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Robust──世界基準を知る男がZealsに抱いた期待感、そしてグローバルでの勝算

「マサとは、およそ3年前、香港で開催された『Forbes 30 Under 30 Asia 2018(アジアを変える30歳未満の30人)』のレセプションパーティーで出会いました。

その時の彼の印象ですか?情熱的でストレート、かつフラットな人だな、と。交わした会話の内容すべてが、とにかくエキサイティングでしたね」

マサ、とはジールス代表取締役CEO・清水正大のことである。

この発言の主は、Vish Nambiar(ヴィッシュ・ナンビアー/以下、Vish)。2018年当時、インドでポッドキャストアプリを手掛けるHubhopperのプロダクト責任者であった。新たなITビジネスシーンを切り拓く者同士、すぐに意気投合した二人。その後もメールやチャットで交流は続き、親交を深めていく。

出会いから1年半がたったころ。

Vishは日本へ移住し、ジールスのグローバルプロダクト責任者に就任した。現在は、約40人の多国籍メンバーを束ねながら、すべてのサービスのUI/UXデザインを統括している。

名門・英ロンドン大学を卒業後、母国へ戻り、スタートアップ2社の創業期を支えてきたVish。再びインドを離れ、活躍の場を日本に移した理由は何だったのか。また、ジールスに感じた魅力とは──

今回は、彼のこれまでの足取りと、仕事の流儀に迫りたい。

ファーストキャリアは、“共同経営者”

インド・バンガロール生まれのVishが、父親の仕事の関係でイギリスに渡ったのは7歳の時。以後15年間をロンドンで過ごした。大学では、古典を読み解きながら言語、哲学、歴史について研究する西洋古典学(classics)を専攻。学士号を取得した後、インドに帰国した。

自走できる環境に飛び込み、いち早くスキルを身につけたい──貪欲な若者が選んだファーストキャリアは「共同経営者」だった。

“経験はないが、アイデアに溢れている”同世代の友人たちと共に、ファッション系Eコマースの運営会社を立ち上げ、マーケティングからセールスまで、ありとあらゆる仕事をこなした。やがてこのサービスは、インド国内のみならず、ヨーロッパでもその名が知られるようになる。

彼の躍進はさらに続く。2016年、ポッドキャストアプリを手掛けるHubhopperに創業メンバーとしてジョインし、プロダクト責任者としてiOS/Android・Webアプリケーションの開発とUX/UIデザインを統括することになったのだ。

「デザインやエンジニアリングについては、自分のアイデアをWebサイトやアプリケーションにしっかり落とし込みたいという一心で。独学で習得しましたね。

僕にはアーティストの兄がいるんですが、彼とは昔からアートやデザインの話をよくしていましたし、テクノロジーについては仲の良い友人から最新情報を常にアップロードしていたので、『芸術と技術をどうつなげていくか』ということには以前から関心があったんです」

Hubhopperはポッドキャストを聞くリスナーと、番組を始めたいパーソナリティ向けのサービスを設けている。前者が誰もが使いやすい『操作性』を重視するのに対し、後者はその人が実現したいことをベースに、多少複雑になっても『目的を達成できる仕様』をつくる。

こうして活用目的によって変わるUI/UXを意識しながら、最適なデザイン化を目指したVish。社内で議論を戦わせることもしばしばあったという。

「グラフィックデザイナーとは、『これでもか』というぐらいにぶつかり合いましたね(笑)。デザインそのものの考えも違えば、ニーズのくみ取り方も違う。お互い、納得のいくまで話をしたからこそ、良質なプロダクトが仕上がったんだと自負しています」

こだわりと信念をぶつけ合い、サービスをブラッシュアップし続けた結果、Hubhopperはスタートからわずか2年でインド最大級のポッドキャストサービスとして不動の地位を築き上げた。その将来性が評価され『Forbes 30 Under 30 Asia 2018』に企業としてノミネートされたのは前述のとおりだ。

