株式会社コンタクト 採用担当の末永です。私は現在、採用担当・教育・人事・エンジニアサポート を担当しています。
普段は未経験エンジニアの方を中心に、キャリアの第一歩となる面談を行っています。
エンジニアの仕事をしていると、「言われたことだけをやる」「課題に対してなぜそれが問題かを深掘りしない」「会話の中で表面的な返答しかしない」人が意外と多いです。
でも、エンジニアという職種は「問題を解決する仕事」。つまり、「自分で考えること」が前提にあるんです。
■ 「ちゃんと考えてるつもり」…その“つもり”が危ない
「ちゃんと考えているつもりなんですけど……」
未経験からエンジニアを目指す方から、よく聞く言葉です。
ですが、私たち育成側から見ると、実はその“つもり”のまま止まってしまっている人が少なくありません。
問題の本質に気づけない。
会話の流れの中で本当に問われていることが見えていない。
作業の意味を理解しないまま動き始めてしまう。
そして3か月後。
残念ながら、「考えていない人」は、確実に見抜かれてしまうのです。
■ 現場でよくある「考えられていない人」の特徴
現場や研修の中でよく見られる、“考えているつもり”のまま止まっているケースには、共通する特徴があります。
1. 上辺で理解して終わる
言われたことを表面的に受け取り、背景や意図を深掘りしない。
→ そのため、求められているものとズレた成果物を提出し、やり直しになる。
2. 粒度が荒い
「ざっくり」理解して動くため、詳細な条件や確認事項を見落とす。
→ 詰めが甘く、完成後にミスが発覚しがち。
3. 時間に追われて深掘りしない
「納期優先」でとにかく提出することを目的にしてしまい、考察が浅いまま終わる。
→ 見直し・修正で時間を倍消費することも。
4. 経験を“点”で捉え、紐づけない
過去にやった似た作業や知識を活かせず、毎回ゼロから考えてしまう。
→ 学習が積み上がらず、成長スピードが遅い。
5. 論理的に整理できていない
話が飛びがちで、なぜそう判断したのか説明できない。
→ コミュニケーションの齟齬や、思考の偏りが起こりやすい。
■ なぜ“考える力”が評価に直結するのか?
エンジニアは「作業者」ではなく「問題解決者」です。
つまり、ただ言われたことをやるのではなく、考えて、整理して、判断して、形にする力が求められます。
現場では次のような力が重視されます。
- 相手の意図を正しく読み取る力
- 前提条件や影響範囲を考慮する力
- 判断の理由を論理的に説明できる力
これらはすべて、「思考の深さ」によって生まれるものです。
そしてこの“深さ”が足りないと、どれだけ頑張っても「また同じミスをする人」「なんとなく頼りない人」と評価されてしまうのです。
■ 3か月の研修で“見抜かれる”瞬間とは?
実は、私たち教育担当者は、最初の2週間で「考える力があるかどうか」を見極めています。
その後、指導やフィードバックを通じて思考力を伸ばせるかを観察し、
3か月の研修が終わる頃には、「この人は現場で活躍できそうかどうか」が明確に見えてくるのです。
だからこそ、今のうちから「考える力」を伸ばす意識が、何よりも大切なのです。
■ 考える力を深めるための5つの習慣
ここからは、「考えているつもり」から抜け出し、思考の深さを高めるための具体的なアクションをご紹介します。
① 「何を聞かれているのか?」を問い直す
指示を受けたら、すぐに動かずにこう問い返してみてください。
- 本当に求められているのは何か?
- 目的は何か?
- 相手の背景や意図は?
→ 問いを立てるだけで、解像度の高いアウトプットにつながります。
② 因果で考える(なぜ→だからどうなる)
「なんとなくやる」から脱却するには、筋道を立てて思考すること。
- なぜそれが必要なのか?
- その結果、何が変わるのか?
→ ロジックを明確にすることで、他者からの信頼も高まります。
③ 紐づけて考える
過去の経験と新しいタスクを関連付けましょう。
- 前にも似た作業はなかったか?
- 応用できる知識はないか?
→ “点”ではなく“線”で考えることで、理解が定着します。
④ 時間と手戻りコストを意識する
「とりあえずやってみる」より、「少し考えてから動く」こと。
→ 5分考えることで、1時間の手戻りを防げることはよくあります。
⑤ 思考を言語化する
頭の中で考えているだけでは不十分です。
紙に書いたり、言葉にしたりすることで、自分の思考の“穴”に気づけます。
■ 最後に:考える力が、あなたの武器になる
未経験からスタートしても、考える力がある人は必ず伸びます。
逆に、どれだけ手が動いても、考えることができなければ、現場では“使いにくい人”になってしまいます。
- 納期に間に合う人より、納期を守るために考え抜ける人
- スキルがある人より、論理的に判断できる人
- 作業が早い人より、理解が深く、応用できる人
あなたも、そういうエンジニアを目指しませんか?