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2.9億調達のukka。苦境を支えた2人が語る、チームの成長と再起のストーリー

2015年創業のukkaは「食産業の希望となり、未来を導く」というビジョンを掲げ、食の領域で事業を展開。一度は手応えを感じた食のオーナー制度プラットフォーム「OWNERS(オーナーズ)」を2020年に撤退させました。その後、約半年かけて新規事業の検証に挑み、このたび新体制の下、食品製造プラットフォーム「FOOVEST(フーベスト)」により、プレシリーズAとして総額2.9億円の資金調達が完了。再びスタートラインに立ちました。

約3年前、事業撤退とチーム解散を経験した村瀬と望月が、当時の悔しさと成長を振り返ります。代表・谷川が、資金調達にあわせて公開したnoteのアンサーとなるインタビュー記事です。

▼事業撤退、チーム解散から2年。ゼロからの事業で2.9億円を調達した話
https://note.com/tanighawakei/n/n80dfd48753b5


▼話を聞いた人



ー 事業撤退が決まった時の率直な気持ちを教えてください

村瀬(以下、敬称略)
事業の撤退とチームの解散が決まった約3年前、(当時の事業である)「OWNERS」への愛着を感じていた一方で、売上が達成できていなかったり、たくさんの課題がありました。課題が大きすぎて、何かを大きく変えないと現状打破できない状況だったので、今後の不安は感じつつも変わることへの期待もありました。

望月(以下、敬称略)
僕にとっては、晴天の霹靂という感じでした。良くない空気は感じ取っていたものの、事業撤退レベルまで悪化していたことに驚きました。同時に、僕も「OWNERS」にはすごく愛着があったので、組織的な問題で挑戦を諦めることになって悔しさを感じていました。


ー その後、ukkaに残って再挑戦を決めた経緯を教えてください

村瀬
2020年の3月にチームの解散と事業の撤退が決まりました。その後、谷川さんから僕と望月君に「事業は畳むことになったけど、もう一度3人で挑戦したい」と話がありました。今後のキャリアや人生を考える内省期間を2週間過ごした結果、「やはりukkaしかない。また3人で挑戦したい!」という決意で承諾しました。やると決めてからは迷いはなかったです。

望月
事業撤退が決まってから、ukkaが存続するのか、どこかに吸収されるのか、全くわからない状況だったので、僕は転職活動を始めていました。転職先が決まった頃に、谷川さんから「一緒にやってほしい」と話をもらって、すごく悩んだ結果、また挑戦することに決めました。
正直、内定した転職先の方が良い条件でしたし、0から事業を始めるなんて経験がなかったので、厳しい道になることはわかっていたんです。でも、せっかくスタートアップに飛び込んだのに何も成し遂げられていない、当時関わった農家の皆さんに何の価値も残せていないという思いも強くて、再挑戦の道を選びました。


ー 再起を図ろうというモチベーションはどこからきていますか?

望月
谷川さんって、仕事以外の夢を応援してくれたり、「家族が一番大事」という考え方で、僕も同じ価値観なんです。そういうところがベースにあって、事業に対する熱い思いを伝えてくれて、また一緒にやることを決めました。谷川さんからまた一緒にやろうと電話がかかってきた時は、今の妻と神楽坂でデート中で、30分ぐらい待たせてしまいましたが(笑)あとはやっぱり不完全燃焼で終わってしまったことも大きいです。

ー その時点で新しい事業の構想はあったんでしょうか?

村瀬
当時は全くなくて、食の領域×BtoBでもう一度やろうということだけ決まっていました。最初に谷川さんが受託案件を作り、経営を維持させながら、原点に立ち返って起業や事業開発の本をみんなで読んだり、あらゆる食のプレイヤーにヒアリングを丁寧に重ねていきました。半年ほど経過してからやっと「これじゃないかな?」という片鱗が少しずつ見え始めました。それが現在の「FOOVEST」に繋がっていきます。

望月
とにかく3人で食べていけるための受託案件を谷川さんが必死で作ってくれていたことはとてもありがたかったです。ukkaに残ろうと決めた大きな要素でもありましたね。受託事業での収益はすぐに黒字化して、その基盤のもとで新規の自社事業の構想を考えていきました。3人でも自分たちで稼ぐことはできるんだ、という自信が新規事業への思い切った挑戦の後押しをしてくれました。

