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象牙の塔に籠っていた僕がLMCに入社した理由

はじめまして。

今年の1月に入社しました、コンサルティング事業本部所属の小林です。

僕は会社で唯一の理系出身者であり、就農経験者でもあります。

そんな僕がLMCに入社した経緯について、お話しさせていただきます。

大学卒業まで

子供のころの僕はものづくりや音楽、絵を描くことといった、芸術や文化に対する興味が強い少年でした。

幼稚園で母の日に絵を描いたところ、先生や近所の人たちが、絵のモデルが誰なのかすぐに分かったというエピソードは強く印象に残っています。

また、父が師範である影響で、生後2か月で少林寺拳法に入門させられ(当然本人に自覚はありませんでしたが)、高校を卒業するまで続けていました。武道をやるようなタイプの子供ではなかったのですが、そこで培った教え(力愛不二、拳禅一如、自己確立と自他共楽など。詳しくは調べてみてください)は僕の深いところに根付いています。

僕は元来数学や自然科学が好きだったので、大学は生命科学の分野に進みました。しかし、授業の単調さや、周囲の人たちの意識の低さから勉学を本心から面白いと思えず、授業を二の次にしてサークル活動に耽っていました。(たとえば1限から5限まで通しで行う実験の授業があったのですが、つまらなかったので3限の時間までサークルのブースでだらだらしたりしていました)

サークルはというと100人規模のバンドサークルに所属していました。パートはドラムだったので、練習となると学内のスタジオに足を運ぶ必要がありました。どんどん授業からは足が遠のき、講義棟を通り過ぎてスタジオに行くということも度々ありました。ドラム中心の生活を送っていたので、気付かぬ間に技術もつき、3年次にはサークル長になっていました。他のサークルや大学とも積極的にかかわっていたので、知らない人に「あの人見たことある!」と指をさされたりもしました。(それは単純に僕が写真のようななりで、奇抜なファッションばかりしていたからかもしれませんが)

※当時。怖い人ではありません。

そんな僕にも大学4年次に転機が訪れました。

当時僕は、「なにも面白みがないので、大学はもはや卒業しなくてもいい」とさえ思っていたのですが、研究室配属になったことで考え方が一転しました。

端的に言うと、研究がめちゃくちゃおもしろかったのです。

研究テーマはシロイヌナズナの光阻害に関与する翻訳因子のレドックス状態の解析というものでした。

ざっくり説明すると、植物の光合成に関する研究なのですが、それに特別興味があったというわけではありませんでした。ただ、やればやるほど出てくる好奇心と、そこから生まれるトライ&エラーの中に何とも言えない快感があり、僕にぴったりはまりました。

しばらく楽しく研究漬けの生活を送っていると、進路について考えなくてはならない時期になりました。教授にはありがたいことに、一緒にやっていきたいからぜひ大学院に進学してほしいと言われていました。大学院進学は、当時の自分のリソースを考えると悪くない選択であるように思われました。一方で、このまま親におんぶにだっこでいることが許されていいものだろうかという懸念がありました。また、大学院に行く人の大半は、極論を言えば就職から逃げている(少なくとも僕の周囲はそうでした)という印象もありました。その場所に長居することにメリットを感じられなかったのです。そこにあるのは慣れと馴れ合いからくる退屈と怠惰、そして親への負担と奨学金(すなわち負債)だけであるとさえ思っていました。とはいえ、就活の時期は既に逃していました。ここから始めても納得のいく企業には入れないだろうと考え、就活は一切しませんでした。

修士の2年よりも短期間で、今後人生できっとやる機会がない面白いことを探していたとき、親戚が農家であることに考えが至りました。他人の家で住み込みで働くという、職人修業のようなことをしてみたいと思っていたこともあって、一年間働かせてもらえないかとお願いしてみたところ、ふたつ返事でオーケー(適当)と言われました。

就農

教授に頭を下げ、友人に別れを告げて退路を絶った僕は、去年就農しました。農業とは縁もゆかりもなかった僕にとってそれは、僕自身が新鮮であり続けるための施策だったように思います。

農業は時期によって仕事内容が大きく変わるため、その説明は割愛します。仕事内容とはあまり関係ありませんが、薪にするためにチェーンソーで木を伐採したり、出荷からの帰りに親戚の家に車で突っ込んだり、使い終えた備品を処理するために燃やしたところ、20アールの農地で火事を起こしたりもしました(笑い事ではない)。そして、なによりも毎晩の仕事終わりのビールの旨さは筆舌に尽くしがたいものがありました。喉越しの概念は覆りました。

その中で僕は、労働に汗を流す喜びを噛みしめながらも、まだ足りないものがあると思っていました。それは、自分の力で生活することでした。住み込みで働かせてもらっていた以上、経済的には完全に親戚に依存していました。まだ僕はごっこ遊びをしているにすぎないとさえ感じていました。

そこで僕は初めて一般企業で働くということを考えました。

LMC入社後

前置きが長くなってしまいましたが、LMCに入社した理由は、ベンチャーの気質が自分に合っているように感じたからです。なによりも自分の足で歩くことが目的とは言え、どうせやるなら面白いことがしたかったので、最適解だったように思います。

