ホテルやオフィス、コミュニティスペースなど、さまざまなジャンルの空間を数多く手がけるUDSに料飲を専門とするSTIR(ステア)という部門があることをご存知でしょうか。事業共創施設に併設したカフェやオフィス内の社員専用カフェなど、その場にあった食空間の企画や運営を行なっているチームです。今回は、UDSのSTIRだからこその飲食空間の可能性について、ご紹介します。(取材・執筆協力:角田 貴広)
ー飲食を起点にしたもう一歩先の体験をつくる
STIRは今年1月に事業企画部のなかのチームとして立ち上がった料飲に特化した専門部隊なのですがUDSとしては10年以上前から自社で飲食施設を手がけたり、クライアントと組んで飲食空間をつくったりしてきました。
クライアントとともに食に関わる場づくりをする場合、空間を専門とするUDSだからこそできる場のあり方など、飲食提供や売り上げにとどまらない成果を期待されてきました。具体的に言えば、その場にどんな人々が集まり、どのような空間・企画によって、どんなコミュニケーションが生まれるのか。そういった飲食を起点にしたもう一歩先の体験が求められてきたのです。こうした経緯もあり、STIRでも、食を通したコミュニケーションの場としての飲食空間ををつくることを大きな柱としています。
UDSでは企画から設計/施工、運営まで一貫して担当することができるので、開業後の運用フェーズでも必要に応じたて設計・修繕や調整がしやすかったり、次に活かせるアイデアにつながるが生まれるなど、会社としても施設・組織としても相乗効果を生み出していい循環をつくっていくことができます。
そんなUDSの料飲専門チームSTIRには、ソムリエやパティシエ、バリスタ、料理人など、飲食に強みを持つ個性あふれるメンバーが在籍しています。
必ずしも飲食経験が必要かというと、そういうわけでもありません。STIRが大事にしているのは、その場所ならではの体験やコミュニケーションをつくること。飲食体験のクオリティは当然重要ですが、お客様に満足してもらえるような企画や空間づくりやなど、より幅広い視点で場所づくりを楽しめることが重要です。
ー都内3カ所で、食を通した交流のある空間を手がける
現在STIRが手がける施設は都内に3カ所。野村不動産グループ本社内にある社員専用カフェ「ARUMON CAFE」と、韓国大手IT企業の出張・ワーケーションのための社員専用施設「BASECAMP TOKYO」、そして横浜駅直結のTHE YOKOHAMA FRONT最上階(地上42階)「Vlag yokohama」(フラグヨコハマ)に併設する「Sky lounge Cafe & Bar mequ」です。
たとえば「BASECAMP TOKYO」では、日本語が話せなかったり、日本に慣れていない韓国の社員の方々が出張先でも日常の延長のように滞在し、働く場を提供することを目指しています。韓国語が話せるスタッフが常駐し、朝食はもちろんのこと、要望に応じてランチやディナーなどを提供しています。加えて、日常の困りごと相談やおすすめスポットの紹介、日本での滞在に関するサポートなど、食事にとどまらず、日本での滞在を最大限良いものにするための、細やかなコミュニケーションを提供しています。
「Sky lounge Cafe & Bar mequ」は、一般のお客様がお越しいただけるカフェでもあるので、お客様に横浜の魅力を紹介することもありますし、「Vlag yokohama」に興味を持ってくださった方にその魅力をお伝えすることもあります。その結果お客様が「Vlag yokohama」の会員になってくださった例などもあり、コミュニケーションをきっかけとして、新しい出会いや次のステップへのきっかけが生まれる場となることを目指して、日々の運営を行なっています。
ー「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」
野村不動産グループ本社内にあるグループ社員のためのカフェ 「ARUMON CAFE」は、現在20名弱のスタッフが在籍し、朝は7時半から就業後の時間まで、運営しています。
