「一人前のデザイニストになるとはこういうことなんだ!」を届けたい
駆け出しクリエイター「佐伯」「平島」の奮闘レポート!一人前のデザイニストになることを目指し、前に突き進む過程をお届けする企画「デザイニスト道場」が始動!!
クリエイターの指南書とも言えるアンティー・ファクトリーの理念ブックを中心に据え、業界の最前線で活躍している先輩や同僚たちの門をたたいていきます。
理念ブックをより深く理解するためのサポート教材として、マネージャー陣に推薦図書も聞いて回ります。
時には先輩を突撃、時には同期や後輩と切磋琢磨しながら、道場で体験できたことを自分なりの理解におとし、理念ブックが指南してくれている内容とリンクさせながら、全ての方に届く言葉でお伝えしていきます。
私たちのリアルな体験を通して「一人前のデザイニストになるとはこういうことなんだ!」を指し示し、届けられたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
たのもう!!第一の門・水野さん編
前回は、私たちから入門のご挨拶をさせていただきました。
前回の記事はこちらから
今回からいよいよ本格始動!第一の門をたたいていきます!!
最初に突撃するのは、デザイニストの大先輩「水野 可奈子さん」です。佐伯・平島が所属する戦略プロデュースグループの部長であり、アンティーのクリエイティブを牽引するリーダーの一人でもあります。
■ 水野さんの紹介
【名前】水野 可奈子
【所属】アンティー・ファクトリー/アンティー・デザイン 東京オフィス 戦略プロデュースグループ
【職能】ブランド コンサルタント 兼 クリエイティブディレクター
ぜひ、こちらの企画もご覧ください
そんな水野さんが推薦する図書とは……!?
早速、突撃していきたいと思います!
■ 推薦図書の紹介
水野さんの推薦図書はなんと全部で6冊!
3つのカテゴリに分類してご紹介していきます。
カテゴリ1「美術史・デザイン史」
”知識の習得は歴史を学ぶことから!”
現代デザインの本質を捉えるために、まず、美術・デザインの全容を知る
● 推薦図書(1)「西洋・日本美術史の基本」
まずはこの本からスタートするのがオススメ!西洋美術・日本美術それぞれに知識を深めながら、美術史全体の大きな流れや変遷を捉えていくことができます。
● 推薦図書(2)「アール・デコの時代」
産業革命に伴い起きた技術革新がデザイン様式にどのように影響を与え、変化させていったのか詳しく書かれています。今まさに起きているテクノロジーの進化とデザインの関係に通じる部分が多く、デザインの話に留まらず、広く人文学的視点で学びが得られます。
この本を読んでからアール・デコ関連の美術館や展覧会に行くと、建物や作品の見え方が変わってかなり楽しめます。
● 推薦図書(3)「戦後日本デザイン史」
上記の2冊と比べると少し上級編となります。戦後の日本のデザインが時代とどう向きあい、何を達成し、どのように確立されてきたのかを体系立てて見て行くことができます。ここから、私たちの仕事の本質的な部分が見えきて、更には、この先に何が求められているのかといったことが見えてくると思います。
カテゴリ2「バウハウス」
”デザインのルーツを理解し、デザインワークに説得力を持たせる!”
新デザイン様式を確立させ、デザイン教育の基盤となった「バウハウス」を知る
● 推薦図書(4)「やわらかバウハウス」
桑沢デザイン研究所の卒業制作作品として作成された書籍。一見、つかみどころがなく難しいと感じられてしまいがちな「バウハウス」についてわかりやすいアプローチで紐解いてくれています。
桑沢デザイン研究所の卒業生である作者が、バウハウスに通う生徒を自分と同じデザインを学ぶ学生という立場として捉え、生徒の目線でバウハウスという学校を4コマまんがでレポートする、その発想も素晴らしい作品。
※残念ながら一般に販売されていないようです。
大量生産時代の到来に伴い新デザイン様式を確立させてきた「バウハウス」を理解できると、現代のデザイン制作を担う私たちの仕事への理解が深まり、キャリアがより確かなものになっていきます。
● 推薦図書(5)「バウハウスー歴史と理念」
現代デザインの原点ともいえる「バウハウス」の歴史や理念を知ることができる一冊。デザインに対する新しい考え方を普及するために「バウハウス」がどんな考えで、どんなことを行ってきたのか詳しく書かれています。
今日のデザイン教育の基盤にもなっている「バウハウス」を知ることを通して、デザインという行為の奥深さと普遍性、重要性を学ぶことができます。
ぜひ、こちらの記事もご覧ください
カテゴリ3「ポール・ランド」
”時代に淘汰されないデザインとは?”
