やりがいとはなにか。

それは

主体性：自らの創意工夫がある

感謝：それが誰かの役に立っていると実感できる

成長：そうして自分の能力以上の問題を解決し、結果としてできることが増える

の３点が大きいと私は考えます。

この考えのもとになった出来事は、私がまだ会社に勤めていた二十代前半の時代にさかのぼります。

その当時、某携帯ショップの店員だった私は、女性ばかりの職場環境になじめず 仕事がまったく楽しくありませんでした。 あまり誰とも会話することなく、指示されたことだけを淡々とこなす日々。

法人営業職の募集で新卒入社したにも関わらず、最初は研修を兼ねてということで店舗配属になったことも不満の理由のひとつで、会社にだまされたという不信感と、本来やるべき仕事じゃないから結果が出なくても自分の責任じゃないという他責の念でいっぱいでした。

結果として、仕事が楽しくないので毎日飲み歩いて発散していましたね。

そのときに出会ったのが、稲盛和夫さんの「生き方」という本です。その本には、仕事というのは自分を磨くための修行である、と書かれています。 つまらない仕事をしているとつまらない人間になるし、よい仕事をしようと情熱をもって取り組めば素晴らしい人間になれる。 そして、仕事をつまらなくしているのはその人自身の考え方である。 自分に不利益なことや、思い通りにならないことがあるとすれば、すべて自分の責任だと思いなさい。 ということでした。

この文章に衝撃を受けた私は、次の日から行動を変えました。 それまでは、来客がない時間はぼーっとフロアに突っ立っていましたが 店内の掃除を丹念にしたり、ＰＯＰ（広告のようなもの）を作ったり、 一日８時間の勤務時間をすべて仕事に打ち込むようにしました。

そうすると不思議なことに、周りのスタッフとも人間関係がよくなりました。 人間関係が悪かったのは、やる気のないやつと思われて信用されておらず、仲間として認めてもらってなかっただけでした。

周りに認めてもらえると、自分の意見が通りやすくなり、格段に仕事がやりやすくなりました。 そして、プロジェクトのリーダーなどの大きな仕事を任せてもらえるようになり、結果を生みやすい状況になりました。 まわりから感謝されたり、認められているということが感じられるとどんどん自信が生まれて仕事が好きになるんですよね

そして、最後にはそこから半年ほどで、念願の法人営業に配置転換してもらうことなりました。 この一連の出来事で学んだことは、人間は考えを変えようと思っても変わらない。 行動を変えた結果として、思考が変わるということ。 そして、「仕事」というものは、自分から好きになる努力をしなければ好きになれない、ということです。

稲盛氏の本と出会ったことで私が変わったことは、ひたすら掃除をする、といった小さな行動でしたが、結果として人生の大きな転機になりました。 それまで仕事というのは自分の人生のなかで、時間を犠牲にしてお金に変えているものだという感覚でした。 それが、仕事ってこんなに面白いねんなぁ、飲みに行くより面白いわ、と思えるほどにまで変わりました。 自分でもびっくりです。 別に環境が変わったわけでも、まわりの人たちが変わったわけでもありません。 自分の行動と思考が変わっただけです。

昔の私のように、やらされ仕事でやると仕事はつまらないです。 期待を超える結果をだしてやろうと、知恵を絞る。 その仕事でお客様や仲間から「ありがとう」と言われることが達成感につながる。 その繰り返しで、それまでできなかったことができるようになり、成長を実感する。 このサイクルがまわると、仕事が楽しくなります。

みんなの「やりたい」ことを叶えることが私がこの会社をやっている理由のひとつです。 だけど、勘違いしてほしくないのは、その「やりたい」は誰かの「ありがとう」につながっているかと言うことです。

誰にも感謝されない「やりたい」しかない仕事は、きっと好きになれないし、結果として成長にもつながらないでしょう。

この価値観は私にとってとても大切なので、共感できないのであれば一緒にビジネスしていくことが難しいかもしれません。はっきりお伝えしておきます。 いま任されているあなたの仕事は、どんなちっぽけに思えてもとても大事な仕事です。 いまいちど、自分の仕事を見つめなおして、ただのやらされ仕事になっていないか、 自分から一生懸命取り組んで好きになれる努力をしているか、振り返ってみてください。

一人でも多くの人が自分の仕事をより好きになって、やりがいを感じられるよう 私も経営者として当事者意識100％でしっかりと取り組んでいきます。 よろしくお願いします！

2022年8月24日　稲盛氏が逝去されました。心よりご冥福をお祈りします。