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一日800件の忘れ物業務に追われる小田急電鉄を救えーーMAMORIO Spot導入秘話

乗降者数世界一の新宿駅をはじめ、小田原や藤沢など、ビジネスや観光の重要な足として一日約205万人が利用する「小田急線」。利用者の数に比例して、「お忘れ物」が多く発生しています。この「お忘れ物」を少しでも減らせないだろうか――そう考えた小田急電鉄株式会社様がタッグを組んだのが、MAMORIOでした。

なくしたものが手元に戻るまでの不安な「時間(とき)」を減らしたい

▲小田急電鉄 旅客営業部 課長代理 諏訪部康太郎さん

小田急電鉄は、1923年「小田原急行鉄道」として創立され、1927年に小田原線を開業しました。2018年現在のグループ経営理念は「『かけがえのない時間(とき)』と『ゆたかなくらし』の実現に貢献します。」というもの。鉄道自体が暮らしに密着したソリューションということもあり、常に沿線に住む利用者にとって暮らしやすい空間をつくっていく方法を模索しています。

そんな小田急電鉄の悩みのひとつが「お忘れ物」です。 その数は、年間約28万件。一日の平均で800件にのぼります。しかし、 問題はその“数”だけではありません。

小田急電鉄 旅客営業部 課長代理 諏訪部康太郎さん「お客さまのお忘れ物の中には、お金では買えない思い出などが詰まったものもあるため、自分の手元に戻ってくるまで不安な時間が続きます。そうした時間をできるだけ減らすことで、お客さまに快適にご利用いただけないか、と考えていました。
また、こうしたお忘れ物を管理する場合に、分類や整理に時間を要します。持ち主が見つからない場合は、警察に移管するための書類作成などの作業も発生してしまいます。こういった場合の係員に対する負担の増加は、サービス低下にもつながりかねません」

そこで小田急電鉄が目をつけたのが、私たちMAMORIOの「MAMORIO Spot」です。

MAMORIO Spotは、モノに取り付けられたMAMORIO (Bluetoothの通信機能が埋め込まれた縦35.5mm×横19mmほどのタグ )を検知するアンテナで、タグの付いたモノが近づけば持ち主のスマートフォンにその場所が通知されます。

諏訪部さん「私たちの接客サービスの基本は、お客さまの立場になって考え、接すること。お忘れ物がすぐに見つかればうれしいですよね。ならば、お忘れ物がすぐに見つかる環境をMAMORIO Spotで整えられないか、と考えたんです」

「なくすを、なくす。」をミッションに掲げる私たちと、お客さまの不安な時間をなくしたい小田急電鉄の想いが合致し、導入を検討していただくことになりました。

ローリスクハイリターンでスピーディーなMAMORIO Spotの導入

▲MAMORIO Spot。モノに取り付けられた紛失防止デバイス「MAMORIO」を検知するアンテナ

導入を検討しはじめた小田急電鉄ですが、諏訪部さんは「Bluetoothを使って、なくしたものを見つける」という技術について半信半疑だったと振り返ります。

しかし、私たちの話をお聴きいただくうちに、MAMORIO Spotが増えれば増えるだけMAMORIOが検知される可能性が高まり、なくしたものが見つかりやすくなる。また、導入やメンテナンスが簡単なため、係員の負担が軽減するなど様々なメリットを感じてもらい、導入に踏み切っていただけたのです。

諏訪部さん「上司も、お客さまサービスの一環につながるものだ、と直感したようです。 また、係員の負担の軽減が期待できることから、弊社的にもメリットがあることがすぐ理解できたようで、『早く進めなさい』との指示がありました。
そして他部署でも、MAMORIOの実績を知っている社員がいたため、反対の声が上がることはありませんでした。むしろ、『これは鉄道会社としてやるべきでしょう』という“べき論”で話が進んでいくことに。システム関係の部署で扱っても良い案件ではありましたが、お忘れ物を最終的にお客さまにお返しするのは係員、つまり“人”ですので、旅客営業部の私たちが導入にあたることになりました 」

