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コロナ禍で見えてきた“人と人”、そして“人とロボット”がともに創り出す未来の新しい価値とは。ユニキャスト代表が振り返る「2020年とこれからの展望」

「誰もが経験したことのない新型コロナウイルスの感染拡大によって強いられた大きな社会の変化。テクノロジーを通した課題解決に長年携わってきた私たちが、この危機において何ができるのかを考え、奮闘してきた1年でした」

ユニキャスト創業者で代表取締役の三ツ堀裕太は、2020年を振り返ってこのように語ります。2005年に茨城県で創業した当社は、クライアントワーク(受託開発)とロボティクス、ITインフラ事業を展開しているベンチャー企業です。

今回、創業からの15年間とコロナ禍の2020年を振り返ってもらうとともに、この先仲間たちと一緒に目指していきたい未来の企業の姿について、三ツ堀に聞いてみました。

「人ができないことは、ロボットに任せよう」という意識変革

——今日はありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大によりさまざまな業界が影響を受けました。ユニキャストとして、2020年はどんな1年になりましたか。

当社も例にもれず、コロナ禍によってテレワークを余儀なくされて、どうなってしまうだろうかという不安が大きかったです。そして、未曾有の状況の中での困りごとやニーズを考えた上で、「AI検温for Sota」や「自動運転消毒ロボット」をリリースしました。

ロボティクス事業の立ち上げ当初から私たちが思い描いてきたのは、人とロボットが一緒に働いたり、生活したりする社会でした。これまでは接客や受付対応ロボットのサービスを提供してきましたが、このコロナ禍で一番困っているのが、日頃からお世話になっている接客業のお客様だったことに気づいたんです。3年後5年後のロボットとの未来ではなく、1日も早く、少しでも安心してお客様をお店に迎え入れられるようにすることのほうが今は重要だと考えました。「AI検温for Sota」では、人と接してはいけない、人に会ってはいけないという状況において、受付にいるスタッフの方が入口で来客者一人ひとりの検温をしなくてもいいサービスを提供することができました。

——コロナの影響で、ロボットに対する社会的なイメージに変化はありましたか。

はい。少し前までは「ロボットの活躍や合理化で人間は仕事を失うのでは」と不安視する声も少なくありませんでした。脅威として考えられていたものが、コロナの影響によって「人ができないことをロボットにお願いしよう」と、追い風に変わってきたように感じます。

今、人がやっていることの全てをロボットに任せられるかといったら、もちろんそんなことはありません。でも、特にコロナ禍においては、人がやらなくてもいい業務もあるはずです。「ここはコンピュータやロボットに任せてみよう」とすることで、人とロボットの新しい共存関係が創れるのではないでしょうか。

接客やサービスのお仕事に就いている方には、人と関わることが好きで、お客様の喜ぶ顔を見たいという方もたくさんいるでしょう。だから本来の接客という仕事に対して集中的にエネルギーをかけられるよう、ロボットを上手く使っていただけたらいいなという思いがあります。

               ※AI検温for Sotaのイメージ動画

——2020年、特に印象に残っている出来事はどんなことですか?

行きつけの居酒屋さんが「AI検温for Sota」を導入してくださっていたのは、すごく嬉しかったですね。また、開発段階では、知り合いの飲食店オーナーさんに検温装置のデモに協力してもらったのですが、結局「便利だから買うわ!」と購入していただいたこともありました。身近な場所で当社の製品を使ってくれる方がいるのは、やっぱりありがたいことです。

また、当社はアメリカにロボティクス事業の子会社を設立しており、シリコンバレーの開発者たちと話す機会があるのですが、その中でも印象的な場面がありました。

以前は「タブレットがあるから、ロボットの必要性は感じない。アメリカ人は合理的なんだ」と話していたのが、コロナになってからは「お前ら何で早くロボットをやらないんだ?」「誰が触ったかわからないようなタブレットは触りたくないんだ。時代は音声認識だ」と(笑)。非合理的だとずっと言っていた人たちが「日本のロボットは可愛い」と言い始めたのは、いかにも柔軟性のあるシリコンバレーらしくて面白かったですね。

