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違いが生きる社会システムを創る

2019年2月、New York Timesが伝えた「Cell-Phone Addiction」の問題。日本では随分と話題になっていないが、アメリカでは大きな波になっている。昨年より多くのメディテーションツールが作成されてきた。しかし、今なおこの問題は大きい。Digital Mediaは大きく生活を変えてきた、生活に深く入り込んだ。Digital Mediaによって生活は豊かになった。だが、本当に心は豊かになったのだろうか?

https://www.nytimes.com/2019/02/23/business/cell-phone-addiction.html

インターフェース問題

1990年の名著『誰のためのデザイン?』によれば、その当時1日に2万点もの何かしらのツールに触れていたとされている。僕らが今そうかと言われると微妙に違う。最近は多くの「アプリ」が代替してくれるし、GUIが多くをそれを代替している。アプリというのは、残念ながら心理学やデザインのNegative Effectについてそこまで考慮されていないことが多い。ハードルが下がると、多様性を許容する分、その一方で、デザイン的にうまくできてないものが多い。アプリは大量の通知を送ってくるし、ボタンの配置やボタンデザインに至るまで、よくできてない。頭の中はノイズだらけになる。

NETFLIXの素晴らしい作品「バンダースナッチ」では、人の意思決定を簡略化して描いていったが、人の意思決定の量は約1万回とされている。大量の通知、画面のレイヤー構造、タブ構造はもちろんGUIとして優れているが、一方で日々の意思決定の量を増やしてしまったのではないだろうか。人の注意は散りやすくなり、ADHD傾向が高まる、脳が疲れやすくMentalに問題を抱えやすくなるのもうなづける。

Reference: Royal Society for Public Health

https://www.economist.com/graphic-detail/2018/05/18/how-heavy-use-of-social-media-is-linked-to-mental-illness

Digital Dementia

おそらく、発展した国において、SNSやデジタルメディアに毎日触れない、と言う人は少ない。テレビの画一した世界で、「主流形成効果」が生まれた時代と違い、今はアイデアの流れが大きく変化している、この世界は多様的だ、という人がいるが、本当にそう言えるだろうか。このHyper Connectした世界、過剰になっている世界では、より良い意思決定をすることが難しい。多すぎる、というのは実は何もないと変わらない。むしろ、多すぎる情報の中で、例えば錯誤相関的に、特異点だけがPick upされやすいのではないだろうか。今流行しているFactfullnessはまさに、錯誤相関の話をしているが、例えば日本にいて、ロシア人が発砲事件を起こしたら、「ロシア人と銃」の相関系が強まる。こういったステレオタイプは、多様なアイデアの「流れ」がないと生まれないが、この速度は実はとても大事なんだと考える。つまり、「早すぎてついていけない」のが、この時代の特徴である。


NegativeなSocial Feedback Loop

USの大きな波として感じるのは「Facebook離れ」である。海の向こう側の話として聞くのと、現地で話を聞くのでは大きく違う。実際にFacebookを使わない、という人も増えているし、デジタルメディアもKon-Mariする時代にきた。

現状のSocial Mediaの問題は、NegativeなSocial Feedback Loopを生んでしまうその環境の問題である。直接的に行動をともにする人が最も大事そうだが、実際にはその行動が目に入る、ということが実は行動変容に影響を与える。

人間の意思決定は、思ってるよりも周囲の環境に左右されている。どんな行動、考えを持った人と付き合い、その多様性のある環境に身を置くかということはとても大事なことだと人はなかなか気づかない。Negativeな情報の流れ、攻撃的な情報の流れに触れ続けることにより、自分も同様の行動をとることがある。NegativeなSocial Feedback Loopは増幅してしまう。

多様そうに見えて、アイデアの流れが早すぎて多すぎる結果として、実は思考が停止してしまうような状態にあり、こうした事がCyberBullyingを生み、意思決定の質を下げてしまう。

また、HyperConnectした世界で、孤独を感じるという不思議な世界にもなった。一部の研究によると、Social Mediaを使えば使うほど、より孤独感を感じるといわれている。人と比較してしまうようなインターフェースは、よりその人を不幸にし孤独にするこれはUSでは「Loneliness Epidemic」つまり孤独の伝染病だ、と言われている。

https://www.washingtonpost.com/news/on-leadership/wp/2017/10/04/this-former-surgeon-general-says-theres-a-loneliness-epidemic-and-work-is-partly-to-blame/?noredirect=on&utm_term=.15c805f7e006


Reference:Cigna

PositiveなSocial Feedback Loop

社会的学習の循環

名著『ソーシャル物理学』によると、大事になるのが社会的学習を助ける仕組みづくり。「成功者の真似は個人の学習スピードを飛躍的に伸ばす」というもの。最良の戦略を見つけていく過程で、おそらく「確かな情報」と「不確かな情報」があり、いかに確かな情報を見つけ、その行動をとるか、ということが大事になる。

多様性の保護

学習を助ける上で、実は大事なのは多様性である。良いアイデアは「違い」から生まれる。Differenceというのはとても大事な考え方だ。今のSNSの仕組みでは、それが生まれづらい。例えばFacebook。アルゴリズムは自分の近しい人、エンゲージが高い人たちが優先的に表示される仕組みになっている。「同じような人たち」の繋がりが多く、Seredipityが生まれづらい環境にある。これをやるには意識的にSNSを使わないといけないが、それをする人は少ない。Twitterはより多様的でありそうなアルゴリズムに思えるが、大量で集団的思考停止に陥りやすく、Cyber上でのいじめに繋がりやすい。

多様性を保護しつつ、気づきを与えるインターフェースが必要であるように思える。



違いが生きる社会システムを創る

僕らのビジョンは「違いが生きる社会システムを創ること」。

Create a social system in which differences can thrive.

メンタルに問題を抱えやすい社会構造の中で、いかにPositiveなFeedback Loopを作れるか、そのために多様性がより生きる社会システムを創ることに挑戦している。ここで大事になるのが「内省的」である、ということで、ゆったりとした時間といえばいいか、自分や他人の思考について深く考える時間が大事だと考えている。気づきを与えつつ、自分の考えを進化させていくために、上手くいっている人の真似をして、社会的学習を助けていくような仕組みである。

僕らが作っているプロダクトとはまさにそういったもので、上手くいくようにガイドしてくれるプロダクトである。このプロダクトはComputer As Persuasive Technologyと呼ばれるもので、これをUIやUXまたはTechnologyの力で実現しようとしている。

興味がある方はぜひ一度お話をしましょう!


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