グラフィックデザイン界の巨匠から現代デザインの奥義をつかむ
● 推薦図書(6)「ポール・ランド、デザインの授業」
グラフィックデザイン界の巨匠であり、デザインの教育者でもあったポール・ランドによるデザイン講義録。実際に講義を受けた生徒の目線で書かれているので、とても読み進めやすいです。
商業デザイン、アイデンティティデザインなどについて考える上で知っておいた方が良いことや知的美的デザインのヒントにつながることが書かれていて、アンティーの理念ブックと通じるところが多いです。
■ インタビュー
水野さん、推薦図書をご紹介いただきありがとうございます!
ここからは、私たちからいろいろお聞きしていきたいと思います!!
佐伯・平島
たくさんの本を読まれてますが、昔から読書が好きだったんですか?
水野
学生時代は、網羅的にかなりの量の本に触れてきました。
大人になってからは、プロとして専門性の高い知識も身につけておく必要性を感じています。
- 若い頃は、いわゆる中2病で、オタクっぽかった
- 一つのことに深くハマるより、いろいろなジャンルに触れて知識を網羅したいタイプ
- 学生時代は、かなりの量の本に触れてきた
- でも、社会人になると本を読む時間がなくなってしまった・・・
- 社会人になってからは、ビジネス本を読むことに忙しくて美術・デザイン系の本を読めていなかった
- 40代に入った頃から教養をつける必要性を感じはじめた
- 自分のキャリアが高まることで、会話する人のレベルも上がっていった
- プロとして専門性の高い知識を身につけておく必要があると感じている
佐伯・平島
本を通して知識を身につけることはとても大切なことですね。でも、日々の仕事に追われて時間が取れない人も多いように思います。私たちがそうです。何かオススメの方法はありますでしょうか?
水野
忙しい中でもできるオススメの方法はあります。
1年に1つ好きなテーマを掲げて、年間を通して知識を深堀りしていくと楽しいですよ。
- 例えば「今年は千利休を極めよう!」と決めて書籍や展示会、映画を見たり、ゆかりの場所を旅したりする
- 短期間にいろいろなインプットをしようとしても次々に消費してしまうだけ
- でも、テーマを絞って1年かけて多角的に探究すれば、考えも深まり、教養に落とし込むことができる
- 予備知識を持って映画や展覧会を見るとさらに楽しめると思う
佐伯・平島
本を読むことを通して、私たち若手にどのような成長を期待しますか?
水野
本を沢山読んで、もっと世の中のことを知り、自分の中に引き出しをつくって欲しい。
今回の推薦図書をきっかけに、アンティーの理念ブックに夢中になってもらえると嬉しいです。
- 若手は、まだ社会人としての経験が浅く、一般教養や専門知識が充分に身についていない人が多いように思う
- 本を沢山読んで、もっと世の中のことを知り、自分の中に引き出しをつくって欲しい
- 考えが整理されたところに自分ならではの視点を織り交ぜることによって、持論に自信が持てるようになる
- 頭でっかちになるのはダメだけど、「知識」を持つことで「知性」が生まれ、自分を助ける武器にもなる
- 「歴史」を知り、「知識」「教養」を身につけた上で理念ブックを読むと、より理解が深まる
- 今回の推薦図書をきっかけに、アンティーの理念ブックに夢中になっていってもらえると嬉しい
本を沢山読むと、高い「知識」「教養」が身につき、成果として現れます。
- 高い「知識」「教養」が身につくと、より良いコミュニケーションを築き、質の高いアウトプットを届けることができるようになる
佐伯・平島
水野さんのお話を聞くにつれ、アンティーの理念ブックのことが気になってきました。
「理念ブックのここが好き!」という部分を教えていただけますでしょうか?
水野
絞りきれないので3つお話しします、笑
(1)「はじめに(理念ブックの冒頭 中川社長からのメッセージ)」
最近追加した内容、水野のお気に入り!!
