「教育の会社」から「企業変革のパートナー」へ。 いま、株式会社キカガクは大きな転換期の真っ只中にいます。その中心で舵を取り、未踏の領域への道筋を描いているのが「戦略室」です。
今回は、戦略室室長兼AX事業部長を務める田邉 北斗さんにインタビューを行いました。彼が語ったのは、華やかな戦略だけではありません。組織が直面している「実行力」という壁、そしてキカガク流の「学び」に対する深い想い――。
スタートアップの最前線で戦うリーダーが描く、キカガクの現在地と未来を紐解きます。
プロフィール
田邉(Tanabe) / 戦略室室長 兼 AX事業部長
エンジニアとしてキャリアをスタートした後、アクセンチュア社にてビジネスコンサルタントとして活躍。データ活用による営業改革で受注率10倍アップを達成。大規模の研修統括など人材育成にも深い知見を持つ。2024年キカガク参画、技術とビジネスの「橋渡し」を得意とし、現在は戦略室室長とAX事業部部長を兼任。
1.「Plan & Execution」:戦略を絵に描いた餅で終わらせない責任
――まず、キカガクにおける「戦略室」の役割について教えてください。
戦略室のミッションをひとことで言えば、「Plan & Execution(立案と実行)」です。
一般的に「戦略室」と聞くと、会議室で数字を眺め、綺麗なスライドを作るだけの組織をイメージされるかもしれません。しかし、私たちの役割はそれとは正反対にあります。キカガクが中長期的な価値を向上させていくために、いま何が必要かを考え、各事業部と連携して泥臭くプロジェクトを推進していく。つまり、戦略を「策定」すること以上に、それを「形にする」ことに重きを置いています。
現在、私たちは「2030年までの新エコシステム構築」という大きな目標を掲げています。その達成に向けた注力テーマは大きく分けて3つです。
【キカガクが目指す新エコシステム】
一つ目は「クライアントアセット」の最大化。これまでのキカガクは、質の高い研修を提供する「研修ベンダー」としての地位を確立してきました。しかし、いま私たちが目指しているのは、その先にある企業の「変革パートナー」です。研修を提供して終わりではなく、お客様の売上向上や組織課題の解決に、私たちのリソースをどう直接寄与させていくか。戦略室が自らフロントに立ち、いくつかのアカウントを持ちながら、成果にコミットする新しい動きを加速させています。
二つ目は「AIトランスフォーメーション(AX)」。これは私たちが最も得意とする領域ですが、いま一度「守りのAX」と「攻めのAX」の両面からアプローチを強化しています。社内の業務効率を劇的に改善するだけでなく、そこで得た知見や自社開発のツールを外販可能なレベルまで磨き上げ、お客様のDXを強力に支援する体制を整えています。
三つ目は「リカーリング型モデル」への転換。単発の研修受注に頼るのではなく、通信教育事業などを通じて、お客様と長く深く付き合いながら、持続的に価値を提供し続けられるビジネスモデルを構築することです。
これらの戦略は、どれ一つとっても一筋縄ではいきません。だからこそ、戦略室が先陣を切ってチャレンジし続ける必要があるのです。
2. 「学び」の再定義:必要なときに、必要な一歩を踏み出せる教育を
――キカガク流の新しい「育成モデル」についても詳しく聞かせてください。
いま、私たちが最も熱量を持って取り組んでいるのが、育成モデルの刷新です。従来の教育の多くは、あらかじめ決められたカリキュラムを決められた時間で学ぶ「詰め込み型」でした。しかし、変化の激しい現代において、そのモデルは限界を迎えつつあります。
そこで私たちが提唱しているのが、「ジャスト・イン・タイム学習(マイクロラーニング)」です。
実務の中で課題に直面したその瞬間に、それを解決するために必要な知識だけをピンポイントで学ぶ。これが、最も効率的で定着率の高い学びの形だと考えています。
このモデルを支えるのが、「学ぶ」「証明する」「活躍する」という3つのステップをデータドリブンで繋ぐ仕組みです。
単に動画を視聴して終わりにするのではなく、学んだ内容を可視化し、そのスキルが現場でどう成果に結びついたかをデータで証明していく。この「活躍」までをセットで支援することが、これからのキカガクが提供すべき価値です。
――具体的に、どのような変革を狙っているのでしょうか?