コミュニケーションテックの企業として、コミュニケーションを何よりも大事に

知らない国に住み、働いて、自分自身をもっと進化させたい──

長きにわたり異国イギリスで暮らしてきた彼には、常にこうした欲がある。清水と初めて会った頃もそうだった。どこの会社というわけではなく「日本で働く」ことに対して興味があったのだ。

しかし、彼の関心は国から次第に、“ジールスというスタートアップ企業”へと移っていく。

「マサとやりとりをしている中で、ジールスが事業とするコミュニケーションテックの社会的意義や『おもてなし革命で、日本をぶち上げる』というビジョンを聞いて、俄然興味が湧いてきたんです。

その後、他のメンバーからも直接話を聞かせてもらって、このチームならビジョンを実現できるかもしれない、そのうちに世界をぶち上げるというビジョンになるに違いないと確信して。ならば僕も一緒に成し遂げたいと、2019年10月にジョインすることにしたんです」

面談したのは、弱冠20歳でCTOに就任した佐藤彗斗や、外国籍第1号社員であるアメリカ人エンジニア、Aaron。会話してすぐに彼らの技術レベルの高さを認識したとVishは話す。

「特にAaronは、技術力だけでなく、仕事の考え方、卓越したコミュニケーション能力などすべてリスペクトできて。『今すぐこの人と仕事がしたい』と思いましたね。実際に今では、最高のパートナーになっています」

フロントエンドのチームリーダーを務めるAaronと密に連携しながら、グローバルプロダクト責任者としてすべてのプロダクトのプランニングやデザインを統括するVish。2021年3月現在、エンジニアチームには約40名が在籍、うち約6割が外国人社員となり、国籍は18カ国に及ぶ。日頃どのようにして、チームの交流を深めているのだろうか。

「オンラインランチやSlackのチャンネルなどマメに場を設けて、雑談や議論、相談をし合っていますね。ヨーロッパや南米に在住するメンバーも在籍しており、時差を鑑みての調整はなかなか大変ですが、コミュニケーション量を増やすことがチームにとっては一番大切なので。

最近は、『ドラッカー風エクササイズ』というチームビルディングの手法を導入して、お互いの理解促進や期待のすりあわせなどを行なっています」

日本の「おもてなし」が広がれば、世界中にポジティブな風が吹く

ジールスが今、最も力を注いでいるのが、2020年10月にリリースした『接客DX』である。この特徴は単一のツールではなく、オンライン接客プロセスをAIと人の統合ソリューションで一括して提供する“仕組み”であること。

ユーザーは「チャットボット」「有人チャット」「ビデオ接客」から興味関心に応じてコミュニケーション方法を選び、好きな場所からアクセスすることができる。“接客・おもてなしのデジタル化”が、そのコンセプトだ。VishはプラットフォームのUI/UXデザインに関わっている。

インド出身の彼は、“おもてなし”をどう捉えてサービスデザインへ昇華させているのか。

「日本ではチップなどの見返りを期待して、ではなく、各自が“誇り”をもって接客業にあたっている印象があります。僕が日本に初めて来て、一番カルチャーショックを受けたのは、どこかのお店の店員さんが200メートル先にいるお客さんのところまで全力疾走し、忘れ物を渡していたシーンを見た時。インドでもイギリスでも見たことのない光景だったので、本当に驚きました。

『接客DX』を通して、きめ細やかな日本のおもてなしを各国に届けることができたら、世界中の人々に利益をもたらすことができる──そんな使命感を持って、デザインに臨んでいます」

最後に「ジールスを一言で表すと?」と質問をすると、彼はこう即答した。

「Robust!ジールスは、困難に打ち勝つ強さがあり、同時に新しい挑戦への適応力をも持ち合わせている力強くてたくましい会社。Robustとは壮健という意味です。僕はデザインを通じて、ジールスをグローバル企業にしたいと本気で思っていますし、近い将来それが実現できると信じています」

2021年3月19日 Forbes CAREER に掲載
制作:Forbes CAREER 編集部
文・福嶋聡美 写真・小田駿一

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