今では複数の事業をまとめている羽田彩乃。入社した頃は、自分の名前をパソコンで打つだけで、1分近くかかっていたという。
現在はゼネラルマネージャーとして、いくつもの事業やチームを見ている。売上目標に向けて方法を考えたり、進み具合を確かめたり。メンバーを育て、組織をつくることも日々の仕事に含まれる。
数字だけを見ているわけではなく、現場の一人ひとりがどんな状況にいるのか、お客様からどんな声が届いているのかにも、目を向けている。
そんな羽田にも、パソコンの前でなかなか仕事が進まなかった頃がある。2017年、入社したばかりの頃のこと。
当時は毎日のように辞めたいと思い、その気持ちは入社から1年ほど続いたそう。
そこから約9年。店舗事業の責任者を経験し、今は複数の事業を任されるようになった。
初めから何でもできたわけでも、管理職になろうと思っていたわけでもない。
苦手な仕事に悩んだことも、担当する事業が続けられなくなりそうな時期もあった。今の羽田につながる話を、入社した頃からたどってみよう。
入社から1年間、毎日辞めたかった
羽田がユニバースに入社したのは、2017年のこと。
きっかけは知人からの紹介。どんなサービスを扱う会社なのかも、当時はまだよく分かっていなかったそう。
入社前は「少し特殊な世界なのかな」と思っていたけれど、働き始めてみると、想像していたよりも地道な仕事が多かった。
最初に配属されたのは、会員様の対応をする部署。
電話でのやりとりは得意で、会員様の悩みを聞くことも多かった。そうして少しずつ、担当する会員様も増えていった。
ただ、パソコンとなると話は別。当時のことを、羽田はこんなふうに振り返る。
「自分の名前を打つのに、1分近くかかっていました。よく入社できたなと思います(笑)」
メールを返すにも時間がかかってしまう。自分にはこの仕事が合っていないのかもしれない、と感じていた。
入社から1年間、毎日辞めたいと思っていた。それでも、ひとつだけ自分で決めていたことがある。
「とりあえず1年間だけは、逃げずにやってみよう」
そう決めて、目の前の仕事を続けた。昨日はできなかったことが、今日はひとつできる。そんな日を少しずつ重ねていった。
「特別な才能があったわけではありません。
ただ、目の前のお客様に向き合うこと、昨日できなかったことを今日ひとつできるようにすること。それだけは続けました。」
「気づけば仕事にも慣れ、メールの返信数も社内で上位に入るようになり、周囲から仕事を任せてもらえるようになっていました。あれほど『向いていない』と思っていた仕事が、いつの間にか楽しくなっていたんです。」
入社1年で店舗型の新規事業へ。「絶対に終わらせたくない」と思った
入社から1年後、羽田は店舗型の新規事業へ配属された。そこで、やがて責任者を任されることになる。
もともと得意だったのは、対面での営業。配属を聞いたときは、「とにかく楽しそう」と素直にうれしかったそう。
ようやく、自分の得意なことを生かせる仕事に出会えた。
ところが、事業が立ち上がって間もない頃、新型コロナウイルスの感染が広がった。
お客様が来店できなくなり、社内でも真っ先に不採算部署と見られるように。せっかく始まった事業が、閉業の危機を迎えた。
「せっかく立ち上げた事業を、このまま終わらせたくないという思いが強かったです。どうすれば1万円でも多く売上をつくれるか、今の状況でも自分にできることは何かを考え続けました。」
来店が難しいなら、別の方法でお客様とつながっていられないか。オンラインで提供する方法を考えるなど、そのときにできることを一つずつ形にしていった。
一度に大きな成果を出そうとしたわけではない。まずは1万円でも多く売上をつくる。小さな可能性も諦めずに、できることを積み重ねていった。
一人で抱え込まず、スタッフにも厳しい状況を伝えた。「この事業を残したい」という思いも、一緒に。
仲間と考え、試してみる。うまくいかなければ、また一緒に考える。そんな日々を重ねていった。
そうして店舗事業は閉業の危機を乗り越え、コロナが収束した後には大きく成長した。
ただ、その頃のことを振り返る羽田の話は、自分一人の頑張りでは終わらない。
「ユニバースグループという大きな船に守られ、苦しい時期に一緒に試行錯誤してくれた仲間や、信じて利用し続けてくださった会員様の支えがあったからこそ、今があると思っています。」
