瀬越 湧人 | エムスリー株式会社 プロダクトマネージャー 兼 ソフトウェアエンジニア
エムスリーにおけるプロダクトマネージャーは、「プロダクトを通じた事業成果の最大化」を追求し、自らの意思決定によってその未来を実現していく存在です。事業を前進させるために必要であれば、市場開拓やマネタイズ設計、法的なスキーム構築から現場のオペレーション改善にも、深く踏み込みます。求められるのはアウトプットではなく、アウトカム。「成果の最大化」に向けて貪欲に思考のアップデートを続け、正解のない中で仮説を立て、疑い、決断し続けること。そのプロセスそのものが、私たちの価値になります。
エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、「何を作るか」に向き合うためにプロダクトマネージャーへと転身した瀬越。クラウド型電子カルテ『エムスリーデジカル』のグロースに加え、新規プロダクトの立ち上げを担い、事業を動かす意思決定に関わってきました。この環境でどのように信頼を獲得し、意思決定の精度を高めてきたのか。そのリアルなプロセスと、この環境で得られる成長について聞きました。
「何でもやる」覚悟はあるか。アウトカムに責任を持つプロダクトマネージャーという仕事
これまでのキャリアと、現在の役割について教えてください
新卒で越境ECのスタートアップに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタートしました。日本とアメリカに倉庫を持ち、在庫管理や出荷を支えるシステムを内製している会社で、途中からアメリカに1年半ほど駐在しています。
現地では一人目のエンジニアとして、仕様策定から実装、障害対応までを担っていました。日本での変更がそのまま現地の業務に影響し、場合によっては1日業務が止まることもある。そうした環境だったので、「システムを作る」というよりも「事業を止めない」ことに直結する役割だったと思います。倉庫の現場にも入り込み、エンジニアという枠を超えて事業そのものを理解する経験でした。
その後、エムスリーに入社し、最初はエンジニアとして開発に携わりました。チームリーダーを経て、プロダクトマネージャー見習いとしてプロダクトマネジメントに関わるようになり、現在はクラウド型電子カルテ「エムスリーデジカル」のプロダクトマネージャーと、新規プロダクトのプロダクトマネージャー兼エンジニアチームリーダーを担当しています。
プロダクトマネージャーという役割を選んだ理由は何ですか
元々漠然とした興味はありましたが、最大の理由はエムスリー入社後にプロダクトマネージャーという役割の重要性を再認識したことにあります。
エムスリーに入社したとき、事業への貢献意欲が高いエンジニアが非常に多いことに驚きました。「この機能が事業にどう貢献するのか」「プロダクトを成長させるために、エンジニアリングで何ができるのか」といった議論が、ランチ中でも自然発生的に始まります。
そうしたエンジニアの高い技術力やモチベーションを、実際の成果として結実させるためには、利用者である医師の声を聞いたり、営業やサポートチームと連携したりといった、プロダクトマネージャーの果たす役割が極めて大きいことにも気づきました。
急成長する「エムスリーデジカル」でプロダクトマネージャーにチャレンジすることで、エンジニアリングの知識を活かし、事業成長とエンジニアリングのレバレッジ最大化に貢献したいと考えました。
実際に今もコードは書きますし、アーキテクチャの議論にも入っています。その上で、プロダクトや事業の意思決定に関わることができる。エンジニアチームの高い技術力を最大限発揮して、事業をドライブさせられることにやりがいを感じています。
信頼は「結果」でしか積み上がらない
最初にぶつかった壁は何でしたか
一番大きかったのは、各部門からの信頼をどう作るかでした。エンジニアとしての実績はあっても、プロダクトマネージャーとしてはゼロからのスタートなので、「この人の判断に任せていいのか」という状態から始まります。
特に難しかったのは、技術負債の解消と事業成長のバランスです。エンジニアは負債返却を優先したい一方で、営業やマーケティングは売上につながる機能を求める。この対立はどちらも正しいので、単純な優先順位付けでは解決できません。
実際に衝突もありましたし、「なぜこれをやらないのか」といった圧力もありました。その中で意識したのは、「売るための武器を提供し続けること」です。営業やマーケティングが成果を出せる機能を少しずつでも提供し続けることで、信頼を積み上げていく。その結果として、技術負債に取り組む時間も確保できるようになります。
どちらかを選ぶのではなく、両方を成立させる。そのために意思決定を続けることがプロダクトマネージャーの役割だと理解しました。信頼は説明ではなく、結果の積み重ねでしか得られないというのが実感です。