例えば、「PBL(課題解決型学習)」の延長線上にある新しいスキームとして、「2-in-1 Box(ツーインワンボックス)」と私たちが呼んでいるプロジェクトがあります。
これは、受講生がスキルを習得するプロセスに、実際の業務支援を掛け合わせるものです。研修を「教育」という枠の中に閉じ込めるのではなく、「成果を出すための手段」として再構成する。
正直なところ、この変革は非常に難易度が高いです。従来の研修パッケージを販売する方が、ビジネスとしては楽かもしれません。しかし、それでは本当の意味でお客様の「成長」に寄与することはできない。私たちは、研修ベンダーという殻を脱ぎ捨て、企業の未来を共に創る存在へと、大きな一歩を踏み出そうとしています。
3. 「実行力」の壁。スタートアップのリーダーが抱く生々しい葛藤
――ここまで非常に壮大なビジョンを伺いましたが、現状の課題についても伺えますか?
課題は、山積みです。はっきり申し上げると、いまの戦略室に最も欠けているのは「実行力」です。
戦略室という組織ができ、機能としての立ち上げは終わりました。しかし、策定した戦略を100%の精度で現場に落とし込み、結果が出るまでやり抜くという点においては、まだまだ力不足を感じています。
私自身、コンサルタントとしてのバックグラウンドがあり、論理的に考え、企画を立てることには自信がありました。しかし、いざ組織のリーダーとして、複数の事業部を巻き込みながら戦略を「完遂」させようとすると、自分の無力さを痛感する場面が多々あります。
――それは具体的に、どのような葛藤なのでしょうか。
「頭でっかち」になってしまっているんです。 コンサル出身者にありがちな傾向ですが、計画を立てることに満足してしまい、それを現場で泥臭く回し続ける粘り強さが足りない。また、各事業部が自律的に動いている中で、それらをどう繋ぎ、相乗効果(シナジー)を生んでいくかというマネジメントの難しさにも直面しています。
現在は、素晴らしい仲間たちの力を借りて、なんとかプロジェクトを回していますが、個人のパフォーマンスを「足し算」から「掛け算」へと変えていくためには、組織としての実行力をもう一段階、いや二段階引き上げなければなりません。
いま、私が一番求めているのは、この「不確実な状況下でも、現場の成果に執着し、泥臭く動き続けられる人」です。綺麗な戦略を描くこと以上に、それを現実のものとするための執念。それこそが、いまの戦略室に必要なピースです。
4. キカガクの「次」を、誰と一緒に創るか
――これから戦略室に加わる人には、どのような経験を期待していますか?
もちろん、戦略的な思考やDXに関する知見はあれば望ましいです。しかし、それ以上に大切にしたいのは「自分自身がキカガクをどう変えたいか」という主体的な想いです。
いま、市場は劇的に変化しています。生成AIの登場により、これまでの「教えること」の価値は相対的に低下しています。ネットで検索すれば、あるいはAIに聞けば解決するような知識を提供しているだけでは、お客様に選ばれ続けることはできません。
だからこそ、私たちは「教えること」の先にある価値、つまり「お客様が成果を出すためのトータルな支援」を模索し続けなければならない。これは正解のない問いであり、毎日がチャレンジの連続です。
キカガクの戦略室は、まだ「完成」された場所ではありません。むしろ、これから本当の勝負が始まるフェーズです。
「売上に貢献する」という目標も掲げています。これは、戦略室が自ら利益を生み出し、会社を牽引していくという強い覚悟の現れです。
――最後に、この記事を読んでいる「未来の仲間」へメッセージをお願いします。
私たちが挑戦しているのは、教育業界の常識を覆し、企業の変革を真に実現する新しいエコシステムを創ることです。
この挑戦に、近道はありません。時には壁にぶつかり、自分の限界を感じることもあるでしょう。それでも、未来の教育を、そして社会をより良くしたいという強い想いがあれば、これほど刺激的な場所はないと確信しています。
「やりたいこと」と「できること」。その境界線で、もがきながらも前進し続けたい。 そんな熱い想いを持った方と、キカガクの「次」を語り合えるのを楽しみにしています。
あなたの最初の一歩を、私たちは待っています。