ナマステ。いつもご覧いただきありがとうございます。iTips小西です。
4月ですね〜インドでは4月は暑い季節の始まりです。iTipsのあるバンガロールも同様に一年で最も暑い時期。ただ、日本の軽井沢のように標高が高いエリアにあるため、比較的涼しく、北インドと比べるとかなり快適に過ごせます。とはいえ、日中はおおよそ35℃くらい・・やはり暑さはさすがのインドです。
さて、今回はそんなバンガロールに拠点を置く職業訓練校「oyakata Skill Training Centre」で活躍する遠藤さんへのインタビューをお届けします。
遠藤さんの業務内容や日々の向き合い方を通じて、iTipsが推進する事業の価値や意義もお届けできればと思います。
また、企業にとっては人材採用にとどまらず、インド進出を考えるうえでもヒントになる内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
遠藤さんが担う、2つの役割
生徒募集について〜なぜ遠方から生徒が集まるのか?
企業対応~人材採用とインド進出をつなぐ取り組み
遠藤さんと訓練生の関わり
最後に
遠藤さんが担う、2つの役割
まず、遠藤さんの主な業務について聞いてみました。
遠藤:
現在、訓練校には日本人スタッフが3名在籍しており、私が主に対外的な役割を担い、残りの2名のメンバーが日本語教育や訓練校の運営を担当しています。
私の対外的な役割には大きく2つの業務がありますが、1つ目が「訓練校の生徒募集」、2つ目が「訪印する日本企業への対応」です。
生徒募集について〜なぜ遠方から生徒が集まるのか?
(写真)入学手続きの様子
それではまず「訓練校の生徒募集」についてお聞かせください。生徒募集はどのように行っているのでしょうか??
わたくし小西が以前訓練校を訪問した際、生徒の一人にどこから来たのか尋ねたところ、訓練校のあるバンガロールからはるか1,000キロも離れたインドールから来たと答えてくれました。その距離にも驚きましたが、それ以上に気になったのが「どうやってiTipsを知ったのか?」という点です。
遠藤さんに詳しく聞いてみました。
遠藤:
訓練生の出身地は本当にさまざまです。訓練校のあるバンガロールから約2,000km離れたブッダガヤから来ている学生もいます。
では、どうしてそのような遠方から生徒が集まるのか?その一例として、ブッダガヤでの取り組みをご紹介します。
そもそも、なぜブッダガヤでの募集活動に狙いを定めたかというと、ブッダガヤはその地名で想像できる方も多いと思うのですが、釈迦が悟りを開いた場所で仏教最大の聖地です。そのため日本のお寺、タイのお寺、アジアの人が多く、実際に幼いころから日本文化に関心を持ち育ってきた方が多くいます。さらに、町のサイズ感、大きすぎない町だからこそ情報が口コミで広がるところにも可能性を感じていました。
(写真)ブッダガヤにある仏教寺院の様子
具体的な広告は下の写真のような看板広告を出しています。掲載場所の選定は地元出身の訓練生に協力してもらい、車の交通量が多い場所、人の往来が多い場所といったいくつかの要件を元に選定しました。特に効果が高かったのが「大学の門付近」に設置した看板です。
学生の目に留まりやすく、実際に今年1月に入学した約50名のうち、約3割がブッダガヤの広告経由での応募でした。
もともと友人同士ではなくても、「知り合いの知り合い」といった形で情報が拡散。まさに狙い通り、口コミが機能した結果となりました。
(写真)ブッダガヤ高速道路沿いの広告
こうした成功事例を踏まえ、次に注目している地域があります。
次に狙う土地はアッサム地方です。アッサムは、ブッダガヤからさらに北東へ約1,000キロ進んだ場所にある世界有数の紅茶の産地です。
この地域に注目している理由の一つが、州政府主導のプログラムの存在です。これは、アッサム州の若者に対して州外・海外での就業機会を広げることを目的とした取り組みで、現在人材の流動性が高まりつつある地域でもあります。
この流れを追い風に、ブッダガヤでの成功モデルを横展開していく構想です。
小西:
ブッダガヤやアッサムのような地域で育った若者は、州を越えて働くこと、ましてや日本で働くことは、到底想像もつかない人生を送ってきたかと想像します。そんな中、一世一代の決心をもってiTips訓練校への入学を決めた彼らからは、「人生を切り開く覚悟」と本気度が強く伝わってきます。
企業対応~人材採用とインド進出をつなぐ取り組み
(写真)採用面接の様子
それでは次に、2つ目の主な業務「訪印する日本企業への対応」について聞いてみました。
遠藤:
日本語能力試験のN4レベルと、SSW(在留資格「特定技能」1号)に合格した生徒たちは、いよいよ日本企業との面接に進みます。私は日本チームから面接の依頼を受け、インド側で生徒との日程調整や面接の設定を行っています。