創業から16年目の現在と、その先に見つめているもの

――大学発ベンチャーとして創業した2005年当時と比べて、変わったことはありますか。

私には社会人経験がなかったので、創業時は本当にわからないことだらけでした。見積書を依頼されても「それなんですか?」というところから始まり、お客さんをどう見つけるのかもわからない手探りのスタート。だから今はさまざまなキャリアを経て入ってくれる社員たちが、頼もしい存在です。創業から15年をかけて、茨城県内でも当社のことを認知してくださる方も増えてきました。当時は無縁だった行政関係の仕事においても、最近は計画の段階から県や市の方から相談があって、「ぜひ一緒に、県民のために力を貸してほしい」とお話をいただける機会が増えてきたのは光栄なことです。

また昨年は、長年一緒に仕事をしてきた中核メンバーの転職が相次ぐといったことがありました。転職を考える世代ではありましたが、やはり精神的なインパクトも大きかったですね。この件をきっかけに、私自身や会社としての弱い部分や新たな課題が見えてきて「これは成長期なんだ」と捉えて、改善に生かそうと思うようになりました。

——いわゆる成長期においての対応策や課題として変わろうとしていることや、今後の取り組みについて教えてください。

昔は社員が少なかったから何とかやっていけたのですが、少しずつ会社の規模が大きくなり、社員数や個々の仕事が増えるにつれて、意思決定や情報共有の手段を変えていくべきだと思うようになりました。そこでメンバーが互いに頼り合い、かつそれぞれが主体的に行動できる環境づくりを目指して「チーム制」を導入している最中です。

当社はテクノロジを通して社会に貢献することをミッションとしているため、エンジニアを尊重するカルチャーがあります。そのため、採用や教育、広報など、開発以外の業務についてもエンジニアの意見を取り入れていきたいと考えたことがチーム制導入の大きな理由です。複数人で新たな課題を担当してくれるチームに積極的に権限を委譲しながらも、誰か特定の人に負荷が集中したり、その人に責任やプレッシャーがかかりすぎたりしないように、新たなコミュニケーションを図っていこうと考えています。貴重な意見や情報にアクセスしやすい環境を整えたいです。

                   ※撮影:2015年

――クオーターミーティング(3か月に1度おこなわれる全社mtg)では、中長期で目指す姿として「ロボティクス(アプリレイヤ)の先行企業として国内で認知されること」を挙げられました。ユニキャストにとってのロボティクス事業の位置づけ、またどのような状況になっていると達成していると言えると考えていますか?

2015年にロボティクス事業を始めた当初は、ロボットアプリを自分たちで作り、事業展開することが中心でした。しかし、最近ではクライアントワークの中で、PCやスマホアプリと同じようにロボットという選択肢が当たり前のように入ってきた印象があります。

とはいえ、まだ市場は立ち上がったばかりというか、まだ立ち上がってもいない状況です。誰かが勝ちパターンを知っているとかはなく、ロボットをどう生かしていくかはこれからの社会や企業の関心事でもあるので、失敗例も含むさまざまな情報が当社に溜まっていく状況を作っていけたらなと。「ユニキャストに相談するとたくさんの情報を持っているから、良い提案をしてくれるだろう」と思っていただけるようになることが、ひとつの通過点かと思います。

——これまでのロボティクス事業とクライアントワーク事業と、二つ分かれていたものの境界がだんだんとなくなっていくようなイメージなのでしょうか。

はい、実際にそれはかたちとして表れはじめているような感触はあります。クライアントワークの業務でも画像認識の話だとか、ロボット制御の研究開発だとか、そういった話が増えてきています。クライアントワークでやることの中にもロボットに関連する業務が増えてきている状況なので、呼び方は今後変えていくかもしれません。たとえば、開発と販売に関わる事業を分けた方がしっくりくるのかなと今は思ったりしています。

