃない?」と、相互に意見を出し合って良いものを作っていく文化があります。
ーーHMitのカルチャーを一言で表すと何ですか?
やはり企業理念でもある「Help Me!をITで解決する」ということに尽きるかと思います。デザイナーもマーケターも、みんながクライアントの困りごとを「自分ごと」として捉えています。1つの課題に対して、職種関係なくみんなで話し合い、解決策を模索する。そんな一体感がHMitの強みであり、デザイナーとしても非常に働きやすい環境です。
株式会社HMitのクリエイティブといえば「新谷」と言われる存在へ
ーー今後のビジョンについて教えてください。HMitのデザイン部門をどうしていきたいですか?
個々がデザインのプロとして自立し、お互いをリスペクトし合える組織にしたいです。ただ言われたものを作るだけのチームではなく、一人一人が課題に対して「自分ならこう解決する」という意思を持ち 、切磋琢磨できるような強いチームを作っていきたいです。
ーー新谷さんご自身の目標はありますか?
デザイナーとしては、「株式会社HMitのクリエイティブといえば新谷」と言われるようになりたいです。「HMitに頼めば、新谷に頼めば間違いない」とお客様から信頼される存在を目指しています。また、ビジネスパーソンとしては、まだまだ濱崎さんや森さんに比べて意思決定の量が不足していると感じているので、デザインだけでなく、ビジネス全体の視点を持って判断できるよう成長していきたいです。プライベートでも、自分の力で稼いでやりたいことを妥協せずに実現できる人生を送りたいですね。
ーー最後に、HMitに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
私自身、販売業から転身した当初は手探りの連続でした。ですが、その泥臭い日々があったからこそ、今のキャリアがあります。
選択に正解を求めるのではなく、選んだ道を自らの足跡で正解に変えていく。そんなガッツのある方にとって、HMitは最高の挑戦の場になるはずです。
一緒に働けることを楽しみにしています!