SIX2019登壇プレゼンを大公開!「こんなAIプロジェクトは失敗する! 〜導入効果?適切なデータ活用?稟議が通らない!〜」

COOの菅沼です。

3月4日・5日に開催された、ABEJA様主催の人工知能カンファレンスSIX2019にて、弊社の長江が40分の枠を頂き登壇してきました。おかげさまで会場は満員。長江は「こんなAIプロジェクトは失敗する! 〜導入効果?適切なデータ活用?稟議が通らない!〜」というテーマでプレゼンテーションを行いました。

そこで、今回は会場へ来れなかった方に向けて、長江の登壇の書き起こしの一部を公開します。

“新時代のAI-SIer”トライエッティングとは

長江:ご紹介ありがとうございます。名古屋のAIベンチャー株式会社トライエッティング代表取締役社長CEOの長江祐樹と申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

長江:AIプロジェクトをやってみようという方、ぜひ挙手をお願いします。4割ぐらいいらっしゃいますね。では、AIプロジェクトをやっていない方は6割ということですね。今検討中という方はどうでしょうか?これも4割ぐらいですね。会場にいらっしゃる8割の方が、AIに関わっているという方が多いということですね。

では理由を聞きましょう。上司からの命令トップダウンでプロジェクトをやっている方は?1割弱ほどですね。ボトムアップ的、現場では必要だということで、ボトムアップ的に、稟議を通している真っ只中だよという方はどうでしょうか?こちらの方が多いですね、まさに2割ぐらい。

長江:みなさんは、導入効果を考えてプロジェクト進めていますか?現場の声を取り込む仕組みやチームになっていますか?現場のニーズを正確にとらえられていますか?

2割の方が、まさにボトムアップでプロジェクトを進められるということで。それこそボトムアップで進めていくと、予算を獲得することもなかなか大変ですし、上の会議体を説得するのも非常に難しくてという方も、先ほど弊社のブースでご相談いただいた方が多くいらっしゃったと伺っております。私たちも同じです。

私たちはAI業界で横のつながりが多いので、そこから得た事例も交えて、「AIプロジェクトの失敗」を紹介します。会場にいらっしゃるAIに関わる8割の方の中から、失敗例と同じ状況になる方を少しでも減らしたいと思って共有します。

今日のコンテンツはこちらです。

・第3次AIブームから、3年…

・#本当にあった怖いAIプロジェクト

・技術とニーズのバランス

・これからのSIer

・まとめ

まず、会社のことを簡単にご紹介します。弊社は、AIをシステムにインテグレートすることを専業にしている、「AI-SIer」です。少し前は“AIのゼネコン”と呼んでいました。

システムインテグレータから走っていると、AIのことがわからないものですから、なかなか現場で使っていただくことに到達するのがが難しかった3年でした。これを問題提起いたしまして、簡単にシステムにインテグレートできる仕組みを開発し、それを主事業としています。

ではシステムインテグレータでスタートしたのかということですが、実はそこから発進した訳ではありません。もともと私は、量子力学、材料物理を専門としている人間です。材料をAIで発見してあげようということで、それを主研究テーマとして取り組んでいます。そこからAI事業の礎ができている会社です。AIのことがわかるシステムインテグレータと考えていただけると幸いです。

2016年6月6日設立と比較的若い会社ですが、AIアルゴリズムの組み込みシステムをベンディングする事業として、名古屋市中区に本社住所を置いております。

第3次AIブームから3年…

まず、この業界でAI予算がどれぐらい必要なのか、知っておきたいところです。これは、あくまでも弊社調べです。2018年下期に調べたもので、国内には、AIに関連する、ないしはAIを主事業とする会社が約400社ございます。日本国内、特にプレスリリースないしはビジネスに活用されているというところで、言葉の処理・画像認識・音声の処理・ロボットや自動車など機械制御・最適化と言われているものがメインの5分野で、全国400社の比率になっております。

それぞれが「アルゴリズム」と呼ばれるAIのパーツを開発している会社さんがほとんどです。WEBというものが10年前に出てきたときの黎明期と状況が似ています。国内のAIプレイヤーも、若干強引なのですが、二次元でマッピングしたものがこちらです。


横軸がシステム規模・ハードル、縦軸が導入コストです。

システム規模が大きければ、その分導入コストも大きいです。真ん中辺りは、国内のABEJA様を含めたAIベンチャーの強いところが陣取っています。特にABEJA様は、他者に先駆けて比較的お手軽に導入できて、さらにデータを入れるだけで簡単に学習でるプラットフォームを提供しています。私たちトライエッティングはABEJA様の並びで、比較的お手軽に導入できて、コストが低減できるというところに強みを持っています。

