POLの中軸事業である「LabBase」。2017年2月の正式リリースから、学生や企業へのヒアリングを重ねながら、驚異的なスピードでサービスは成長しました。2018年10月現在、全国の理系学生8,000人にご登録いただき、ご利用いただいている企業は100社以上。約半数が誰もが知る大手企業です。学生と企業、双方からの支持がなければ成立しないビジネスモデルをどうやって構築していったのか。LabBase事業の責任者を務める松崎太河(まつざき・たいが)さんに聞いてみました。
徹底したヒアリングからサービス開発を推進
-「LabBase」が理系学生に大きく受け入れられていった理由は、どこにあるのでしょうか?
松崎:僕たちが受け入れられた最大の理由は、「理系学生の課題解決」を最優先していたことだと思います。創業当時、メンバーが全員大学生ということもあって、自分たちの原体験や先輩や同級生へのユーザーヒアリングを徹底的に繰り返すことで、理系学生のリアルな声から開発に繋げられたんですね。今も、全国各地にいる約100名のインターン生が対面でヒアリングをして、もらったフィードバックを開発に活かしています。
例えば、化学系の研究を熱心にしている学生だと、30分毎に研究結果を測定しなければいけない…など、自由に動ける時間に限りがあります。実験中は、就職活動どころか、エントリーシートを書く時間も取れないほどです。
そこで感じたのは「スカウト型」のサービスが、理系学生には適しているということでした。自分の実績やスキルを学生が登録して、それを見た企業が「学生のどこに魅力を感じたのか」を記したスカウトメールを送ることで、多忙な理系学生にも採用機会を創出できると考えました。
-全国各地にネットワークをつくっていくのは、大変だったのではないでしょうか?
松崎:LabBaseの構想が固まりつつあった当時、ひと月に200人前後の学生と会っていました。また、地方学生へのアプローチもスタートしまして。各地で出会った優秀な学生に「拠点立ち上げようぜ」と声をかけ、ひたすら口説いていましたね(笑)。
その結果、サービスをリリースした1年後には、旧帝大・早慶の学生さんのうち、4人に1人が登録するほどにサービスが広がっていって。2年目に入ると、新規ユーザーの50%が紹介からの登録でした。
開発期間は、わずか2ヶ月。超短期間でサービスをリリースした理由
-確かなニーズや手応えを感じながら、どんなペースで開発を進めていったのですか?
松崎:サービスページすらない状態でしたが、学生のニーズはキャッチできていたので「プレスリリース作戦」を実行しました。企業側のニーズを測るために「こういうサービスを近々リリースするのですが、早めに使いたい企業様はお問い合わせください」とプレスリリースを出したんです。結果、約100社からお問い合わせをいただいて。企業のもとへと出かけ、どんなサービスを望んでいるかなどをヒアリングしました。
その後、すぐに開発へ取り掛かったのですが、リリース時期について、代表の加茂が「2ヶ月後にリリース」しようと言い出しまして(笑)。前半の1ヶ月でページを完成させて、後半の1ヶ月で事前登録をスタートし、やっとの想いでリリースに漕ぎつけました!
-改めて、凄いスピード感ですね。普通は、たった2ヶ月でリリースできる気がしないのですが…(笑)
松崎:そうですね(笑)、通常であればリリースまで半年くらいはかかるスケジュールではないでしょうか。ですが、2ヶ月というのは戦略的に設定したスケジュールでもありました。
2018年卒向けの就職活動が終盤に差し掛かった時期でしたし、やはりサービスを実際に使っていただくことで、学生や企業にとって高い価値を感じられるサービス開発を進めていけると考えていました。短期間でスピード感を持って開発を進めたおかげで、リリース間もないサービスながら実績を築けたのだと思います。
ニーズをキャッチし、共感を獲得。知名度ゼロから、企業に受け入れられた秘訣
-現在、LabBaseは100社以上に利用いただいています。その中には大手企業も数多くありますが、知名度もないサービスが受け入れられた秘訣はどこにあるのでしょう?
松崎:サービス開始時には、新しい取り組みへの感度が高いベンチャー企業が中心でした。一方で、大手企業からのお問い合わせも段々と増えていきました。実際、2020年卒向けの掲載企業は約50%が大手企業で、DENSO様や、富士フイルム様、NTTドコモ様など知名度の高い企業にもご利用いただいています。
受け入れられた秘訣としては、僕たちが学生の声や考えを知っていることも大きいのかなと。普段は選考の中でしか会う機会のない学生の本音やインサイトを僕たちは理解しているので、「POLと関われば、今の学生の情報が得られる」という期待も感じていますね。
-LabBaseは定額制のサービスです。ニーズはあるとは言え、「成果報酬型」のサービスが多く出てきている中、導入に慎重になる企業はありませんでしたか?
松崎:僕たちは月額換算で10万円~、年間だと120万円~のプラン設定をしています。成果報酬型で1人採用できた場合、100~150万円ほどの費用がかかると言われていますので、LabBaseでの採用はかなり安価であることはメリットです。
スカウト返信率のデータもあるので、「継続して使っていただければ、成果報酬型に比べて3~4倍くらいの高い効果が期待できます」という、費用を抑えながら有意義な採用活動を進められます。
想いのこもったスカウト文こそが、より市場に流通する仕組みに
-他に、注力した部分を教えてください。
松崎:スカウトの通数や打ち方については、かなり考えました。1日何十件とメールが来て、もはや開封すらしない…というという従来の事態にはならないよう配慮しています。
「開封率が低いので、スカウトメールを1000通送りましょう」となれば、文面は思いが感じられない内容になりがちです。言わば“テンプレ”のような内容では、学生の心にも響きません。熱量が失われないための対策として、スカウトの通数を制限しました。
例えば、
・企業としての認知度は低いけど、スカウトメールの文面に力を入れているA社
・誰もが知っている企業だけど、文面がテンプレのような内容のB社
の両社の場合、A社のほうが返信率が高くなるというデータがあります。
また、送信する側のモチベーションを上げるために、返信率が良い企業にはスカウト通数を追加でプレゼントする「ボーナスチケット」を発行しています。これは、スカウト文面に力を入れ、学生から多く返信をもらえる企業が、より多くのスカウトを市場に流通させられる仕組みです。企業側も楽しく採用活動に取り組んでもらえているのではないでしょうか。
社会に良いインパクトを与え、次世代の常識をつくる
-いま改めて振り返ってみて、事業を成長させていくための「やり抜く力」と、その原動力はどこから湧いてきたと感じていますか?
松崎:LabBaseを通して内定した学生からの「今まで考えたことがなかった企業と出会って、就職が決まり本当に感謝です」という声や、企業からの「今まで1人も採用できなかったけど、はじめて新卒採用に成功して将来が描けるようになった」など、嬉しい声をいただけた時は、めちゃくちゃ嬉しいですね。
これまで誰もやってこなかった事業を通して、学生や企業に何かしらのインパクトを与えることができ、それで社会がより良い方向に向いていく。そんな意義のあるサービスを、これからも提供し続けていきたいというモチベーションが、やり抜く力となっているのだと思います。
-松崎さん、ありがとうございました!
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