未来の価値を生み出すのは「コクリエーション(共創)」

――目標の達成に向けては、今後何が必要になると考えていますか。

提案のフェーズが非常に大事だと思っています。一般的なクライアントワークは、エンジニアが手を動かすだけの業務に思われがちです。でも、「この仕事に関わるとどんな価値が生み出せるのか」まで提案できると、「高い安い」ではなく、同じベクトルを向くパートナーに変わっていくことができます。そうなると、お客様にとっては外注する「費用」ではなく一緒に価値を生み出していくための「投資」に変わるんですよね。そういった関係性を目指していきたいです。

2015年に地域貢献型シェアハウス「コクリエ」を立ち上げた頃から「コクリエ―ション=共創」が私自身にとっての重要なキーワードになりました。自分たち一社で何かをやっていくというよりも、誰かとアイディアを出し合って、一緒につくっていこうというのがいいのではないかと。社内スタッフのコミュニケーションはもちろんのこと、人とロボットとの“コクリエ”でもあるし、たとえば他社さんとのコラボレーションでビジネス展開する時などにも、共創という気持ちを大切にしながら進めていけたらと考えています。

――目指す在り方に近いプロジェクトは、直近で何か思いつくものはありますか?

AI検温for Sotaが近いですね。NTT東日本さまと連携して昨年の10月から実証実験を開始し、1月から本格的に販売も始まりました。NTT東日本さまのような大手企業とコロナ禍の課題解決に向けて取り組んできたこと、また販売代理店さんやテクノロジーパートナーさんと一緒にプロジェクトを進められたことは、理想に一歩近づけたのかなと思います。

——ありがとうございます。最後に、今一緒に働いているスタッフや、これから仲間となるかもしれない皆さんにメッセージをお願いします。

ユニキャストでは、明るく楽しく世の中の新しい価値をともに生み出し、失敗を恐れずに新しいものをつくっていけるカルチャーをより作っていけたらと思っています。

これまでに変わらず開発に力を入れながらも、メンバーそれぞれが自由に意見を出し、それがポジティブに働くような風通しのいい環境づくりを今後も進めていきます。キャリア採用のエンジニアを絶賛募集しているので、興味のある方はぜひご応募いただけると嬉しいです。


Webエンジニア
自由な働き方もスキルアップも叶う環境で、社会に貢献したいエンジニア募集
テクノロジを通して「驚き」と「感動」を創造し、人々の「夢」と「笑顔」を支えます。 これが弊社のミッションです。お客様や社会の課題を解決し、その先にある笑顔のために、私たちが得意とするテクノロジの力を使い、自分たちのインパクトの範囲を広げています。 茨城県の大学生発ITベンチャー企業である弊社は2005年に設立してから、 大手電機メーカーの研究開発や不動産会社の物件検索システムなどを手掛けてきました。 現在、スタッフはインターンを含めて約25人。技術領域の幅の広さを活かし、プロジェクトの特性に合った技術を選定し、お客様の課題と向き合い、要件定義からコミットすることを強みとしています。ただ開発するのではなく、よりユーザーに支持されるより価値の高いプロダクトをクライアントの皆さまと一緒に作りたい。そんな思いで、ユニキャストのエンジニアは開発スキルだけでなく、コミュニケーション能力や業務遂行能力も大切にしているんです。 <事業内容> ・クライアントワーク事業 お客様の課題解決共創パートナーとしてチームを組み、Webやモバイル、ロボットアプリケーションの開発をしています。コネクテッドカー通信アプリケーションやAV制御システムのタブレットアプリケーションなど、さまざまなご要望に対応しています。 ・ロボティクス(自社サービス)事業 PepperやSota、temiなどコミュニケーションロボットのソフトウェア開発をしています。接客案内、受付、インバウンドなどさまざまなシーンでサービスを展開してきました。 ・ITインフラ事業 最適なITインフラの運用プランをご提案し、サーバの構築や運用などを行っています。 その他にも、CSRの取り組みとして、地域貢献と人材育成の拠点を目指し、シェアハウス『コクリエ』を運営しています。 ■事業紹介 https://www.unicast.ne.jp/services/
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