なにをやっているのか
印刷技術による柔らかいモーター
川原研究室の教員・スタッフ・学生は東京大学工学系研究科と大学院情報理工学系研究科に在籍し、コンピュータサイエンスとエンジニアリングの融合領域で世界最先端の研究に取り組んでいます。また、社会を大きく変容させる未来ビジョン実現ために、工学および情報学的なアプローチの融合によりゲームチェンジングな解決策に取り組む社会連携を促進しています。
プロジェクトの多くは、未来のIoTデバイスやロボットを実現するための、デジタルモノづくり技術や無線給電技術に関するもので、IoT領域の著名な国際会議であるACM UbiCompや、ユーザインタフェース系の国際会議ACM UIST, CHI, そしてロボット系のIEEE ICRA, IROSなどに次々と研究成果を発表しています。
本研究室では、最新の研究成果を活用し、社会を前進させることを目的とした産学連携活動に力を入れています。
なぜやるのか
銀ナノインクによる電子回路の作成技術
土壌水分センサSenSprout (SenSprout社提供)
大学では毎日数多くの科学的発見や技術革新が起こっています。一方で、現代の人類が直面する数々の社会課題は、一つの科学技術のみで解決しうるものではなく、各学術領域が垂直・水平的に連携、融合した新たなコラボレーションによる解決が期待されています。
当研究室で2013年に発表した「Instant Inkjet Circuit」は、ごま粒の1万分の1以下の大きさの銀粒子を加工して作成したインクを用いて紙の上にさらさらと描くだけで、回路を作成することができる技術です。この手法を使うことで,従来の100分の1程度の価格の機器と,従来の100分の1以下となる1分間程度の短い時間で,高度な電子回路素子の作成が可能となりました。
本成果により,研究者やエンジニアがより手軽に柔軟な電子回路を制作できるようになったほか、電子工作愛好家やアーティストが手軽に回路の試作を繰り返すことができるようになりました。また、硬い基板だけでなく柔軟性をもった、軽く折り曲げられる電子回路を作ることも可能です。
本成果は、その後電子回路基板製造を手掛けるエレファンテック株式会社、そして農業用低価格センサを製造するSenSprout株式会社の設立につながりました。
最近では、印刷エレクトロニクスや3Dプリント技術を活用することで、柔らかいロボットのための柔らかいモーター、折紙の数理を活用したユニークなロボットの作成など新たなプロジェクトが生まれています。
技術革新の恩恵を受け、イノベーションを実現するためには、各学術分野において伝統的ディシプリンにより深化した研究を基軸としつつも、明確なインセンティブを伴う研究者の自発的モチベーションに基づいた融合領域が生まれる場を意図的に生み出すことが重要です。
これらの社会課題は要素技術の適用だけでなく、ビジネスモデルの転換や科学技術と社会ビジョンの一体的なデザインが新たな価値創造に不可欠であり、そのためには、最新の研究成果を社会に伝え、そして社会の要請を研究者にフィードバックするディレクター人材が必要不可欠です。
どうやっているのか
現在、10名強の研究員・スタッフ、20名弱の学生のほか、JST ERATO 川原万有情報網プロジェクトとして研究室外の30名程の研究者と協力しながら幅広くプロジェクトを進めています。
・研究フェーズ
研究員や学生が主体となり、トップレベルの論文誌や国際会議での成果発表を目指して研究を進めます。
次世代のIoTセンシングを可能にするセンサの製造技術と利用技術、センサデバイスへの給電技術、そして、実世界を動き回りセンシングを行うロボット技術も手掛けています。
・異分野融合
JST ERATO 川原万有情報網プロジェクト