「守り」から「共創」へ。キカガクCFOが描く、事業を加速させる「攻めのバックオフィス」戦略
「管理部」と聞いて、皆さんはどんなイメージを浮かべるでしょうか? 淡々と事務処理をこなし、ルールを守るための「ブレーキ」役……。そんな従来のイメージを覆し、事業と共に価値を創り出す「共創(Co-Creation)」の組織へと変革を進めているのが、株式会社キカガクの管理部です。
今回は、執行役員CFOの小西さんにインタビュー。管理体制をいかに立て直し、データという武器でいかに経営をリードしてきたのか。そして、これから目指す「AI時代のバックオフィス」の姿について、熱い想いを語っていただきました。
プロフィール
小西(Konishi) / 執行役員 CFO
公認会計士試験合格後、大手監査法人にて、主に上場会社及び大会社への財務諸表・内部統制監査主査に従事。その後、キカガクにジョイン。現在はCFOとして、財務戦略から総務・法務・情報システムまで、バックオフィス全体の統括を担う。
1.「コントロール」から「共創」へ。管理部が掲げる新たなアイデンティティ
ーーまず、キカガクの管理部が組織として大切にしている考え方について教えてください。
小西: 私たちが全社に向けて発信しているのは、「コントロール(管理)からコ・クリエイト(共創)へ」というパラダイムシフトです。
一般的にバックオフィスは、ルールを作って現場を縛る「管理」の組織だと思われがちです。しかし、それでは現場のスピード感やクリエイティビティを削いでしまいます。私たちが目指すのは、現場のメンバーと同じ目線に立ち、事業の課題を一緒に解決していくパートナー。つまり、共に価値を創る「共創」の組織です。
ーー「共創」を実現するために、具体的にどのような姿勢で業務に取り組んでいるのでしょうか。
小西: 「攻めのバックオフィス」という言葉を大切にしています。これは単にアグレッシブに動くという意味ではありません。「事業の生産性を高めるために、管理部が何を提供できるか」を問い続ける姿勢のことです。
例えば、現場が「案件の管理が煩雑で、本来の仕事に集中できない」と悩んでいるなら、それを解決するインフラを整える。データが見える化されていないために意思決定に迷っているなら、判断材料を揃える。こうした一つひとつの積み重ねが、組織全体の成長を支える基盤になると信じています。
2. データのカオスを整理し、経営の「羅針盤」を作るまで
ーー小西さんが入社された当時、キカガクの管理体制はどのような状態だったのでしょうか。
小西: 正直に申し上げると、当時は「案件管理」ほとんどできておらず、会社の実態を把握することすら困難な状況でした。
売上を把握しようにも、膨大な量の請求書と契約書から読み取れる情報を一枚ずつエクセルに手入力して、抜け漏れがないかを確認する……といった、非常に属人的でアナログな手法に頼っていました。これでは月次決算を迅速に出すことも、将来の予測(着地見込み)から事業経営に役立てることも不可能です。会社が急成長している中で、足元の数字が不透明なのは非常に大きなリスクでした。
ーーそこからどのように改革を進めていったのですか?
