先日、石川県の宝達中学校の1年生と2年生を対象にワガママLabを実施しました。
ワガママLabメソッドの「たったひとりのワガママ(=言ってはいけないと思っている切実な願い)」に注目し、その人のためのアプリをつくる。
これを体感する4コマの授業だったのですが、授業後、生徒たちにとったアンケートにはこんな言葉が並んでいました。
- ひとりの意見が世界を変えるのはすごいと思いました
- ひとりのワガママで世界が変わることに驚きました
- 中学生でも、誰かの命を救えるかもしれないと思いました
- 自分がつくったアプリで、いつか誰かを助けてみたいです
「ひとりから始めていいんだ」と。それは、自分にも何かできるのかも、という希望になっているのかなと思いました。
この反応を見るたびに、私は思い出すことがあります。
「それってひとりだけの話でしょ?」と言われた日
地元・栃木県小山市で活動を始めた頃のことです。
あるお母さんの切実な声を聞き、「これは多くの人にとっても大事なテーマだ」と思って発信しました。
すると返ってきたのは、こんな言葉でした。
「それって、ひとりだけの話でしょ?」
「同じ人がいるなら、何人いるの?」
真っ当なコメントかもしれません。
でも、思いました。
じゃあ何人に聞けばいいんだろう。
小山市民は当時167,000人いました。何人が同じことを言っていれば向き合ってくれるんだろう。
数が揃わない限り、この声は無かったことになるのだろうか。
「たったひとり」の声では、アジェンダは挙げることができない。
その現実にやるせなさが残りました。
本当に切実な声ほど、データにならない
現場にいればいるほど、分かってきたことがあります。本当に困っていることほど、言葉にしづらくアンケートに書かれません。もしかしたら言語化もしたこともないかもしれない。だから数字として集まりにくいです。
それでも確実に存在しています。
「言ってはいけない」「言いにくい」と思って秘めた気持ちにこそ、根深い課題が隠れていることに気がつきました。
n=1の声はどう社会実装できるのか
でも、「たったひとりが大事です」と言葉で言っても、伝わりません。
じゃあ、どうすればいいのかと思っていたところに出会ったのが MIT App Inventor でした。
MIT App Inventorとは:
マサチューセッツ工科大学が開発した、限りなく簡単に、無料で、Webブラウザ上でスマートフォンアプリをつくることができる仕組みです。「誰もが課題の解決者になれる社会をつくる」ことを目指して開発されており、世界中で使われています。
https://wagamamalab.jp/posts/mit-app-inventor_250903/
欲しいものを、実際につくことができる。
誰かの困りごとを、アイデアではなく“かたち”にできる。むしろ、困っている人が自分で自分が欲しいものをつくることができるとしたら。
そのとき、はっきり思いました。
つくれたら、伝わるかもしれない。
n=1の困りごとを解決するアプリを、プロトタイプとして社会に発信することで、初めて議論の土俵に乗せられる。
この取り組みを広げることで、n=1の困りごとの解決を社会実装につなげられる可能性を感じることができました。
これをメソッド化したのが「ワガママLab」です。
ワガママLabがやっていること
ワガママLabでは、注目するのは、いつも”たったひとり”です。
お母さん、幼馴染、担任の先生などなど、その人のワガママ(=言葉にしてはいけないと思っている、切実な願い)を、丁寧に聞いて、深掘りをして、要件定義して、アプリにする。
私たちがやっているのは、n=1の感情を、社会が扱える形に翻訳し、実装することです。
n=1に向き合う可能性
たったひとりに向き合ったとき、人は動き出す。
Japan Wagamama Awardsや探究の現場で、それを何度も見てきました。
だから私たちは、これからも “たったひとりの声”から、つくり続けます。
以下、私たちの活動のリンク集です
▼ワガママラジオ|世界への挑戦ドキュメンタリー
毎週月曜日更新!今日の記事を書くきっかけになった配信です。
▼Japan Wagamama Awards2026ホームページ
全国の10代が対象。たったひとりのワガママを叶えるアプリをつくり、地域や世界に発信するコンテスト。
エントリー締め切り間近!:2025年12月26日
全国大会実施日:2026年3月1月
▼ワガママLabの探究学習プログラム
中学校、高校の総合や探究学習の授業でご活用いただけます。
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