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「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」を持つ人は現代の圧倒的強者である

「失って初めて気がつくなんて そんなダサいこと もうしたないのよ」。藤井風さんの『死ぬのがいいわ』の歌詞です。

しかし、「失った後に初めて気づく」という残念なことは、人間界で繰り返されています。思い当たる方もいるのではないでしょうか。

今回のコウダプロの朝礼では「失われゆくスキル」と「そのスキルを持つ強み」が語られました。それこそが「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」です。

お題のきっかけとなったのは、松尾さんと沼っちのメッセージのやり取りです。

シンプルながらも実に深みのあるテーマ。読んでいただき、ご自分の日頃のコミュニケーションと重ね合わせていただけたらうれしいです。

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こんにちは、プレスラボの池田園子(@sonokoikeda)です。昨年より、月1回「コウダプロ朝礼レポート」を担当させていただいています。

前回(2024年3月)の朝礼noteはこちらから。
https://note.com/koudapro/n/nf43973ce0107

それでは朝礼レポートをお届けします。

江戸時代にタイムスリップ!「失われたスキル」を考えてみる

毎週の朝礼でひとつのお題をもとに、最初に話すのは社長の幸田さんです。

その際、幸田さんは歴史上の出来事を挙げることも多く、それがとても面白い(学生の頃、試験勉強のために年号を覚えるのは「意味ある……(涙)?」と、つまらなく感じていましたが、大人になって歴史を学ぶのは楽しい)!

「失われゆく技術とは」を説明するにあたり、大前提として、時代の移ろいによって失われゆく技術があるのは自然なことで、「当たり前のこと」も今と昔とで変わることが語られました。


文化編〜毛筆で手紙を書くスキル

歴史から事例を見てみましょう。まずは文化編。たとえば江戸時代には、人は毛筆で手紙を書いていました。
「今、毛筆で手紙書ける人なんて安藤さんくらいよ」と冗談っぽく幸田さん。そう、安藤さんは大学時代に書道を専攻していて、今も達筆を披露する人物です。

▼「安藤さんとは」が分かる記事です▼
https://note.com/koudapro/n/n3a2048fe5a55

現代人は手紙を書かなくなっています。手紙の代わりにLINEやメッセンジャーを使うのが一般化しています。

PCやスマホで事足りるので、大抵の人は毛筆どころか、ボールペンで文字を書く機会すらほぼなくなっていることでしょう。

「文化が変わるのはまだ理解できると思いますが、身体そのものも変わるの? という事例もあります」と幸田さんが紹介してくれたのは、下の2冊でも解説された事例です。

『オニババ化する女たち~女性の身体性を取り戻す~』(三砂ちづる)

『表の体育裏の体育: 日本の近代化と古の伝承の間に生まれた身体観・鍛錬法』(甲野 善紀)


身体編1〜経血をまとめて排出するスキル

20年前に刊行された『オニババ化〜』はベストセラーとなり、私も当時手に取りました。あまりにも強烈なタイトルで、怖いもの見たさ(?)で興味を持たずにはいられませんでした。

そこでは江戸時代、月経中の女性はお手洗いに行くタイミングで、経血を排出していたことが紹介されています。

現代女性は月経時に生理用ナプキンを当てて生活していますが、昔はナプキンなどなく、おしっこを出すのと同様に、経血を出すスキルが備わっていたというのです。

身体編2〜馬と互角に走るスキル(超粗食で)

次は「馬子(まご)」の事例。馬の背中に人や荷物を乗せた輸送業に従事する人は馬子と呼ばれていました。

彼らの食事は超粗食で、米とたくあんだけ(力出る!?)。にも関わらず、馬子がマラソン選手並みのスピードで馬と互角に走っていたことが、日本を訪れた外国人の日記に綴られています。

身体編3〜20kg超の甲冑を着て220kmを移動するスキル

次は有名な話ですね。豊富秀吉の「中国大返し」です。秀吉は備中高松から京都の山崎(京都府乙訓郡)まで約220kmの行程を一説では8日間で踏破したと言われています。

重たい甲冑を着た軍隊が、ですよ。甲冑の平均重量は20kg〜。20kgのおもりを背負った状態で自分の足で220km移動するのは、力士やボディビルダーなどの力持ちでも不可能ではないでしょうか。

身体編4〜相手の力を上手く利用するスキル

「剣豪」の話も面白かったです。剣豪から「俺から1本とってみろ」と言われた弟子が、剣豪を背後から押して畦道(あぜみち)の小川に突き落とそうとしました。

剣豪は相手の力を利用してぴょんと向こう岸に飛び移ります。翌日、弟子が青い顔をして剣豪の元にやってきます。

「お前が探してたのはこの刀だろ?」剣豪は昨日押された瞬間に抜き取った弟子の刀を差し出します。

……うーん、いずれも現代ではどうがんばっても再現できない身体能力と言って差し支えないでしょう。

(秀吉や剣豪の身体能力は、当時の一般人よりも優れていたことは間違いないですが)生活の仕方によって、人間の身体能力も変わりゆくのだと思います。

一般的な現代人の生活だと、一生物として弱体化しているのは確かでしょう。運動量は明らかに減っていますからね。


変化のスピードが早すぎる直近30年で、人々の感性は激変している

今度は今日までの約30年間を見ていきます。

1973年生まれ、2024年5月時点で50歳の幸田さん。この世代の大人に共通することですが、特に大学時代からの約30年、激動の時代を生きてきました。

大学1年の頃、特に印象的だったこととして幸田さんが挙げたのが、美術批評家の布施英利さんが「この先、ケータイ電話というものが生まれる」「これから電脳時代がやってくる」と語っていたことだったといいます。

