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いま漫画業界がおもしろいと思う4つの理由

こんにちは。ナンバーナインの取締役CXO・小禄(ころく)です。

みなさんは、いま漫画業界がめっちゃおもしろいということをご存知でしょうか。

漫画業界関係者にとっては周知のこととなっていますが、2020年度の国内漫画業界の市場規模が6,126億円となり、過去最高の規模に到達しました。

『SLAM DUNK』や『ドラゴンボール』、『幽☆遊☆白書』など今も語り継がれる名作漫画が多数連載され週刊少年ジャンプ(集英社)の黄金時代。発行部数が653万部の歴代最高記録に達し、ギネスブックにも登録されるなど全盛を誇った1995年の5,864億円を塗り替えたことは記憶に新しいです。

そして、2021年度は前年度を10%以上上回る6,759億円となり、2年連続で過去最高売上を更新しました。出版各社、とりわけ集英社や講談社やKADOKAWAの決算は絶好調みたいですね。

2021年コミック市場は紙+電子で6759億円、前年比10.3%増で過去最大を更新しシェア4割超に ~ 出版科学研究所調べ
《この記事は約 2 分で読めます》  公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所は2月25日、2021年のコミック市場規模を発表した。紙+電子市場(推定販売金額)は前年比10.3%増の6759億円と、3年連続で急成長し過去最大を更新した。紙+電子の出版市場全体におけるコミックのシェアは4割を超えた。 ...
https://hon.jp/news/1.0/0/32771

今回のnoteでは、そんな成長著しい漫画業界でいつかは働きたい、起業したいと思っている方々に対して、漫画業界で起業して6年ほど身を置いている僕の視点から、いま漫画業界で働く、起業することをおすすめしたい理由をいくつか挙げてみたいと思います。

理由その①: 多様化する漫画家のスタイル

漫画業界で働くことが狭き門だったのと同様に、漫画家として活動することも狭き門でした。漫画家として生計を立てる方法として、商業誌で連載するのが唯一の道と言える状況の中で、紙の雑誌はページ数の関係で連載枠に限りがあったためです。

雑誌ごとに異なりますが、一冊あたり20作品前後くらいが連載できると考えると自ずとデビューできる漫画家が少なかったのですが、デジタルシフトによって潮目が大きく変わりました。

一つは、出版各社がWebメディアやアプリを立ち上げることで、連載できる枠が大幅に増えたこと。もう一つは、商業誌で連載をしなくてもSNS上で漫画を発表する場が生まれたこと。そして最後に、pixivFANBOXやDLsite、FANZA、Kindle、ナンバーナインなどを通じて個人が漫画や創作物を直接販売する方法が増えたこと。

デジタルシフトによって起きたこの3つの変化が、職業・漫画家としての生き方に選択肢を与えてくれるようになったのです。商業か同人かの二択ではなく、商業や同人の垣根を超えて活躍する漫画家さんも増えてきているので、非常に活気のある業界だなと中から見ていて感じます。

理由その②: 業界未経験プレーヤーの参戦増加

漫画家さんたちの多様化は、結果的にさまざまなビジネスチャンスを生み出します。

紙の出版が主流だった時代は、漫画を作って書店で販売するまでの流れが「漫画家→出版社→印刷会社→取次→書店」という大きな枠組みとして固まっていました。古くは江戸時代から続くと言われるこの出版の枠組みの中に新しい企業が参入することは、簡単ではなかったように思えます。紙の本を作って流通させることは、ある種の特権でもあったのではないかと感じます。

翻って、電子コミック市場が拡大する現在は、個人が直接お金を稼げる時代とも言えます。従来の出版の仕組みももちろん一つの道として健在ではありますが、それ以外の方法で漫画を作り、読者に届け、お金を稼ぐことが可能になる。そこに大きなビジネスチャンスが眠っているということで、漫画業界の外からのプレーヤーが台頭してきたのです。