社食であればランチどきに社員の方々が来るのがメインかもしれませんが、「ARUMON CAFE」では木曜日の夜にバーを開いたり、毎週水曜日の15時から「mai-maiスイーツ」という(毎週すぐ完売するほどの)人気メニューを販売していたり。定期的なイベントなども開催して、社内外のコミュニケーションが生まれるきっかけを提供することを目指しています。会場全体を使った100人規模のイベントが数カ月ごとにあったり、今年の夏には懐かしいあそびを通じて異なる部署の方々が話をするきっかけを生む夏祭りを開催したりもしました。
場づくりで大切にしているのは、やはりコミュニケーションです。空間そのものもあまり隔てがないつくりになっているので、椅子の配置などにも意識を配ることで、いつどんな方がふらっと来てくださっても、くつろげるような空間を目指しています。実際に、休憩をしに来たり、スタッフとお話をしにお越しいただいたり、仕事の気分転換の場所として使われる方も多くいらっしゃいます。
私たちは飲食スタッフというよりも、コミュニティ・マネージャーに近いのかもしれません。挨拶も「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」。仲良くなった社員の方の要望を伺って新しいメニューを開発したり、朝食を食べない方が多いということでみんなでおにぎりをつくる朝のイベントを企画してみたり。、そうした場で、コミュニケーションが生まれ、新しいアイデアや体験が生まれてくる、ということを大事にしています。
メニューでも、話のきっかけになるような季節性や話題性のある食材を積極的に使ったり、海外の珍しいメニューをデリで販売してみたりもします。すべてはより良いコミュニケーションのため。ここに来ることでなにかが生まれる予感を感じてもらえるように、日々たくさんの仕掛けを考えています。お客様とお話をするなかで「うちの会社でもこういう場所をつくりたいんだ」という声を聞き、実際の仕事に繋がっていった、なんてことが起きるのも、この場所ならではかもしれません。
ー飲食業界で、食をツールとして新しい可能性を広げる
現在都内で3店舗を運営しているSTIRですが、直近ではUDSが企画・運営する新宿三丁目の複合型ワークスペース「INBOUND LEAGUE」の一階へ11月に新店舗を出したり、1月には野村不動産が手がけるコリビング賃貸レジデンス「TOMORE」内にある飲食スペースの企画・運営のコミュニティマネジメントを担当するなど、どんどんと事業が広がりを見せています。今後も、それにとどまらず、UDSが関わっているレジデンスにシェフが出向いて飲食イベントを開催するなど、自分たち起点で生まれる新しい食の楽しみ方を開発、提供していきたいと考えています。
「ARUMON CAFE」で働く熊谷仁宏さんは、前職でレストランの立ち上げを経験し、「ARUMON CAFE」の開業にあわせて転職をしてきたスタッフ。イタリア料理を学んできた料理人でもある熊谷さんは当初キッチンで調理をしていましたが、ここ数カ月はホールに出て、お客様とのコミュニケーションを積極的に担当しています。「お客様に満足して帰っていただくという点では、一般的なレストランとやっていることは同じで、料理が美味しくて、見た目がいいというのは大前提。その上でどんな場をつくれるのかを考えるのが楽しい」と語ります。
STIRでは「企画力」「段取り」「推進」という3つの能力を重要視していますが、料理においても下ごしらえが欠かせないように、料理を経験した方にはこれらの能力が備わっているように感じます。だからこそ、「もっと場づくりやコミュニケーションまで踏み込んでみたい」という飲食経験者の方とSTIRはすごく相性がいいのです。
STIRでは飲食業界の薄利多売や長時間労働などといった印象を払拭し、食を通して新しい可能性が広がるような取り組みをどんどん増やしていきたいと考えています。食を起点に企画・運営・場づくりまで一貫して手がけられるというのは、飲食のキャリアステップの場としても役に立つかもしれません。
料理人でも、そうでなくても大丈夫。大切にしているのは人間力です。その人だからこそできること、生まれるコミュニケーションがあれば、おのずとお客様との関係性が生まれ、場が生きてきます。事業拡大に向けて、一緒に未来をつくっていく仲間の存在は大切です。ぜひ、この記事を読んで面白そうだと感じた方は、気軽に応募ページをご覧いただけると嬉しいです。