今、当たり前のようにスマホを持っている若い人にとっては「?」な感覚かもしれません。

今から24年前の2000年頃にも、忘れられないシーンがあったと語った幸田さん。

孫正義さんがヤフーに10億円投資し、「今後は全ての買い物がネットでできるようになる」と発言したことが、報道番組「ニュースステーション」で議論になっていたことを今でも鮮烈に記憶しているといいます。

そこでは久米宏キャスターや他の論客が「ネットで人はモノを買うのか?」「ネットみたいな(店としての実態が)見えないところで買うかな?」「ハードル高いんじゃない?」などの意見を真剣に交わしていたそうです。

今、私たちの生活にはAmazonや楽天が日常生活に溶け込んでいます。今日注文すれば明日届くことに慣れている人にとっては、先ほどと同じく「?」かもしれません。

これらの話を聞いて、「時代の変化に自然と乗っていて、今目の前のことが当たり前の様式となっていて、自分の感性が変わっていたことに気づいていない」ことに気づきました(言葉遊びのようですが、本当にそうです)。

ちなみに、幸田さんの内側には「ネットで人はモノを買うのか?」と「ネットで買うよ」というふたつの感性が同居しているものの、「今はもちろん後者の感性が優勢です」とのこと。

時代の変遷は人の感性を大胆に塗り替えていくことが分かります。それはもう明確に変わるのです。


消えゆく「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」

歴史の話を厚めにしてきましたが、ここからが本題です。現代においてなくなりつつあるスキルは「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」だと、幸田さんは言います。

「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」は言い換えると、

・相手の先入観をコントロールし、不愉快や不安、疑念を抱かせないようなスキル

・相手にとって「されたいこと」「期待していること」「逆にされたくないこと」など、相手のインサイトを想像するスキル
・「〜〜と言ったら・したら、相手はこう思うのでは?」と推測した上で次のアクション(発言なり行動なり)に移すスキル

と言えるでしょう。分かりやすい例を挙げてみましょう。

社長に予算確保のお願いをする場合
Aさん「社長、10万円の予算をいただけますか」
Bさん「社長、@@の施策を打ちたいので、10万円の予算をいただけますか。それにより@@の売り上げが立つ見込みです」

Aさんのお願いは唐突すぎる、かつ予算を何に使うのか分からず、これに「うん、オッケー」と即答する社長はこの世にひとりもいないでしょう。

ほかにも例を挙げてみます。

お酒を飲めないが宴席に誘われた場合
Aさん「自分、飲めないんでお酒の場は行きません」
Bさん「体質的にお酒は一滴も飲めませんが、盛り上げます!」

当日に人を誘う場合
Aさん「今日ご飯行きません?」
Bさん「今日、もしご予定がなければご飯行きませんか? 当日なんでダメもとでお誘いしてますので、遠慮なく断ってくださいね」

飲食店で注文の品が30分来ないのを指摘した場合
パターンA:(無言)でジュースがいきなり目の前に黙って置かれる
パターンB:「お待たせして大変申し訳ありません。こちらはサービスです」と言ってジュースが置かれる

これは口頭・メール・メッセージ関係なく、すべての対応で言えることです。

受け取り手は「この人って『“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションする』タイプじゃないなあ」と一瞬で察知できるもの。

相手によってそのスキルを発動させる場合と、そうでない場合があるのかもしれませんが、皆さんも気づいたことはありませんか?


流行のリスキリングよりも大事なこと

昨今「リスキリング」(英語の「Re-skilling」がもとになった言葉。日本語では「技能(スキル)の再習得」といった意味合いで用いられます)がブームです。

しかし、リスキリングに時間をかけるよりも、むしろ「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」を学んで実践する方が価値があるのではと幸田さんは言います。

コウダプロではこのスキルに特化した学びの機会が日常に散らばっています。実践することによって身に付くスキルだからです。

世の中では「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」はあまり重要視されていません。

「彼は“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキルがちょっと足りないね」

「彼女は“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキルが高すぎて、いい意味でヤバいね」

といったふうに正しく言語化されず、そのスキルを持たない人は「あいつは気が利かない」「あいつは使えない」などの言い回しで片付けられているケースが多いのです。

しかし、そうではないと幸田さん。

「この話をすると人格否定の要素が付きまといがちです。ただ、これはパーソナリティを貶められることではなく、あくまでもスキルの話であることを強調したいです。スキルだからこそ、練習するうちに鍛えられます」

仕事とは、簡単に言うと、人の困りごとを手伝うことです。つまり、必ず人と関わることになります。

だからこそ、知識を詰め込むよりも、「気持ちよくコミュニケーションできる筋力」を鍛える方が即効性があり、現場で生きるわけです。

皆さんの職場にも、この人とやりとりしていると心地よいなあと感じる人はいませんか? その人は確実に「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」の持ち主です。


高度な人間性を持って、人や社会と関わりたい

そろそろまとめに入ります。

今日もコウダプロが大事にしている「人生の本質=人間性を高めること」に関連するテーマの話を聞くことができました。

「“相手がどう感じるか?”を考えてコミュニケーションするスキル」を持ち、それを実践していることは高度な人間性を持って、人や社会と関わることに他なりません。

自分も一生をかけて、このスキルを高める努力をしていきたいです。

Text/池田園子

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