ー 軌道に乗り始めて、今後の手応えはいかがですか

望月
今コンビニやスーパーマーケットで大型案件が決まったり、他にも芽が出そうな案件がいくつもあって、手応えは感じています。同時に、これまでとは比べ物にならない物量を動かしているので、今まで想像もできなかったような課題が次々と浮き彫りになっています。

課題があること、そしてその課題をクリアするごとに、自分たちが成長できていることはとてもありがたいですね。これを実感できるようになったのは、ゼロイチの事業開発で鍛えられたスキルや考え方があってこそ。苦しかったですが、事業と同時に自分も成長できていると今なら思えます。そして何より自分たちだけでなく、協力メーカーさんの新しい販路開拓や売上アップにも貢献できていると考えると本当に嬉しいです。

村瀬
以前の状況からは考えられないですね。定量的な結果として、売上は100倍ぐらいの月もあるかもしれない。見たことのないグラフの上がり方です。この結果は、小売企業が抱える課題に対して、僕たちが価値を少しでも提供できている証だと思えるので、本当にやってきて良かったです。

FOOVESTの事業全体で捉えると、今後は成長ドライバーになるプロダクトを作りきって活用できる状態になれば、さらにグロースさせたり、次のラウンドも見えてくるはずです。まだ道半ば。でも、ようやくここまできたので狼煙(のろし)を上げられた気持ちです。


ー これまでを振り返って、自分自身にどのような変化や成長がありましたか?

望月
0から事業を立ち上げたことがなかったので、情報を集めて、仮説を立てて検証する、事業開発のサイクルを回す経験ができたのは非常に大きかったです。特に、構想を実現するためのスキルや考え方が身につきました。何もないところからスタートするので、小さいチャンスや可能性を逃さずに、なんとか形にしないといけない状況の中で、泥臭く追求するようになりました。

また、取引先の方とのコミュニケーションのレベルが変わりました。3人でリスタートして会社の経営に触れる機会が増えたことで、視座が一段と高まり、相手から見た時の説得力が高まったのではないかと考えています。チームメンバーにも自分と同じような視座で取引先の方と会話ができるように、しっかり情報共有とコミュニケーションにおけるコツを伝えていきたいですね。


村瀬
僕は、妻に「顔つきが変わった」とか「自信がついたね」と言われるようになりました。振り返ると、挑戦や葛藤する中で自分が変わったなと思うのは3つ。

まずは、以前は頭の中でアイデアを温めたりはしていたんですが、考えるだけではなくて行動と結果が全てだなと思うようになりました。2つ目は、それまで、例えば「自分はバイヤーで食べて行くんだ」とやりたい職種ありきでキャリアを考えがちだったんですが、3人になってからは、事業開発や営業はもちろん、未経験だったプロダクトマネージャーに挑戦したりと、事業を成立させるために自分はどう動けるかという考えで、仕事の在り方がガラッと変わりました。3つ目は、3人からメンバーも増えて、自分だけではなくて、チームでどう結果を残すかというマネジメント経験。すごく奥が深くて難しい反面、良い組織になっていく手応えもあり、日々向き合っているところです。

これらの行動には原動力みたいなものもあって、食の領域や商品開発の課題解決をしたいというのは大前提なのですが、一度事業に失敗した経験に対し「絶対にビジネスとして成立させるんだ!」「自分の選んだ道を正しいと証明していくんだ!」という強い執念のようなエネルギーによって自分は変わってきたなと思います。


ー 2人から見て、谷川さんが変わったところはありますか?

村瀬
従来の良いところが経験と覚悟によってさらに洗練されている感覚があります。事業に対する熱量や突破力はVCの方が評価するぐらいすごいですし、企画を成立させたり、案件を生み出す営業力は「FOOVEST」を通じて発揮されているなと思います。メンバーが悩んだ時も直接解消に動いてくれることがあり、業務以外の面も支えてくれています。

望月
以前の共同代表制からワントップになったことで、谷川さんは「自分がやるしかない」とファイナンスについてすごく勉強して、今回の資金調達も成功させてくれました。代表であっても、そのとき会社のために必要なことを学び吸収しアウトプットする、素晴らしい姿勢だなと常に感じています。

それから、谷川さん個人というよりは会社としてなのですが、以前の学びからカルチャーフィットをかなり重視した採用をしています。「心・技・体」で例えると、心と体の健全性を保つことが重要で、技は後からいくらでもついてくるという考え方です。今採用を強化していますが、そこは揺るがないですね。


ー 谷川さんは従来どういうタイプなのでしょう?

