1
/
5

ドラマの脚本力をペルソナに活かせたらいいのに!

この投稿は僕のnoteにある投稿「獣になれない私たちを見終えて、他人の人生を体験できるドラマの価値を知った」からの転載です。

「獣になれない私たち」を見終える。

9話を見逃しても最終話を観るという、見方としてはどうなのと思うのだけど、満足した。「仕事」の話がストーリーに絡んでくるから、オフに仕事の話はやめてくれ!と若干の拒否反応はあった。ドラマ好きの周囲からは疑問の声も聞いた。それでも僕が満足したのは、人の人生を見たことにあると、あいみょんのPVを見て思い返したのだ。

視聴者とフィクションの距離

この話はフィクションです。

ドラマは大抵フィクションだ。それでも人に共感してもらうために、登場人物の背景をよく練りこんで現代に最適化されて作っている(はず)。

近年話題になったドラマだけの拙い比較だけど、「逃げるは恥だが役に立つ」、「カルテット」、「anone」は僕にとってファンタジーだった。偽装結婚という奇妙な関係、軽井沢の別荘で夢を諦めきれない4人の共同生活、偽札を巡る奇妙な人間関係と、物語を駆動させる装置が現実とちょっとかけ離れたモチーフになっていることが多い。解剖医のドラマも観たけど、あれも事件が駆動装置だった。

「獣になれない私たち」は、彼のマンションに居つく元カノとか少し特殊なシチュエーションであるけれど、仕事とオフのクラフトビールバーが舞台の装置だったように思う。近年観た中でもっとも自分の生活に近い舞台で行われるドラマだった。僕の満足感はこの近さにある。

都心のどこかで仕事だの恋愛だの、人間関係に悩みもがいている人がいるんだよなーと思えた。そんな近さを感じた。

入念なペルソナモデルは物語にあり

仕事がらみの話で「ペルソナ」という、商品やサービスのターゲットになり得る人物像を定義する手法がある。僕はこの人物モデルを定義する際は出来るだけ具体的になるように心がけている。具体的になるほど、ストーリーが必要になり、脚本的な技術が必要になると感じている。

そういうこともあって最近はシリーズ構成や脚本を手がける人物を追いかけることが増えた。(面白かったと思ったアニメは結構な確率で花田十輝が手がけているぞ!など)情熱大陸?プロフェッショナルの流儀?に出ていた坂元裕二の回も大変興味深く観た。

人物をリアルに定義づけていく脚本家の技術は、マーケティングするならペルソナは大事っすよ!と軽率に言っちゃう人よりもはるかに人のことを考えている。ドラマをはじめ物語に触れることは良いペルソナを定義する良い勉強でもあるのかもしれない。

クラフトビール楽しむおじさん

このドラマの話には、クラフトビールの存在が欠かせない。TAP5という劇中のバーの名前にも使われるタップはビールサーバーの注ぎ口のことを指すのだけど、このタップが100くらい備えるクラフトビールバーが両国にある。

いつかはと思ってブックマークしていたそのお店に先日いくことができた。ほぼ満席の中、席に座れて飲んでいると隣にやってきたのはホクホク顔のおじさん二人。この流れで聖地に来れるなんて最高!と高揚して話をしているものだから思わず聞いてしまったのだけど、どうやら椎名林檎のツアーファイナルからの帰路で寄ったみたいで、家族を養う、家を買った、こんな状況で(ライブと飲酒)楽しんでしまっていいのか、でもこのおかげでまた頑張れそうだよ!そんな話だった。

クラフトビールを飲みに来る層は数年前よりずっと広くなった。一大ブームとして多くの人に認知されているだろう。ドラマの題材に足り得る。

両国のクラフトビールバーで味わったおじさんの人生にはホップの効いたIPAみたいな苦味があった。このドラマにもあった。それでもそれを飲み込んで、飲み込むからこそ、人生華やかになるのだと思う。

ドラマのトレンディさにある価値

僕は外出すると目に映る人たちが何故ここにいるのか気になる。手荷物や服装をヒントに予測したりする。あくまで妄想の範疇だから限界がある。

自分の人生だけでは多くの人に会えないし、深いストーリーまで知り得る友人は数える程。なのに、まだ知り得ない人に届けたいことがある。

そのためにも僕は少しでも多くの人の物語を知りたい。たとえフィクションであっても、「獣になれない私たち」は信じれる物語だった。

セリフのネタバレだけど、主人公の晶さんがこんなことを言った。

「上司は部下を選べます。でも、私たちも上司を選べるんです。」

信じれるわー!

Wantedlyにアカウントを持っている方にもこのセリフを伝えたくて転載しました。「人材は替えが効くんだなー。」と戦力になる人が辞めても会社が回っていたのを目の当たりにして思っていたことを、このドラマはしっかり言ってくれました 👏👏👏

PLANPOT DESIGN WORKSでは一緒に働く仲間を募集しています
同じタグの記事
今週のランキング