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異文化の組織を成長させるために大事にしている3つのこと by Yuta Funase

Quipperは東京、ロンドン、マニラ、ジャカルタ、メキシコシティに拠点を置いており、他拠点とのコミュニケーションもオンラインで毎日常に発生するため、所謂グローバル組織と呼べるような運営をしている。私自身、Quipperに入社して二年が経ち、その間、日本オフィス(6か月), マニラオフィス(9か月), ジャカルタオフィス(9か月)と、既に海外オフィス勤務のほうが圧倒的に長くなっている。特にマニラ・ジャカルタオフィスは日本人数名+現地スタッフ30-40名といった形で、ほぼ現地の人間で構成された組織となる。まだオフィス立ち上げから1年足らずと間もないので、スタートアップ的な成長のスピードを維持しつつも、組織としての成熟度を上げ、オフィス全体のアウトプットを最大化していく必要がある。今回は、この主に他国メンバーで構成された組織を運営する上で、特に意識している点を3つ紹介したい。
一つ目はフラットに意思疎通ができる場を設けることである。組織内の誰もが同じ立場でコミュニケーションが取れ、進捗およびアイデアのシェアができる機会である。その理由は、やはりユーザーと直接コミュニケーションをしている現地メンバーの考えというのが何より貴重なアセットであるということと、Quipperそのものがロンドンでの創業時から非常にフラットな組織運営を行ってきたからだ。例えば、ジャカルタオフィスのほとんどのチームでは毎日朝と夜に15~30分ほどのスタンドアップミーティングを実施し、今日のToDoや課題を確認したり、一日の活動の振り返りをする。ここで必ず全員一言は発言をし、日本人も遠慮なく参加する。このミーティングで出てくる施策の改善案やユーザーからのフィードバックは本質を突いたものが多く、PDCAを素早く回していく上で貴重な役割を担っている。また、QuipperではチャットツールSlackを使用しているのだが、これもフラットなコミュニケーションに一役買っている。Slackのオープンチャネルは誰もが自由に参加できるため、ここで議論が始まったり、もしくはターゲットを達成したメンバーへのお祝いメッセージが飛び交うなんてこともよくある。インドネシアオフィス全員向けのチャネルなどは、プロジェクトの進捗やサービスの改善について、さらには仕事と関係ない雑談(これも大事だ)などのコメントで常に活発である。
二つ目は、海外からの赴任者として大事にしていることだが、何でもできる限り自分でも体験してみるということである。ローカル文化しかり、製品・サービス・場所しかり、実際に体験してみることで得られる気付きは大きい。まず、Quipperのユーザーである先生・生徒がいる学校への訪問は積極的に行うようにしている。ユーザーがどう我々のサービスを使ってくれているか目の当たりにするのは最も興奮する瞬間でもある。外国人は中学生・高校生には珍しいらしく、芸能人のようにもてなされたり、歓迎のパレードやダンス・歌が始まることもある。自分の人気かと、危うく勘違いしてしまいそうになる。また、日曜日に高校生ぐらいの溜まり場となっている大通りやショッピングモールで人間観察したり、学校でQuipperのサービスのビラ配りを一緒にしたりもする。生徒の登下校の様子を見ることで、彼らがどういう一日を過ごしているかについての理解も深まるし、現地スタッフと現場での行動を共にすることも意義深い。先日は、週末にジャカルタの大手本屋で受験参考書を買おうとしている高校生がいたので、Quipperのサービスを買わないか勧誘してみた。(ちなみに興味は示してくれたが、買ってくれなかった)。Quipperには申し込み者への支払いを催促する電話部隊がいるのだが、改めて彼らの力を思い知ったものである。
最後の点は、「ターゲット(数値目標)ありき」の文化の醸成である。どのような施策を打つにせよ、必ず関わるスタッフの週単位・月単位のターゲットまで落とし込むことを徹底している。達成した人は褒め称える、ダメだった人は達成した人に比べて何が足りなかったのかとことん議論する。フェアな競争の上で、結果を達成したものが報われる。もちろんプロセス面での出来も評価に入れるが、結果の達成は何より大事だ。異なるバックグラウンドのメンバーの方向性を統一する上ではこれは不可欠であると感じる。ターゲットがチームの共通言語となるのである。
今回、こうした努力および強力な現地メンバーの活躍により、インドネシアオフィスとして掲げていた売り上げ目標を無事達成することができた。今後競争も激しくなってくる市場で勝ち抜くためには、更なる組織の強化が欠かせない。