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【5選】受託のWebディレクターから事業会社PMになって変わったこと

Photo by Christin Hume on Unsplash

はじめに

こんにちは!
株式会社スペースマーケットのプロダクトマネージャーをしています、中馬(ちゅうまん)です。

弊社は有休スペースを貸し借りするプラットフォームを運営している事業会社です。

私は昨年の夏までデジタルマーケティングの代理店でWebディレクターをやっていたのですが、よりサービスを長期的に育てて、エンドユーザーに近いところでモノづくりがしたい、という思いでスペースマーケットに転職しました。

不勉強ながら『プロダクトマネージャー(以下PM)』という職種名は昨年初めて知り、「まあ言うてもディレクターとあんま変わんないかな……?」と思いながら応募しました。(名前がかっこいいな、くらいのイメージだった)

半年くらい勤めた結果、似ているところもやはり多かったのですが、違いも結構あって驚いたので記事にまとめてみました

転職前にちゃんと調べておけよ」と言われると耳が痛いのですが(笑)、自分のように「事業会社のプロダクト・サービス開発が気になる」というWebディレクターは意外といそうな気がするので、そういう方のご参考になれば幸いです!!

1.進行管理は自分がしなくてもいい

まず驚いたのが、最初にアサインされたプロジェクトでは進行管理をエンジニアがやってくれていたことです。

前職では、「工数見積もり出して、スケジュール作って、クライアントへの提案日は◯月◯日で、進捗遅れているどうしよう…」という部分に稼働をかなり割いていたので、時間と頭の使い方が変わりました

プロジェクトで進行管理を行うのは『プロジェクトマネージャー(以下PjM)』という役割として明確に切り分けられており、必ずしもPMが担わなくて良いことになっています。

PjMの専任メンバーは今のところおらず、プロジェクト内で「得意な人・そのときできる人・チャレンジしたい人」が担当する形です。エンジニアやデザイナーでも、業務の幅を広げるためにやってみる人もいます。

現在弊社にいるPM(CPO含め3名)は全員開発ディレクションの経験者なので、PjMを兼務することも多いですが、他のメンバーがやってくれるときと、半々くらいの印象です。

2.仕様はみんなで考える

会社やプロジェクトによると思いますが、前職の時は

  1. PowerPointで、ガチガチに画面構成と仕様を作り込む。
  2. クライアントOK後に1.をデザイナーに渡してデザイン化。
  3. 細かいところまでクライアントOKでたら2.をエンジニアにパス。
  4. 実装

…という流れで進めていました。フィージビリティの確認などある程度の相談を除いては、各工程をできるだけ切り分けて、巻き込む人数・工数をとにかく最小限に抑えようという視点。

PMになってからは、「なぜ、なんの目的で、こういうものを作って、こういう結果を目指したいです」という"Why"と粗めの"What"までテキストでドキュメント化したら、"How"にあたる画面構成や仕様はデザイナー・エンジニアを巻き込んで、みんなで議論の上で形にしていくやり方に変わりました。仕様はみんなで考える、という体制です。

この違いが生まれる背景について、自分なりに考えた限りでは、

  • 決裁者からの手戻りリスクよりも、開発段階で仕様見直しが起こるリスクの方が高いこと。
  • デザイナー、エンジニアも1サービスにコミットし続けており、ユーザー・サービス理解度が高いこと。
  • PMに求められる役割は「仕様の作成」ではなく「課題の提起」「仕様の決定」であること。

というところが挙げられます。

受託の場合、どうしてもデザイナー、エンジニアは複数案件を並行して抱えがちなため、ディレクターが「どうやるか」まで決めきってからバトンを渡す方が効率が良いことがありますが、現職の場合「仕様はみんなで考えた方が早いし、いいものになるよね」という認識で動いています。

PMはその中で、意見が割れたり停滞したとき、思考停止に陥りそうな時に、本来の目的とプロダクトの根本に立ち返ったり、データを参照した上で「いいですね!」「こっちでいきましょう」と決めて、引っ張っていく部分を担っています。

手を動かしてワイヤーフレームを作り込まなくて良いのはある意味ラクですが、その分バリューを発揮するにはゴールを見据えた俯瞰力と牽引力が必要になります。そのため、いてもいなくても同じ、と言われないためにはまた違った緊張感が求められる職務だと思います。

3.「これはなぜやるのか」を深く考え、言葉にするのが大事

語弊はありますが、受託制作をやっているときは「1に締め切り、2に締め切り」マインドになりがちではないでしょうか。期限を守って納品することを前提に対価をいただくので、それがプライオリティになってくるもの。なのでWebディレクターは、いかにオンスケで作り・クライアントのオーダーを満たしてリリースできるかに焦点を合わせることが多いと思います。