漫画業界が、紙の時代のクローズドな雰囲気から、デジタルシフトによってオープンな雰囲気になりつつあるのが大きな要因かもしれません。僕が取締役をやっているナンバーナインという会社も、ボードメンバー全員が業界経験や知識がゼロの状態から創業しているので、もれなくその流れを汲んで生まれた会社だと言えそうです。

業界未経験プレーヤーの参戦は大変喜ばしいことではあるのですが、願わくば、「日本特有の漫画という文化の担い手になる」ということを理解し、クリエイターの方々に愛と敬意を以て臨む方々がたくさん増えるといいなと思います。

理由その③: WEBTOONという新しいジャンルの台頭

次は、WEBTOONですね。昨年末から今年に掛けて巻き起こっているWEBTOONの盛り上がりは、過去最高の市場規模を更新する漫画業界のさらなる追い風になると思っています。

漫画業界関係者やWEBTOON制作スタジオ各社のほとんどは、WEBTOON≠漫画という共通見解を持っています。つまり、既存出版社がこれまで培ってきた漫画編集技術やノウハウを、そのまま活かして作ればヒットが生まれるという簡単な話ではありません。

何十年の歴史ある出版社も、昨年から今年にかけて生まれたWEBTOON制作スタジオも、みんな横一線の状態で日本初のヒットWEBTOONを作るために競い合っている状態です。

誰が最初にヒットを作ってもおかしくない状況だからこそ、新規参入するプレーヤーも増えているんだと思います。そして、常に一番を目指すスタートアップにとってはまたとないチャンスではないかと思うのです。

理由その④: 海外のコミックス単行本売上急増

最後はこちら。

売上げ前年比2倍以上? 米国で爆発した2021年の日本マンガ|数土 直志(すど・ただし)|note
海外で大人気な日本のマンガですが、ここ1、2年その勢いはさらにアクセルがかかっているようです。昨年から2021年の日本マンガの海外売上げが、飛躍的に伸びていると話は聞こえていましたが、その一端を米国のメディアが伝えています。 米国の「Comics ...
https://note.com/sudotadashi/n/n63ad08f1437b

海外の紙本がめちゃくちゃ売れてるというのは漫画関係者の中でもにわかに話題になっています。(詳細は上記のnoteに書かれているので、興味のある方はご一読ください)

売上爆増の要因は、「コロナによる巣篭もり需要」と「それに伴う動画配信プラットフォームでのアニメ視聴の増加」からの「アニメ視聴→紙本の漫画需要急増」とのこと。なるほど興味深い展開です。

こうなったら、2022年の海外市場開拓は、小学館・集英社・講談社・KADOKAWAといった大手出版社を中心にこれまで以上に盛り上がる可能性があります。

紙の出版売上急減による危機を電子コミックが救い、過去最高の売上を更新する中で台頭するWEBTOONという新たなジャンル。さらには海外市場のニーズ拡大と、既存の市場だけでなく、新しい可能性が同時に盛り上がりを見せているのも、漫画の持つポテンシャルの底知れなさを感じさせられますね。

漫画業界で事業拡大中のスタートアップで働きませんか?

出版業界は、新卒で働くには非常に敷居の高い業界でした。紙の時代から電子の時代に変わりゆく中で、新しい時代を作っていく若い感性が求められているのをとても感じます。スタートアップだけでなく、デジタルに強い人材を中途採用で募集している大手出版社も多いです。

変革の端境期にある業界は、大きなチャンスが眠っています。ナンバーナインも、デジタル配信サービス「ナンバーナイン」を中心に事業拡大、組織拡大に取り組んでいる最中です。

もしこのnoteを読んで、漫画業界で活躍したい、新しい価値提供に挑戦したいと思った方がいらっしゃいましたら、ぜひいろんなご意見を聞かせてください。願わくば、一緒に働ける方が見つかると嬉しいです。

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