1社あたり、おおよそ5名程度の生徒が面接を受け、そのうち2名が採用されるケースが多いです。
企業からは、生徒たちの日本語レベルの高さを評価いただくことが多いです。日本語の習得=努力を継続できる人と評価し、日本語レベルを採用の判断材料の一つとして検討されている企業が多いように感じます。
(写真)内定式の様子
そして、面接以外の企業対応の業務として、インド現地の視察同行があります。
例えば、昨年末、防水工事会社の皆様が採用面接のために訓練校に来られた際には、市場調査を目的として、資材の専門店街やバンガロール最大級のローカルマーケット「KRマーケット」にお連れしました。インドで自社製品を製造する際、現地で資材を調達できるのか?また価格などリアルに把握できる場所としてご案内しました。
(写真)KRマーケットの様子。日用品、生鮮食品、生花から工具類まであらゆる店がひしめくエネルギッシュなマーケットです。
各企業の滞在期間はおおむね4日間。そのうち移動と面接に3日間程度要するため、限られた残りの滞在時間を有意義なものになるよう準備します。
前述の防水工事会社においては、結果として、非常に有益な市場調査の機会となり、インド進出に向けた具体的な判断材料を持ち帰っていただきました。
その他にも、企業のニーズに応じてさまざまな視察をコーディネートしています。
・日系企業訪問
・インドの土木建設現場
・インド政府認定の技術者育成機関
・製造業の現地工場 など
(写真)バンガロールの日系企業訪問
通常であればコネクションがないと入れない場所でも、リクエストに応じて可能な限りご案内しています。
このような現地への視察が企業の事業のヒントになればという思いもありますが、訓練校の生徒たちが育ったインドについて、その営みや生活そのものを知ってもらいたいという思いもあります。生徒たちの育ったインドを実際に見て感じてもらうことで、企業と生徒の距離がぐっと近くなると思います。今後訓練生が実際に日本で働くと、文化や価値観の違いからすれ違いは起こるものだと想像します。しかし、その違いを彼らが育った環境・背景から理解することができれば、すれ違いも乗り越えていけるのではないかと思います。
訓練生の多くは、遠く離れた地元を離れ、バンガロールへ来ています。人生をかけてチャンスを掴みに来ている若者たちです。
私は、企業にとっても、生徒にとっても、長く価値のある関係になるよう、日々の活動に向き合っています。
(写真)インド政府認定の他の職業訓練校視察の様子
遠藤さんと訓練生の関わり
(写真)卒業式の様子
ここまでは主に業務についてお伺いしてきました。ここからは少し視点を変えて日々一緒に過ごす訓練生との関係性や、訓練生への想い、そして、遠藤さんが仕事に向き合う上で大切にしている考えについても伺いました。
遠藤:
iTipsの特徴は、単に人材を育成して紹介するだけでなく、訓練生と私たちが約1年間という時間を共に過ごし、就労支援まで個々にサポートする点にあります。私は特に、募集活動という入口から、出口である企業との採用面接に関わるため、訓練生一人ひとりに特別な思い入れがあります。
ただし、彼らが日本での生活や就労環境にスムーズに適応できるよう、あえて距離感を保ち、時には厳しく接することも重要だと考えています。
さらに少し長期的目線でみると、彼らが日本で活躍すること自体がiTipsの評価につながると思っています。
「日本で働きたい。それならiTipsに行こう」そう思ってもらえる流れをつくることを常に意識しながら業務に携わっています。そのためには、今回ご紹介した業務を実直に進めつつ、事業拡大の機会の創出にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
最後に
小西:
遠藤さんにお話を伺い、企業への丁寧な対応は、生徒一人ひとりの人生を背負うという責任感と事業への使命感から来ていることを改めて感じました。インドの若者一人一人の人生をかかえる我々の事業の意義、その最前線に遠藤さんがいます。遠藤さんは、訓練生の人生と日本企業から見たiTipsの印象の両方に関わる重要な役割を担っています。
もう一つ、今回の取材で感じた価値があります。それは、遠藤さんの活動自体が企業のインド進出の入り口になっているという点です。
現在、日本では外国人採用が注目されていますが、どの国の人材を採用するかは、その国での事業展開の理解にもつながります。「人材」という切り口から現地を知り、実際に挑戦する人と出会えることは、新しい事業の可能性に触れる入り口になると考えます。
インド人材の採用やインド進出に少しでもご関心をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。