エムスリーのプロダクトマネージャーの特徴は何だと思いますか
一番の特徴は、アウトカムに結びつくならなんでもやって良いということだと思います。一般的なプロダクトマネージャーのように仕様や優先順位だけを決めるのではなく、事業を前に進めるために必要なことはすべてやる前提です。実際にデジカルでは、ユーザーインタビューや仕様策定に加えて、法務や特許、経理との調整、プライシングの設計、マーケティング支援、外部企業との連携など、幅広い領域に関わっています。
この環境の難しさは「正解がないこと」です。何をやるべきかは誰も決めてくれませんし、どこまでやるかも自分次第です。役割に沿って動けばいいという状態ではなく、自分で考えて動き続ける必要があります。
一方で、それはそのまま自由度の高さでもあります。どこまででも踏み込める環境だからこそ、自分の強みを起点に領域を広げていくことができる。役割に守られるのではなく、自分で役割を作っていくことが前提になっている点が、エムスリーのプロダクトマネージャーの特徴だと思います。
「未来の当たり前」を作る医療プロダクトの難しさと面白さ
この仕事の面白さはどこにありますか
「未来の当たり前を作っている」と実感できるところです。医療業界は命に関わる領域であるため、何よりも確実性が優先されます。その慎重さが求められる文化ゆえに、テクノロジーによる効率化や体験のアップデートが、他業界と比べても非常に大きなポテンシャルとして残されていると感じます。
「今の技術を使えば、もっと現場を良くできるはずだ」と考え、一つずつ形にしていくプロセスには、この仕事ならではの面白さがあります。確実性が重視される領域だからこそ、新しい仕組みが現場に受け入れられたときのインパクトは大きく、医師、ひいてはその先にいる患者さんの体験までも変えていける手応えがあります。
ただし、単に他業界の仕組みをそのまま持ち込めばいいわけではありません。現場には、高度なPC操作に長けた医師もいれば、デジタルツールに不慣れなスタッフの方もいらっしゃいます。視認性などの配慮も含め、多様な属性の方々全員にとって「使いやすい」体験を追求する設計の難易度は非常に高いですが、だからこそ実現できたときの価値は計り知れません。
何より嬉しいのは、デジカルが日常的に使われるプロダクトだからこそ、改善の影響がすぐに現れることです。リリース直後に「神アプデ」と投稿されたり、活用方法をブログで共有されたりすることもあります。BtoBのプロダクトでありながら、ここまでダイレクトに反応が返ってくる。この距離の近さと、日々の体験を変えていく実感が、この仕事の大きなやりがいだと思います。
成長を実感した瞬間はありますか
特定の出来事で「成長した」と感じることはあまりなく、「気づいたらできるようになっていた」という感覚に近いです。
エムスリーでは、利用規約の改定、プライシング設計、リリース判断、ステークホルダー調整など、性質の異なる意思決定が同時に進みます。それぞれに対して深く考えながら進める必要があるため、一つひとつの経験の密度がかなり高いです。その結果として、時間の体感が大きく変わります。振り返ると「これがまだ半年前の出来事だったのか」と感じることが多く、短期間で多くの意思決定を積み重ねている実感があります。
非連続にジャンプするような成長というよりは、圧縮された経験の積み重ねによって、いつの間にかできることが増えている。この環境での成長は、そのような形で起きていると感じています。
プロダクトではなく、事業を動かす
今後の展望について教えてください
プロダクト単体ではなく、事業全体の意思決定に関われるようになりたいと考えています。マーケティングや営業も含めて理解した上で意思決定を行うことが、最終的には事業責任者につながると思っています。
その中で、自分としてはエムスリーの企業価値を大きく上げるようなプロダクトを作りたいです。新規プロダクトの立ち上げは、そのための重要な取り組みの一つであり、ここでどれだけインパクトを出せるかが一つの勝負だと考えています。
エムスリーでプロダクトマネージャーとして挑戦したい人へのメッセージをお願いします
デジカルは日々の医療現場で使われているプロダクトで、改善がそのまま医療の質につながります。ユーザーの反応も直接返ってくるため、自分たちの意思決定が現場に影響している実感を持ちやすい環境です。
また、経営陣や優秀なエンジニア、マーケターと近い距離で働く中で、意思決定の質とスピードを高め続けることができます。プロダクトマネージャーとして成長したい人にとっては、非常に密度の高い環境だと思います。是非一緒に働きましょう!
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