はじめまして、TOKIUMプロダクト本部の芦田です。
オペレーションシステム開発部の部長をしています。
私は、前職のコンサルティング会社で基幹システムの開発プロジェクトに従事するなど、長きにわたり大規模開発の現場で設計者・開発者としてシステム開発全体を網羅してきました。
その経験を経てTOKIUMに入社し、プロダクトマネージャー(PdM)としてキャリアをスタートさせて、ようやく1年少しが経ちました。
この1年、PdMなら誰しもがぶつかるであろう
「そもそも何を作るべきか? なぜ今なのか?」
「無数にある要望の中で、何を捨て、何を取るのか?」
といった思考の壁に、私もぶつかり続けていました。
その壁を乗り越えるヒントをさがすべく、自分の人生の引き出しをひっくり返していたとき、
ふと、大学院生時代、一番熱量を持って向き合っていた時期を思い出しました。
私が「とある高校野球部の監督」をしていた時期のことです。
(学生で監督?と思われるかもしれませんが、私の母校にはそういった伝統があったんです。また、厳密には助監督でした。ちょっと盛りました。笑)
「あの頃の日々や経験に、今の仕事をひも解くヒントがあるんじゃないか?」
これは、一見すると無関係な、プロダクトマネージャーと野球部の監督を「こじつけてみた」私の話です。「今、何を頼りに、どう判断するか?」その問いに立ち止まるPdMやリーダーの方に少しでもヒントになればと考えています。
ストーリーを描き、逆算する
プロダクトマネージャーの仕事は、営業やPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)を経由し、ときに自らお客様のもとに赴き、抽象度の高いお客様の「要求・要望」を受け取ることから始まります。
PdMの仕事の本質は、それらを「整理」し設計・仕様に落とし込む……だけではなく、
断片的な要望を「一貫した顧客体験(ストーリー)」として形作り、「この機能なら、このUXなら、お客様に選んでもらえる」と確信できる状態まで昇華させることです。
振り返ると、野球の監督に通ずるところがあることに気づきます。
監督の仕事、と聞くと、甲子園の中継でベンチから「バントだ」「盗塁だ」とジェスチャーでサインを出している姿が、比較的想像しやすいのではないでしょうか。
ただ、それは一部に過ぎません。
本当の仕事は、「ストーリーの設計」と「逆算」です。
「夏の大会の1試合を、9回・9イニングスを、どう戦うか?」
試合全体の流れを設計し、そのストーリーを作るために、「今のチーム・組織・個人に足りないものは何か」を決める。
日々の練習は、バットを振り・ノックを受け・ボールを投げる、決して派手とは言えない反復ですが、
一つ一つの反復が「チームとして目指す勝利」というストーリーに繋がっているか?
いつなんどきも数か月先の未来を見据えながら常に逆算する、なんて高度なことは現実には難しいですが、
ふとしたときにこの原点に立ち返ることが、監督の重要な仕事でした。
プロダクト開発も同じで、
迷ったとき、立ち返るべきは常にゴール・アウトカムです。
お客様に届ける価値を起点に、「今、何を優先すべきか」を逆算して見極めることに集中すればよい。
この『逆算』の考え方こそ、監督時代の経験が今の仕事に活きる瞬間だと気づきました。
一貫性を持たせ、浸透させる
そうして振り返ってみると、「ストーリーとしての・組織としての一貫性」という別の視点にも気がつきます。
10年前、私が率いていたチームは、決して強豪校ではありませんでしたが、
ジャイアントキリングを起こさなければ決して届かない、高い目標を掲げてもいました。
限られたリソースで、強者に勝つ。私たちは、戦略を絞り、鍛錬に励んでいました。
監督として自問自答していた問いは、自分たちの戦略と、日々の行動・思考が、本当に一致しているか、ということでした。
「『走塁で勝つ』といいながら、日々の練習メニューがその鍛錬・種まきにつながっているだろうか?」
「わずかな点数差で逃げ切るといっているのに、大切な1点が易々と献上される守備陣形を敷いていないだろうか?」
「言葉で戦略を謳っているだけで、選手が本当にそれを信じ切れていないのではないだろうか?」
プロダクト開発の現場においても、同じ問いがあることに気がつきます。
「『時を生む』を掲げながら、実装しようとしている機能は本当にその価値に貢献しているだろうか?機能が複雑化し、結果的に手間が増えるものができあがっていないだろうか?」
「言葉で戦略を語っているだけで、ビジネスや開発メンバーが本当にそれを信じ切れていないのではないだろうか?」
「戦略(ストーリー)」を描き、整合する要件を定め、全員のナレッジ・言葉として現場の細部にまで染み渡っている状態を作る。
「だから今は、この機能を削るんだ」「だから今は、泥臭くここを作り込むんだ」
プロダクト開発におけるあらゆるステークホルダー(開発・ビジネスはもちろん、ときにコーポレートまで)に意図が伝わり、全員が同じ絵を描き、チームの血肉になるまで、コミュニケーションを続ける。
その「泥臭い対話」こそが、PdMの腕の見せ所なのだと、自身の経験を重ねて改めて気がつきました。
最前線の風景を理解し、戦略を磨く
プロダクトマネージャーは、システム開発の最前線、あるいは営業や導入の最前線で常に戦ってくれるメンバーがいて初めて存在できます。
グラウンドに勇気をもって立つ選手がいて初めて、監督という存在が成立するのと同じです。
ただ、PdMと監督で一つ違うのは、プロダクトマネージャーは、ときにグラウンドに立つ権利も持っています。
このAI時代、様々なツールを駆使すれば、ほんの少し背伸びをして、その最前線のメンバーたちの仕事に触れられる機会があります。
プロトタイプの実装に直接トライできる、などはその最たる例です。
ベンチを飛び出し、ときにはグラウンドの中で共に戦う。
最前線の風景を真に理解できるから、より戦略を磨くことができるし、対話できる存在でいられる。
『越境』を通じ、仲間への真のリスペクトを育みながら、
お客様に届ける価値をより深く理解し、最速・最高品質でお客様のもとへ届けられるプロダクトマネージャーでいたいと思います。
さいごに
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
わざわざ野球に例え、逆にわかりづらくなっていたら、ごめんなさい。(笑)
ただ、こういった思考が、「物事の本質を捉え、経験をつなげ、応用し・解決できる力」というプロダクトマネージャーのコアスキルにきっと通ずるだろうという思いもあります。
AI時代、なにかと短期決戦になりがちですが、本質的な価値と向き合う戦いは、マラソンのごとき長期戦です。
だからたまには、視野をひろげ・遊び心を持ちながら仕事と向き合うのも、いいですよね。
私の言葉や、TOKIUMが大切にする「泥臭さ」に共感いただける方がいれば、ぜひ一度、お話ししましょう。
プロダクトの話でも、あるいは「あなたの人生とプロダクトマネージャーをこじつけてみた」の話でも、大歓迎です。もちろん、野球の話でも!