緒方 香

◯現代社会では、知識や技能を社会生活で活かす［生きる力］が新しい学力観として捉えられている。この［生きる力］を具体化した3つの視点として、「目標設定と課題明確化」「学習•体験とそこから得た学びや力への意味づけ」「知の総合化」を提案した。 ◯この3つの視点を踏まえ、「自らの目標や理想像を設定し、それに向けて学習や体験から得られる学びや力に意味づけをし、その意義と価値を実感する自己評価を繰り返すことで自律的に学び、自己成長を目指す営み」を「セルフマネジメント」として定義づけ、自らの経験や学びをマネジメントする活動として提案した。 このセルフマネジメントの意義の追究と支援ツールの開発を主な目的とした。 ◯セルフマネジメントは、学びや体験の意味づけおよび自身との関連づけにより、自分自身への理解や自覚を深めていく自己評価活動を柱としている。この点において、自律的な学習サイクルとして重要な示唆を与えるKolbの「経験学習サイクルモデル」を基に考察を行った。 ◯自己実現においては、自身を内省し自覚しようとすることが重要であり、ここではメタ認知に支えられた自己評価が大きな意味を持つ。このことから、セルフマネジメントは自己評価活動を柱にしており、メタ認知育成は自己実現において大きな意味を持つと位置づけた。 ◯セルフマネジメントを支援する手だてについて、学びを振り返り、新たな気づきを促す自己評価法である「知の総合化ノート」を援用し、その意義を考察した。また、就職活動において援用しセルフマネジメントの実践を行った。 ◯実践では、「目標設定を通した行動指標の意識化」「概念化の振り返りを通した学びの自覚と自己成長の確認」「自身への理解と自覚」等の有効性を感じることができた。 ◯今後、知の総合化ノートの発展的活用方法や教師の支援などについても考察する必要がある。また、発達段階の考慮や第三者実践による信頼性•妥当性の検証も求められる。