AIは、プラットフォーム、アルゴリズム、AI用ライブラリ、クラウドサーバー、AI用チップ(GPU)の5つの技術レイヤーに分かれています。

アルゴリズムを簡単に利用しやすくする「プラットフォーム」は、まさにABEJA様がやっていらっしゃるところで、ユーザーに非常に近いところをやっていらっしゃいます。

プラットフォームの中には、さまざまな企業が提供されているアルゴリズム(AIのパーツ)が入っています。AIのパーツはプログラムなので、さらに細かいプログラム集「ライブラリ」というもので構成されています。このライブラリは、このサーバーやチップでしか動かないという依存関係があります。この5つの、どれが欠けても「AI」になりません。

AIをシステム化するときの登場人物は、発注企業、コンサル企業、システムベンダー、アルゴリズムベンダーの5者です。

AIブームが起こった当初、NECや富士通などは、自社のAIを推していました。今は国内ですと、それぞれ各レイヤーごとに存在感のあるAIベンダーが多くいるので、そこと組みながらシステムベンダーとしての強みをいかした配置になっています。

各5つの技術レイヤーには、コア・コンピタンス(競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力)があり、このようなプレイヤーの関係図になっています。

このように、AI業界というものが固まってきていて、いくつも具体的な事例が出てきています。

#本当にあった怖いAIプロジェクト

今回は関係各社がAIプロジェクトを進めていくにあたって、本当にあった怖いAIプロジェクトをご紹介します。

導入効果vsメリットがわからない

失敗パターンの1つめは、AIを使いたい・作りたいという会社さんが、何をやりたいのかがわかっていない状況です。本日会場には、AIプロジェクトをやりたいという方が4割いらっしゃいましたが、導入効果と導入費用をちゃんと計算できていますか?導入効果を考えるということは、企業自体がやりたいことを明文化することが実はポイントなのです。

トップダウンでプロジェクトを進めている会社さんに多いことですが、導入効果をあまり考えていません。ボトムアップ型の場合は、やりたいことが先行していて、どちらかというと導入メリットというところが抜けがちで、なかなか稟議が通らないことが発生します。コストを特に考えないといけないのですが、ITシステムは5年償却です。なので、5年償却で考えないといけません。

こちらは、弊社で実際に使っているAIのプロジェクト検討用資料の実例です。青色のところに、5年で換算した導入費用を、ランディング費用を含めて計算し、導入効果に対して費用の比をとっています。「まず何をやればいいのかわからない」とご相談をいただくお客さまに関しては、必ずこれを作ってくださいとお話します。

このExcelの表では、導入効果がパーセンテージで表されているので、100%を超えないものは導入効果がないということになります。100%以下の項目を外して、多いところから順に並べ替えると、どこから進めていくと導入効果が高いのか、一目でおわかりいただけます。あとで稟議を通すときも、ここまでこのように具体的に考えているのだと話すこともできます。

右側にメモがあるのですが、これはやるべきではない・ぜひやるべきだと現場の声もメモさせていただきます。今、会社の中でAIを導入できるプロジェクトの中に、導入コストが低くて導入効果の高いものがあると一目でおわかりいただけます。これは非常に稟議が通りやすくなります。弊社では、ここまでやらせていただいて、提案させていただきます。

PoCで「止まる」

左図は、AI・アルゴリズムを導入するときの最小構成図です。まず、PoCをアルゴリズムベンダーにお願いする。PoCの結果をお見せして、システム導入に至ったとき、往往にして発注企業にはお抱えのベンダーがいらっしゃるので、そこへシステム化の依頼をします。

システムベンダーは、今までのシステムとちょっと違うので、アルゴリズム予算を聞いても言葉が通じないんですね。システムベンダーからすると、24時間365日安定的に止めずに稼働できるということがまさに美徳なんです。

右図でお見せしているのが、この言葉が通じないことの理由です。システムベンダーが今まで構築したシステムというのは、基本的にはデータベースの上にいわゆるユーザーインターフェイスが乗っているものです(もうちょっと複雑なものもあるのですが)。

しかし、いざアルゴリズムというものを入れようとすると、データを貯めるための「データベース」よりももっと大きなデータの“箱”が必要になります。あと、AIのサーバーのクラスタということで、例えばディープラーニングをするとなると、GPUを乗せたそこそこのスペックのサーバーを買うだけで160〜200万かかります。それを冗長化、安定稼働して5台や10台のサーバーを並列で稼働させることになります。

そうなると、今までデータベースやUI部分を作っていたシステムベンダーからすると、訳がわからなくなってしまうんです。しかし、アルゴリズムベンダーはアルゴリズムだけ作っているので、このソフトウェアがあれば何でもできるだろうと思ってしまう。ここで言葉の齟齬ができてしまうのです。