村瀬
僕は入社する半年前に業務委託から始めたんですが、そのときキャリアとして参画を迷う時もあったんですよね。でも、谷川さんの事業に対する熱量とか、もっと言うと人生に対する熱量がめちゃくちゃ高いので、自分も良い意味で巻き込まれています。決めるべきところを決めてリードしてくれる安心感とか、メンバーが人生で成功するためにukkaができること、メンバー自身が家族を大事にできる環境であるかを考えてくれ、気が付いたらジョインしていました。

ukkaがまわりから応援していただける機会が多いのは、スタートアップの初期フェーズだからというだけではない気がしているんです。それは、谷川さんが中途半端にはやらない覚悟があり、やり抜いてくれるという期待と信頼を得ている気がします。

望月
巻き込み力というか、「この人なんかやってくれそう」とか「一緒の船に乗ってみよう」と思わせますよね。とにかく真っ直ぐに目標に向かって動き続けていて、その動き方が谷川さんの精神的にもプラスに働いているのを感じています。

それから、村瀬さんも話していましたけど、ukkaでの仕事だけではなく、個人の人生における夢を応援してくれたり、「家族が一番大事」という考え方を持っている人なのですが、そんなところが巻き込み力にも繋がっているのかなと思います。仕事と家庭をひっくるめた人生を妥協することなく向き合うからこそ結果が出ているとも感じています。食にまつわるこの業界では、ukkaの届けるサービスが最終的に家庭や食卓に届くこともありますし、地続きと捉えるとそれぞれの時間に良い影響を与えられるはずです。


ー 今後、チームや会社をどうしていきたいですか?

村瀬
僕は3つあるかなと思ってて。1つは、食の課題解決をやり切ることです。
今やっている商品開発事業と加工原料事業も、僕らがやるべき事業だと思っていますが、それが全てというよりは、食の領域におけるあらゆる課題が解決される世界っていうのを、僕たちが生み出していったり、リードしていける存在になりたいですね。今後、小売やメーカ以外でも、一緒に仕事をするプレイヤーの皆さんと一緒に目指していきたいです。

2つ目はメンバーの幸せです。今はまだ10人以下の組織ですが、一人一人が裁量を持って、会社を作っていける権利があります。整った状態ではないですが、可能性がありその余白は大きいです。これから、事業だけではなく社内の制度であったり、コミュニケーションを通して、ukkaに関わって幸せになれるように、組織としてのukkaも追求していきたいと思っています。

3つ目は、事業や組織を大きくできるように、自分の器を大きくしていきたいです。業務に必要なスキルだけではなくて、人間性とかマネジメント能力とか、いろんな視点があると思うんですけど、事業や組織の成長に耐えられるように、追求していきたいです。

望月
チームとしては、日々サプライヤーの皆さんに向き合う中で「ukkaがいて良かった」と思っていただける事業にしていきたいですね。今、食品製造業を取り巻く多くの課題があります。人手不足や原料の高騰、物流費や光熱費などランニングコストの負担増…。そのような厳しい環境下でも、サプライヤーの皆さんが新しい販路・商品に挑戦でき、売上と利益を上げることができ、事業が持続可能になる世界を実現することが僕たちのミッションだと思っています。

組織としては、今ukkaにジョインしてくれるメンバーが増えてきています。フルタイムや業務委託などの立場に関係なく、信頼関係を築けて、心理的な不安なく事業に向き合えて、結果として事業が成長している状態を作っていきたいです。信頼や働きやすさがベースにあって、事業の成長がついてくる、僕はそういう順番だと思っていて、組織と事業の成長を上手く連動させていきたいです。


ーukkaがゼロになった日から3年弱。苦境を乗り越えて成長し、ukkaを新たなステージに引き上げた村瀬と望月。顧客や市場に向き合う姿勢は変わらず、それぞれのチームを牽引しています。ここからはukkaにとって、ふたたび未知の領域。共に壮大な食の領域を舞台に力を発揮していただけるメンバーを募集しています。

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