また、ブルーオーシャンであること、マーケティングに基づいた事業内容(具体的には他の方が素晴らしい説明をしてくださっているので、そちらを参照頂ければ幸甚です)、若い人材が集まっていること、遅れている賃貸不動産業界にマーケティングを根付かせるというマインドにも、魅力を感じました。

実際入社してみると、まるで自分が赤ん坊かのような感覚になるほど、自分の経験が通用しないことに衝撃を受けました。僕は今、クライアントと直接やり取りするための準備期間として、事業の根幹にあたる社内業務をやらせていただいているのですが、社内で学ぶべきことの多さに驚愕しました。ビジネスマナーはもちろん、常識はある方だと思っていたものが全く通用しませんし、思考力や情報を整理する力など、コンサルタントとして必要不可欠なものが全く足りていないと痛感しました。あらゆる業務が今後経験として活かすことができ、また勉強にもなるため、めまぐるしくも日々楽しく仕事をすることができています。

一人前のコンサルタントになるための現在の課題としては、ビジネスにおける時間感覚を身につけることと、多角的な視点を持つ力を養うことです。

農業は年間計画をたて、それに間に合うように目先の作業をこなしていく(やればやるだけ楽できる)ので、時間の感覚としてはゆったりしているのですが、ビジネスの世界においてそういう感覚は当然許されません。タスクの処理スピードもそうですが、動き始めるまでのスピードが求められるので、時間に対する意識を変えていこうと試行錯誤しています。

また、課題解決こそがコンサルタントとしてコミットできる最高の価値だと思うのですが、そのためにはクライアントについてだけではなく、クライアントのクライアントや、顧客についても知らなくてはなりません。特に賃貸不動産業界には、エンド客(入居者)・仲介・管理・オーナーというヒエラルキーが存在しているので、彼らそれぞれが考えていることを知るためには、想像力や知識を身につける以前に、多角的に物事を見る必要があります。すべての基盤になりうる、見る能力・見る技術というものを先輩から盗めるだけ盗みたいと思っています。

※前置きの割に尻すぼみで申し訳ないのですが、仕事についてはこれ以上特に語ることはありません。これは熱量がないからではなく、経験がまだまだ浅いからです。ご容赦ください。

休日

僕の趣味は読書と映画観賞、音楽を聴くことです(お酒は言うまでもなく)。読書に関しては、ニーチェ以降の哲学書(ポストモダンが中心)や岩波・新潮辺りの古典を中心に小説、詩集、評論など分野を絞らずに読んでいます。それらを語ることは紙と熱量の問題でできませんが、ドラムを叩くことと同じぐらい好きです。

映画は週に1、2本、洋画を中心に観賞しています。好きな映画監督は、スタンリー・キューブリックとラース・フォン・トリアーです。細部への過剰なこだわり、映像の美しさ、洗練されたプロット、魅力ある登場人物など、いつ見ても素晴らしいと思います。

音楽に関してはコンテンポラリージャズやプログレッシブメタル、エレクトロニカ、ポップスなどできるだけ多様なジャンル、時代の音楽を聴いています。最近ではChris Dave and the DrumhedzとMark Guiliana Jazz Quartetがお気に入りです。あとAnimals As Leadersは5年ぐらい前からほとんど毎日聞いています。

最後になりますが、題にもあるように、僕は長いこと象牙の塔に籠っていました。そこから引きずりおろされるきっかけにもなった、20世紀ドイツの社会芸術家であるヨーゼフボイスの言葉が、僕の座右の銘のひとつですので紹介させてください。

「人間は誰でも芸術家であり、自分自身の自由さから、『未来の社会秩序』という『総合芸術作品』内における他者とのさまざまな位置を規定するのを学ぶのである」

芸術や文化を愛し、その中に籠っていようとすることの裏には、極端に言えば胎児になりたいという欲望がかくれています。子供が母親に抱きつくのは、いわば隠れる場所(子宮)を探しているのであり、何かに籠ることで社会から隠れようとするのはその変形に他ならないからです。この言葉は芸術のそういう幼児的な側面とは全く逆のことを言っています。「人間社会で行われているすべてのことが、社会秩序という芸術作品の一部である」という発想です。衣食住や思想、芸術、経済、ビジネスに至るまで、人間が為すあらゆることが芸術なのです。すごくいい言葉だと思います。僕はこの言葉から、「書を捨てよ、町へ出よう」という結論を導き出しました。こういう言葉に出会うと殴られたような気持ちになります。それが快感なので僕はマゾなんだと思います。

以上、拙文、長文失礼いたしました。

最後まで読んで下さった方、ありがとうございました。

【人事補足】

過去これほどまでに文学的な自己紹介があったでしょうか・・・。小林君は背が高く、LMC史上最大を記録しています。背が高いですが威圧感はなく、むしろホンワカ癒し系です。面接の際「収穫が終わったので就活しようと思いました」というフレーズが出た時点で採用はほぼ決定していました(※私の中で)。小林君は会議や打ち合わせの時には、ものすごく一生懸命周りの話を聞いて、一言一句漏らさず吸収しようとしています。何かと幹事をやらされがちですが、慣れないながら必死に進行しています。卓球では、その長いリーチを生かして謎のクネクネフォームで活躍します。この高尚な自己紹介から、ややこしい人物と思われるかもしれませんが、人当たりも考え方も柔軟な人です、大丈夫です。そんな小林君とお話してみたい方は、大丈夫なのでぜひお気軽にご応募くださいね!

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