現在は、事業会社なのでクライアントはいません。

また、エラい人が「これを作ってね」と指示を下ろす組織体制でもないので「やりましょう!」とリードするのはPMの役割になってきます

そのときにWhy(なぜ、今この課題に取り組むべきなのか)を自分なりの言葉にして、開発メンバーはもちろん、社内のステークホルダーに発信する必要があります。

また、企画は誰から提案してもOKなので、開発するのはPM自身のアイデアとは限りません。自分以外の企画・アイデアを検証し、磨きながらリリースまで持っていくことも多いです。

そんなときに「あの人が言ってるから…」とではなく、PM自身の納得と意思のもと、プロジェクトの旗を振る必要があります。

(受託制作でも伝書鳩になってはいけないのですが、よりその重要性が高まると理解していただければ)

4.「これはやめましょう」と言うこともある

前述のポイントの裏返しですが、「今取り組むべきではないこと」に敏感になって、やらない・撤退する意思決定を行うこともPMの重要な職務です。

これは、いわゆるデリバリー領域を担っているWebディレクターから、もっとも大きな考え方の変化が求められるポイントだと思います。

PMとしては、個別の施策をデリバリーすることだけに注意を払っていてはいけなくて、「たとえ売上効果があっても、プロダクトで実現したいビジョンと矛盾しないか」「やると決めたときから優先度は変化していないか」「リソース投入前に、もっと小規模に価値を検証する方法はないか」など、全体最適を目指して判断する必要があります。

社内にはプロダクトにまつわるアイデアや課題、やった方が良さそうなことが無限にあるので、その中で「本当に今やるべきこと」を見極めて、ステークホルダーを含めて「これは今やりません」という合意形成を行えるようリードすることも、PMがやるべき重要な業務ですね。

(個人的には、「作りたい」だけじゃなくて「作らない」に関心を持てる人が、Webディレクターの中でもPM適性が高い気がしています)

5.自分が何をする(何をしない)か自分で決める

まだまだ組織が発展途上なこともありますが、弊社のPMが何をするのか・どう動くのかは、実は結構な自由度で任されています。

ディレクターの頃は、案件にアサインされるときに役割期待値が明確にありましたし、納品というゴールも具体的なので、ある程度体系だったオペレーションを担っていました。

しかし現在は、上長であるCPOからも「PMは自分の守備範囲を決めてかからず、全体最適で最強のプロダクトを作るために動いてください」と言われており、良くも悪くも余白が多い仕事です。

例えば、自分と近い時期に入社したもう1人のPM小泉さんとでは、得意・関心によって結構違うことをしています。

▼自分の場合:広く浅く型

  • ツール導入検討段階の選定サポートや、未整理の課題など、要件定義前の棚卸し
  • 社内のプロジェクト間の優先度調整
  • 複数の開発チームとちょっとずつ接点

▼小泉さんの場合:狭く深く型

  • 行動分析ツールのマスター。それによる課題発見
  • システムの複雑な案件をリード
  • 自分の開発チームとガッツリ

といった具合で、プロダクトを最終的に良くするという目的は同じですが、そのために何にどう時間を使うのかは、少なからず自分で決めていく必要があります。

裁量があるとも言えますが、「自分のやってることってこれで最適なんだろうか…」という不安が常につきまとうのはPMの悩みの種です。

※(ほぼ)同期の小泉さんの記事はこちら

アイデアの宝庫「プロダクトマネジメント部合宿」を開催しました!! | 株式会社スペースマーケット
初めまして、スペースマーケット プロダクトマネジメント部所属の小泉 当です。私は今年の6月に入社したばかりで、スペースマーケットというプロダクトをよりよくしていくために日々勉強と実践を繰り返しています。 私が所属するプロダクトマネジメント部(以下、PM部)は入社時の印象は、圧倒的に「 ...
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おわりに

お忙しい中ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

『プロダクトマネージャー』というのはどうやら新しい職種で、企業によってかなり業務・役割が違うそうです。そのため今回書いているのはあくまで『弊社におけるPM』という一例ですのでその点はご了承くださいmm

最後に総括すると、スペースマーケットPMの軸足は「プロダクトの全体最適を目指して、自分のことからチームのことまで意思決定をリードする」というところだと考えています。

意思決定をリード、という若干回りくどい書き方になっているのは、PMは職位としても組織構造としても、上位者ではないためです。

トップダウンで周囲を従わせる権限は持っていない中で、説明・議論・調整を尽くして、プロダクトがより良い方角に進めるように引っ張っていくところに難しさと面白さがあります。

(結局広い意味での”ディレクション”を行っている、と言えるかもしれませんね)

どんな仕事にも良いところと大変なところはありますが、自分にとってPMは結構フィットしており、脳味噌の広い部分を使える面白い仕事だと日々感じています。

ディレクターもいいんだけど、もうちょっと視野や時間軸を大きくとって考えたいな〜」という方には肌に合う仕事だと思います。

ということで弊社のPM業・事業会社でのモノづくり(各ポジション募集中!)に興味がある方、志望動機は不要なのでぜひお気軽に話しましょう!!

ここでは書きにくいこともお話できます(笑)

▼お気軽に話せるMeetyはこちら

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