安定化したシステムをAIで実現することの難しさは、実はそこにあります。PoCがうまくいっても、現場の方に使っていただけるまでのハードルがあるのはそのためです。このグレーの部分と青色の部分を「API」という枠組みで、1つのパッケージとして提供しているのがABEJA様なのです。

技術とニーズのバランス|AIプロジェクトを成功させるために

どうしたらプロジェクトが成功するのか。“技術とニーズのバランス”というところに私たちは答えを見出しています。

AI活用のプロジェクトを成功させる3つのポイント

まずは、目的を明確に明文化すること。まさに費用対効果をはっきりさせることで、さきほどのExcelにあったように計量化、明文化をするところが重要です。

2つ目は、プロジェクトチームと現場から周囲まで、どういう人間がいてどういう関係なのかを把握すること。現場に使ってもらわないと結局意味がないので、現場を納得させる責任者を巻き込む必要があります。

3つ目は、長期的に見たシステム構築をすること。一番最後の例にあったように、データ仕様などの変更がビジネス上発生したりすることがあります。これは AI のシステムのみならず、さまざまなビジネスのシステムに言えることです。変更込みで、柔軟な設計をするというのが、AI 込みのシステム開発の利点なのかもしれません。

しくじりからの学び

先に挙げた3つの“しくじり”から私たちが学んだことは3つです。

1つは、簡便性が必要であること。AIが難しいのは当たり前で、SIerが今までやってきてないから分からないのは当たり前です。このような状況で、クライアントが安心して使えて、AIベンダー・SIerも使いやすい仕組みやシステムはないのだろうか。そこに気づきを得ました。

2つ目は、システム的な柔軟性。現場からの絶え間ないニーズがあって当然で、ビジネス的な舵きりはどうしても必要です。凄まじいシステムの変更に対応できる仕組みを作る必要性があったんですね。このような状況で5年償却たるITシステムを構築するには、どうしたらいいのか。ここでも気づきを得ました。

3つ目は、チーム構成について。弊社の少ない経験からなのですが、チーム構成が成功の7割を握っていると私は考えています。関係者同士のコミュニケーションを意識した構成が必要です。

AIプロジェクトを成功させるための技術要件

失敗事例から、3つの技術的ポイントを学びました。1つ目は、システムの柔軟なカスタマイズ性です。あとでデータ仕様が変わっても、それに応じて柔軟に修正およびアルゴリズムを追加できること。

2つ目は、簡便に従来システムと結合できること。既存システムの大幅リプレイスをしなくても、後付け・外付けでAIをくっつけられることです。

そして3つ目は、高いシステム冗長性。大規模なデータや大量のクエリを捌ききるということがシステムとして可能であるということです。

わたしたちのこたえ:Aaas(Algorism as a Service Platform)プラットフォーム「UMWELT(ウムヴェルト)」

私たちのブースでは、UMWELTを展示しております。UMWELTの中には、100種類ほどのアルゴリズムがセットアップされています。クラウド上で組み合わせることで、どんなデータでも、簡単に高度なアルゴリズムを構築できます。

お客様のシステムから入ってくるデータの入力に対して、アルゴリズムを“レシピ”という形で組み合わせてあげることで、大量にタスクが投げられても、安定的に確実に処理を捌ききるというシステムです。

これを私たちは「データ循環」と読んでいます。データの入力から解析出力、そしてお客様のシステムに返してまたをデータを取る、より賢くなっていくシステムを構築するための仕組みだと認識してください。並列して展示させていただいている在庫・生産管理の「STOCK STREAMS」や人財管理サービス「HRBEST」の仕組みも、UMWELTの上で動いています。

タスクに対して冗長化しているUMWELTと違い、大量のデータを捌ききるのがABEJA様の「ABEJA Platform」です。私たちも、実は学習を投入するアルゴリズムがあるのですが、ここは大規模なデータに対応していません。ここをABEJA Platformに切り替えてあげるだけで、例えば全国100ヶ所の小売店から来る大量のデータを、常時解析し運用できます。

ABEJA Platformはデータの分散処理に長けていて、私たちがタスクの冗長化を補うことで最大限に活用できるという見方をしています。これからのSIerにとって、AIはまさに自己成長、データ循環を通した自己成長が肝になっています 。これを実現するにあたり、“育てていけるシステム構築”を念頭においてプロジェクトを組んで行くとすばらしいと思います。

残念ながら全ての登壇内容を書き起こすことはできませんが、今回の登壇で私たちトライエッティングの活動が少しでも多くの皆さまに知っていただけたら幸いです。

弊社が運営する在庫管理AI「STOCK STREAMS」、人材管理AI「HRBEST」、および今回ご紹介させて頂いたABEJA Pratformの詳細は、ぜひ以下の製品紹介ページよりアクセスしてみてください。

▼SIX2019当日の資料はこちらからダウンロードできます

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