自分の成果の話にも、一緒に働いた仲間や、支えてくれた人たちのことが出てくる。
統括に選ばれた理由は「人」
2026年6月、羽田は事業部統括を任された。
ずっと営業の仕事をしてきた、本人いわく「現場人間」。これまで以上に多くの事業を見ることには、不安もあった。
それでも、「自分がやれること、やるべきことをやっていこう」。そう決めたという。
代表が統括を任せようと思った理由も、売上や実績だけではなかった。
「代表からは『人』だと言われました。私の周りで働いている人が、輝いているように見えたと言っていただきました。」
代表が見ていたのは、羽田自身だけでなく、その周りで働く人たちの姿でもあった。
部下からは、「羽田さんのために頑張る」「羽田さんから上層部に伝えてほしい」「何かあったら、いつでも言ってください」。そんな声をかけてもらってきたそう。
部下に支えてもらったから、今の自分がある。羽田にはそんな思いがある。今度は自分が、その恩を返していきたい。
今できるかではなく、これから何ができるようになるか
「楽しく働いてほしい」。羽田がメンバーに、ずっと伝えてきた言葉。
「もちろん、楽しいことばかりではありません。でも、一度しかない人生で、生活の一部である仕事が苦しかったら、心の風邪をひきます。みんなには笑っていてほしいです。」
苦手なことがあれば、得意な人が補う。それぞれが自分に合った場所で働けるようにしたい、と羽田は考えている。
「私は、部下から出てきたアイデアを、できる限り実現させたいと思っています。もちろん全部が成功するわけではありません。失敗したっていい。『やってみたい』と思った人が挑戦できて、その経験からまた次のアイデアが生まれる。」
一人ひとりの良いところを見つけて、伸ばしていける。そんな組織でありたいという。
「自分で考える人」が増えていくことが、一番うれしい
メンバーが自分で考えて、行動するようになったとき。マネジメントをしていて一番うれしいのは、そんな瞬間なのだそう。
以前は目の前の業務をこなすことで精一杯だった人が、「お客様の反応を見ると、このやり方に変えたほうがいいと思います」「こんな企画をやってみたいです」と、自分から声を上げてくれるようになる。
周りの人にも声をかけ、一緒にやってみて、結果を振り返る。やがて、後輩の成長を支える側にもなっていく。
かつて羽田が教えていたメンバーが、今度は後輩に「なぜこの仕事をするのか」を伝え、その人の成長を支えている。
「そんな光景を見るたびに、組織が育つというのはこういうことなのだと思います。」
もし、2017年の自分に声をかけられるとしたら。羽田が伝えたいのは、こんな言葉。
「一人で頑張りすぎなくても大丈夫。これからたくさんの仲間に出会って、たくさん支えてもらえるよ」
そんな羽田は、ユニバースに向いている人を、ひとつのタイプには絞っていない。
人と話すことが得意な人。数字に強い人。企画を考える人。周りを支えることが得意な人。いろいろな事業や仕事があるから、それぞれの個性を生かせる場所がある。羽田はそう考えている。
最初から、特別なスキルがなくても大丈夫。
「挑戦したいと思う気持ちがあれば、何でもできます。楽しめます。冗談抜きで、働きやすい会社だと思います。」
今の自分に、できないことが多くてもいい。
自分の名前を打つのに1分かかっていた羽田も、9年後の今は、複数の事業をまとめている。苦手なことに悩みながらも、得意なことを生かし、仲間に支えられて、できることを少しずつ増やしてきた。
今できることだけで、自分の可能性を決めなくていい。羽田の歩みは、これから一歩を踏み出す人の背中も、そっと押してくれる。
あとがき/吉田
今回、あらためて羽田にこれまでのことを聞いて、自分とは違うなぁと思うところがいくつかありました。
私はどちらかというと、いろいろなことに手を出す何でも屋です。自分の得意なことを生かして、仕事の幅を広げてきた羽田を見ていると、何でもできなくても、一つ得意なことがあるっていいなと思います。
あと、やっぱり継続は力なり。言葉にするとありきたりですが、苦手で毎日辞めたかった仕事を続けるのは、簡単なことではないと思います。
私はあまり継続が得意ではないので、そこは素直に、すごいなと思いました。
採用に関わる吉田としても、今できることだけで、その人の可能性まで決めてしまわないようにしたいですね。苦手なことの隣に、得意なことや、これから伸びるところもあるはずなので。