小西: まず取り組んだのは、案件管理データベースの作成です。種々のステップを踏み精度を上げていき、直近ではSalesforceを利用して販売から生産プロセスまでのデータ一元管理の基盤システムを構築しました。「案件」という単位でリードの獲得から講師のアサインまで、すべての情報を紐付ける仕組みを作りました。いつ、誰が、どのクライアントと、どのような契約を結び、いつ入金されるのか。これらを一気通貫で可視化することに注力しました。
ーーシステムを導入するだけでなく、文化を変える必要もあったかと思います。
小西: その通りです。単に「入力してください」と言うだけでは現場は動きません。「このデータを入力することで、営業と講師間のコミュニケーションコストを削減しつつ、リアルタイムで自身の行動量や成績、目標の達成状況が可視化され、事業部採算性についても把握・分析しやすくなる」と、現場にとってのメリットを丁寧に伝え続けました。
今では、1人当たりの生産性や、事業部ごとの利益率を正確かつ迅速に算出できるようになっています。かつて赤字に苦しんでいた事業部が、数字を直視し、課題を特定したことで黒字転換したときは、管理部としても大きな手応えを感じましたね。数字という共通言語を持つことで、経営の精度は劇的に向上しました。
3. スタートアップのスピードを殺さない「最適解」のガバナンス
ーー組織が拡大するにつれ、ガバナンス(統治)の強化も求められますよね。
小西: はい。ただ、ここが非常に難しいバランスなんです。上場企業のような厳格なルールをそのまま持ち込むと、スタートアップ特有の機動力が失われてしまいます。
私が今のフェーズで意識しているのは、「生産性を下げないガバナンス」です。例えば、一つのアクションに複数人の承認が必要な仕組みは、今のキカガクには適していません。事業活動に係る意思決定は可能な限り迅速に行えるプロセスにしておき、管理部としてはリスクアプローチの観点からモニタリング体制に強弱をつけることのできる仕組みをデザインすることで、生産性を可能な限り低下させずに予防的機能と発見的機能を十分に発揮できる統制構造にしています。また、ITツールを駆使して、異常値をスムーズに検知できるようにするなど、テクノロジーの力を活用しています。
ーー「ルールを守らせる」のではなく、「自然に守られる仕組み」を作るということでしょうか。
小西: そうですね。現場の負荷を最小限に抑えつつ、リスクも最小限にする。そのための「最適解」を見つけることこそが、プロとしてのチャレンジだと思っています。
4. 3年後のビジョン:AIと人間が共創する「次世代バックオフィス」
ーーこれから3年、5年先を見据えて、管理部はどのように進化していくべきだとお考えですか。
小西: 私たちが次に目指しているのは、「AIによるバックオフィス業務の自律化」です。
現在、キカガクには膨大な一次データ(売上、費用、人員アサインなど)が蓄積されています。これらをAIに学習させることで、精度の高い業績予測や、リソースの最適配置の提案を自動で行えるようにしたい。人間が時間をかけて行っている「間違い探し」や「集計作業」からは、早く卒業すべきだと思っています。
ーー作業から解放された人は、どのような役割を担うことになるのでしょうか。
小西: より高度な「経営企画」的な役割です。AIが出した数字を元に、競合他社の動きや市場のトレンドを掛け合わせ、「次はどの領域に投資すべきか」「どのような組織改編が必要か」という戦略を練る。
バックオフィスのメンバー一人ひとりが、自分の専門性を武器に、経営の意思決定に直接関与していく。そんな、クリエイティブでワクワクする組織にしていきたいですね。
5. 共にキカガクの未来を作る「仲間」へ
ーー最後に、現在募集している管理部のポジションに興味を持っている方へメッセージをお願いします。
小西: 私たちが求めているのは、自分の職域を限定せず、変化を楽しめる方です。
会計や法務の知識があるのは素晴らしいことですが、それを「守り」のためだけに使うのではなく、事業を「伸ばす」ためにどう活用するか。その問いに対して、自ら一歩を踏み出せる方と一緒に働きたいと思っています。
キカガクは今、第二創業期とも言える大きな転換点にあります。ここで培う「攻めのバックオフィス」の経験は、これからのAI時代において、どの企業からも求められる希少なキャリアになるはずです。
ーー小西さんにとって、一緒に働く「仲間」とはどんな存在ですか。
小西: お互いの強みをリスペクトしつつ、会社のビジョンという同じ目的地に向かって、背中を預け合える関係ですね。
キカガクには、新しい学びを楽しみ、困難な状況でも「どうすればできるか」を前向きに考える文化があります。あなたの専門性を、キカガクという船を加速させるエンジンとして活かして見たいという方、 熱い志を持った方との出会いを、心から楽しみにしています。
編集後記
小西さんのお話を聞いて印象的だったのは、数字やルールを「冷たいもの」としてではなく、会社をより良くするための「温かい想い」を形にする手段として捉えていることでした。 「管理部が事業をリードする」。そんな新しいスタンダードを作ろうとしているキカガクで、あなたも自分だけのストーリーを始めてみませんか。