- 「会社は常に流動的だからこそ、今働いている自分たちでいかようにも変えていくことができる」と謳っているところが特に好き
- 個人的に、禅の言葉「色即是空、空即是色」に通じていると感じる
(2)「行動規範2:知的美的デザインによる社会貢献」
「過去から受け継いだものを現在に最適化し未来に繋げる」と時間軸の流れで捉えているところが好き
- 時間軸で物事を捉える、という感覚はデザイニストとして成長していく上で重要なポイント
- 自分自身がデザインを考える時にも直接的に役に立っている
- 歴史を学ぶことの重要性にも直結している
(3)「行動規範3:顧客満足の実現」
「相手の思いを理解すること」がデザインという行為のスタート!!
- エットーレ・ソットサス(イタリアの建築家、インダストリアルデザイナー)が、「デザインとは人に花束を渡すこと」「相手が欲しいものを渡すことが相手に寄り添うこと」と言っている
- 自分が表現したいことではなく、まず相手が望んでいることを理解し、誠実に向き合うことが大事であり、そこがお客様とのやり取りの中で一番難しいからこそ、やりがいを感じる部分 デザインの本質と言ってもいい(常に忘れてはいけない)
- また、デザイニストは、クライアントからの指示に頼り、それをただ実行するだけでは駄目 常にその理由や背景を自分の頭で考えて、より良い形を模索するべき
- クライアントに対して、本質的な提言をする必要があるときもあるが、第一にその提言を許される人である必要がある
- そのためには、お客様に「この人は自分を理解してくれていて、信頼できるパートナーである」と信用される人にならなくてはいけない
佐伯・平島
私も「顧客満足」のところが一番好きです!水野さんと一緒で嬉しいです!ディレクターとしてお客様との窓口に立つことが多く仕事に直結するところだから、仕事で悩んだ時は読み返すようにしています。
■ 本日の学び!!
✓デザイニストとして、より良いコミュニケーションを築き、質の高いアウトプットを届けるためには「歴史」を知り、「知識」「教養」を身につけるべし
- そのためにも、私たち(経験の浅い若手)は、本を沢山読んでもっと世の中のことを知ることで自分の中に引き出しをつくり、持論に自信を持てるようになる
- 目まぐるしく変化していく世の中、つい新しい技術にばかり目がいきがちだが、デザインの本質を捉えるためには、まず歴史から学ぶ必要がある
- 歴史を通して社会の変化が美術やデザインに及ぼしてきた影響を知ることで、これから起きる変化に対応していける力も身につく
- 理念ブックにある「過去から受け継いだものを現在に最適化し未来に繋げる」の部分ともリンクする
✓仕事で忙しい日々であっても、楽しく自分のペースで学ぶことができる
- 仕事で忙しい日々であっても、楽しく自分のペースで学びながら「知識」「教養」を高めることはできる
- テーマを絞った上で、探求を続ける
- 時に、旅に出たり美術館に行くなどして実体験を重ね合わせてみるのも良い
✓高い「知識」「教養」が身につくと「理念ブック」がより深く読み解けるようになり、一人前のデザイニストにまた一歩近づくことができる
- 「知識」「教養」を身につけた上で理念ブックを読むと、より理解が深まる
- 今回の推薦図書をきっかけに、アンティーの理念ブックに夢中になるところからはじめる
■ 課題設定
✓推薦図書「西洋・日本美術史の基本」を読み、まず、美術・デザインの全容を知る
✓テーマを絞った上で、探求を続ける
本日の直撃を通して水野さんからとても貴重な情報、沢山の愛あるメッセージをいただきました。
ありがとうございます!!
早速課題に取り組むべく、まずは推薦図書「西洋・日本美術史の基本」を読み、「見えてきたこと」「もっと探究したいと思ったこと」を水野さんにぶつけてみたいと思います。そしてそこから、何かひとつテーマを見つけ、探究をはじめていきます。
今後の詳細は本企画で随時リポートしていきますので、ご期待ください。
次回は、また新たなマネージャーに突撃します。お楽しみに!!
インスタグラムをはじめました!!
https://www.instagram.com/unt_factory_official/
@unt_factory_official
「un-T sketch 〜フレッシュで未完成〜」
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アンティーで働く個性豊かな社員についてや、
仕事、制作、時には社内行事に対しても
情熱を注いでいる日常の様子などを
スケッチに描き出すように、思い想いに発信していきます。
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