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民放連主催「民間放送70周年記念大会シンポジウム<ラジオ>」から考える「これからのラジオ」の未来

こんにちは、オトナル代表の八木です。

先日、日本民間放送連盟(以下、民放連)が主催する民間放送70周年記念全国大会シンポジウム<ラジオ>にパネリストとして参加しました。本シンポジウムは放送業界関係者向けに1年に1回開催されている由緒正しいメディア業界のイベントです。

デジタル化の風を感じた「民間放送70周年記念全国大会シンポジウム<ラジオ>」のパネルディスカッション

今年は、民間放送70周年ということで、70年の振り返りや現在のラジオを取り巻く状況などをテーマにしたセッションが行われました。

収録はTokyoFMの上層階にある会員制ラウンジ『ジェットストリーム』にて行われ、11/9に放送関係者に配信されました。
(TOKYO FMをキー局にJFN系列38局で放送されている福山雅治さんの番組『JET STREAM』に出てくるあの架空のラウンジをモデルにした空間です...!)

以下の方々とともに「これからのラジオ」というディスカッションにパネリストとして参加しました。

  • 入山章栄さん(早稲田大学ビジネススクール教授)
  • 倉持明日香さん(タレント・元AKB48チームBキャプテン)
  • 長瀬次英さん(マーケター・TOKYO FM チーフデジタルプロデューサー)
  • かりんさん&ほのかさん(ポッドキャスト『ゆとりっ娘たちのたわごと』配信者)

なお、過去のイベントにも「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを務める佐久間宣行さんをはじめとした著名なラジオ出演者のかたなどが多く登壇されていますが、
今年は、ラジオパーソナリティーをつとめられる番組が音声アプリなどにも配信をされている入山さん・倉持さん、デジタルマーケターの長瀬さん、ポッドキャスターの『ゆとりっ娘たちのたわごと』のお二人、そして、デジタル音声広告・アドテク会社の私...と、民法連イベントにも関わらず、デジタル色の強いパネリストによるセッションだったように思います。

「これからのラジオ」〜デジタル時代のラジオ市場を考える〜

※ここからはイベントの中で話されたことではなく、私の考えていることです。

まず、インターネットを含めた広告市場の中でのラジオの立ち位置として、これまでラジオは「インターネットの競合にそれほどさらされてこなかった」と私は考えています。

これからのメディアビジネスは、映像、音声問わず、OTT(Over The Top:オーバー・ザ・トップ)と呼ばれるインターネット配信が主戦場になっていくと考えられます。

OTTとは、放送インフラではなくインターネット回線を通して行われるコンテンツ配信サービスの総称です。具体的にはYouTubeやNetflixなどの動画サービス、また音声系サービスだとSpotifyやradikoもこのOTTに含まれます。

このOTTのメディアとしての力は、たとえば若年層へのYoutubeや‎TikTokの影響力を思い浮かべるとわかりやすいかと思います。

インターネット広告vsマスメディアの次の戦場となるラジオ

マスメディアとインターネットメディアの動きを見てみると、減少するマスメディアの広告費に対して、インターネット広告はその市場を増やし続けています。

たとえばテレビ局はここ数年でYoutubeやコネクテッドTVで配信されるようなコンテンツ(NetflixやAmazonPrime)との戦いにさらされはじめており、新聞社や出版社はインターネットの登場以来、活字の広告出稿をウェブ媒体に奪われ広告売上を減らし続けています。


(※なお実際は新聞社や出版社の売上も「ウェブ版」に移っている部分があるため、上記の図の「インターネット」の中に新聞社や出版社の売上も含まれています)

一方、ラジオ広告は、音声メディアがインターネット上に明確な競合がいなかったため、ここ数年は1200億円台の広告市場規模の中でほぼ横ばいで遷移してきました。上記のグラフを見ると、ラジオ広告が2011年から2019年まで、ほとんど広告市場サイズに変化がなかったことがわかるかと思います。
(※なお2020年はコロナ禍の影響で、1000億円台まで市場を減らしています。)

「インターネットの音声メディア」という意味だと、「ポッドキャスト」は2004年ころから存在はしていたものの、日本には「radiko」というラジオ局のための非常に優秀な音声コンテンツ配信インフラが早期に誕生したことで(この動きはテレビ局の「Tver」などとは対照的であり、興味深い点です)、ラジオリスナーはそのままインターネットラジオアプリでラジオ局の音声番組を楽しむ事ができました。
またラジオならではの移動中のカーラジオなどの特殊な聴取シチュエーションもあり、他のマスメディアに比べてもインターネット広告との競争にさらされにくく市場が保たれてきたと考えられます。

(カナダのIT企業Hootsuiteの各国のポッドキャスト利用率の調査結果↑。日本のポッドキャスト利用率が低いのは、裏を返すと「radiko」のようなサイマルラジオやインターネットラジオの利用率が高いともいえると私はみています。)

しかし、2019年ころからのSpotify、Amazon Musicなどの本格的なポッドキャスト・音声コンテンツへの投資や、
記憶にも新しい2021年2~4月のClubhouse、Twitterスペースなど国内でも音声SNSが登場し、耳の専有時間を取り合うような、インターネット上の音声メディアと呼べるような"ラジオの競合"が少しずつ現れていると感じます。

世界的にも追い風の音声コンテンツ市場における、放送局のラジオのありかた

ラジオを含む音声メディア全般にとってポジティブな点ですが、今後の重要な耳のインターフェースだと考えられるワイヤレスイヤホン市場は、世界市場でも年平均成長率17%〜30%ともいわれており大きな成長が期待されています。(参考:諸説ありすぎな”ヒアラブルデバイス”の市場規模。年平均成長率30%って本当?

...と...まあ、長くなりましたが、何をいいたいかと言うと、"音声メディアはデジタル時代の大きな変革の時代に突入している"ということです。

市場が成長するにつれ音声コンテンツに触れる人々は今後、世界的に増加していくわけなので、これまで放送を主体としていたラジオ局のラジオコンテンツにおいても、デジタル化とうまく付き合っていくことでコンテンツとしても広告メディアとしても今後新しい可能性を見出すチャンスがあると強く感じています。

このイベントのセッションは業界関係者向けのクローズな内容なので、一般公開はされませんが、個人的には、あらためてこれからのラジオ市場・音声市場について考えるきっかけをいただけたように思います。

オトナルでは、これからの"デジタル時代の音声コンテンツ市場"をつくる仲間を募集しています

オトナルはデジタル音声広告事業を主軸に、インターネットラジオ広告やポッドキャスト広告に関わる事業を行っています。

音声コンテンツの配信者にきちんとお金が回るような市場構造を創ることを目指して、引き続きデジタル時代の音声パブリッシャー(ラジオ局や音声配信者)の支援を通じ、デジタル時代の新しい音声コンテンツ市場の発展に寄与していきます。

ラジオ好き、ポッドキャスト好き、音声配信者、元バンドマン(もちろん現役も)などなど。
そんな音声愛のあるメンバーと次の時代の音声メディアを一緒に創っていければと思います。

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