そうして2017年7月6日 、「お忘れ物防止タグ『MAMORIO』を利用したお忘れ物自動通知サービス」としてサービスインしていただくことになったのです。

諏訪部さん「弊社的にもかなり早く進められた案件でした。とはいえ、『やれることはすぐやりなさい』という上位方針もあり、良いものを取り入れることを私たちの努力で実現できるのならば、どんどんやっていきたい、という思いは強く持っています」

MAMORIO Spot以外にも革新的なシステムを導入する進取の気性

創業90周年(2017年現在) という長い歴史を持つ鉄道会社であるにもかかわらず、新しいものを率先して取り入れるーー。

そこには、小田急電鉄で長年愛されている「特急ロマンスカー」の存在がありました。

諏訪部さん「1957年に誕生した特急ロマンスカー・SE(3000形)は、狭軌(狭いレール幅)での世界最高速度の記録を持っていました。『あの時は世界一だったのに、今は?』『同業に先駆けて新しいものを取り入れているだろうか?』と、自分たちに常に問いかけているんです 」

そんな小田急電鉄が大切にしているのは、「進取の精神を持ってことに当たる」ということ。

その証拠に、小田急電鉄が取り入れた新しい技術はMAMORIOだけではありません。列車のリアルタイムな運行状況以外にも、トイレの空き状況がわかる「小田急アプリ」を2017年にリリース。ほかにも、チケットレスでロマンスカーに乗車できる「ロマンスカー@クラブ」の導入や、ネットワークを活用した「お忘れ物検索システム」を鉄道業界で初導入(いずれも2001年にサービスイン)しています。

そこには、お客さまへのある“想い”がありました。

諏訪部さん「チケットレスでご乗車いただけるシステムは大変ご好評をいただいています。急遽運休となった場合に払い戻しのため窓口に並ぶ、という手間も減らせますしね。MAMORIO Spotの導入もそうですが、このように革新的な技術を取り入れることで、どんどんお客さまの大切な時間を、より有意義にお使いいただける環境を整備していければ、と思っています」

小田急電鉄×MAMORIOの未来像

▲MAMORIO代表・増木(左)と小田急電鉄 課長代理 諏訪部さん(中央)、事務員・和田さん(右)

2018年3月現在、MAMORIO Spot導入から6カ月経ちました。集計されている2カ月分の4〜5万件の忘れ物のうち、MAMORIOタグが検知されたのは200件ほど。

諏訪部さん「今はまだ、タグの検知数は少ないのですが、もっと多くのお客さまがご利用になれば、検知数も上がってくるのではないかと期待しています」

導入時に設置していただいたのは、小田急線経堂駅近くの「経堂お忘れ物センター」と小田原駅、藤沢駅のお忘れ物を集約している3駅ですが、将来的には70駅すべてに導入していきたいと考えております。

諏訪部さん「年間365日、係員はお忘れ物を取り扱っていますし、お忘れ物担当として専従している係員もいます。人数の少ない駅では、それぞれが別の業務を行なった後に交代で担当するなど、落とし物・お忘れ物を取り扱うコストは大きいです。
もし、より多くのお客さまがMAMORIOタグをご利用になり、さらに弊社の70駅すべてにMAMORIO Spotが導入されれば、お忘れ物担当の係員をお客様ご案内係として配置し、ご案内や声かけ、お身体の不自由なお客さまの見守りなど、より安心してご利用いただくことで、顧客満足度の向上につなげられます」

MAMORIOに期待するのは、なくした「モノ」に対してだけではありません。「人」に対してもこの技術の応用ができるのではないかと諏訪部さんは期待を寄せています。

諏訪部さん「駅構内で不案内なお客さまがいらっしゃれば、駅係員が積極的にお声かけするなど、日々のご案内に努めています。少子高齢化社会がさらに進展するにあたって、私たち鉄道会社でも何かもっとできることがあるんじゃないか、と考えていました。
MAMORIOの技術があれば、ご高齢のお客さまにタグなどを身につけていただき、駅側で即感知する、ということも可能になってきます。地域への貢献の一環にもなるのでは?そう感じています」

私たちMAMORIOは、なくした「モノ」によって負担や不安を感じることをなくすために、これからもサービスとプロダクトのクオリティ向上に努めていきます。

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