AIに任せている間、うちのエンジニアは何をしているのか
最近、社内のエンジニアチームでClaude Codeの導入が進んでいます。
Claude Codeはターミナルで動くAIエージェントで、「この機能を実装して」と指示を出すと、自分でファイルを読み、コードを書き、テストを走らせ、エラーがあれば修正までしてくれます。
便利です。ものすごく便利です。
その結果、Claude Codeに設計を書かせて待つ。その結果、Claude Codeにプログラムを書かせて待つ。コードをデプロイして待つ(これは以前もありましたが)
とにかく短いスパンの待ち時間が増えました。
タスクを投げたら、数分間やることがない
Claude Codeに実装タスクを渡すと、完了まで数分かかります。ターミナルにはログが流れていますが、人間が手を出す場面はありません。
最初のうちは、みんなそわそわしていました。「何かしていないと落ち着かない」「もう1セッション走らせたほうがいいんじゃないか」。手を動かしていない=仕事をしていない、という感覚が残っていたんだと思います。
でも、しばらく運用を続けるうちに、チームの空気が変わってきました。
ある日のSlackから
「Claude Codeにリファクタ投げたので、その間にさっきのPRのレビュー見ますね」
「実装待ちの間に別チームのスラック確認しますね」
「待ってる間に雑談が生まれ、事業側で最終的に今のコードが何に使われるか、キャッチアップができた」
コードを書く手を止めてオフィスのこれまで分業しており目が向かなかったものを見れるよになった。
結果的にプロダクトの品質に貢献している。
従来の開発スタイルでは、なかなか起きなかったことです。
「人間のボトルネック」を減らすのではなく、「人間の持ち味」を活かす
AIエージェントの文脈でよく語られるのは「人間がボトルネックにならないようにする」という話です。通知を最適化して、待ち時間をゼロにして、並列セッションを増やして、スループットを最大化する。
たしかに、それも一つの正解です。
でも私たちは少し違うアプローチを取っています。待ち時間を「人間が人間らしく働くための余白」として、積極的に肯定する。
エンジニアの仕事は、コードを書くことだけではありません。設計を考える。仕様の曖昧さに気づく。チームメンバーと認識を揃える。ユーザーの気持ちを想像する。これらはすべて、手を止めて頭を使う時間がないとできないことです。
Claude Codeが実装を担ってくれるようになったことで、エンジニアは「短い余白」が増えつつあります。
「余白」がチームにもたらしたもの
この働き方を続けて、いくつか思わぬ効果がありました。
レビューの質が上がった。 自分がコードを書いていない分、レビューに回せる認知リソースが増えました。「動くかどうか」だけでなく「この設計で本当にいいのか」まで考える余裕が生まれています。
ドキュメントが増えた。 以前は「書く時間がない」が常套句だった設計ドキュメントやADRを、待ち時間に書くエンジニアが増えました。もちろん、そのドキュメントはAIのためでもあります。
雑談が増えた。 これが一番大きいかもしれません。チーム間を超えたカジュアルな会話が自然に発生するようになりました。
AIが速くなるほど、人は人の意味を考えれる
「Claude Codeの待ち時間をどう効率化するか」という議論はたくさんあります。それ自体は健全なことです。
ただ、私たちがチームとして大事にしたいのは、効率化の先にある「人間が人間としてどう働くか」という問いのほうです。
AIが速くなればなるほど、人間は判断と創造に集中できる。手を動かす時間が減る分、頭を使う時間が増える。そしてその「頭を使う時間」には、コーヒーを淹れに行く数分間や、廊下での立ち話も含まれている。
私たちはまず、人と話すことで、新たな人のコミュニケーションを産みました。
Claude Codeの待ち時間は、決して無駄な時間ではありません。
人のために使える余白だと、私は思います。