夢を叶えたら夢じゃなくなった?!
「夢は漫画家か声優です」
幼い頃から絵を描いたり声を出したりすることが大好きな私の夢はこの2つでした。
しかし大きくなるにつれ現実を見るようになり、社会人になった私はただの営業マンになっていました。
特に好きでもないのに営業マンになった私はすぐに職場を辞め、その後も適当にネットワークエンジニアの職に就きました。
ここでの仕事もすぐに興味を失い退職。
ー自分は社会不適合者だー
とても辛く惨めで、周りの人たちと同じようにしっかりと働けないことを酷く恥じました。
ただ、その強い劣等感が案外良い方向に働き、努力の結果私はなんとデザイナーとナレーターの職に就くことができました。
「漫画家」と「声優」とは少し違いますが、絵を描くことや声を出すことを職業にできたことは非常に嬉しかったです。
基本的には会社でデザインのお仕事を担当し、たまに私が所属しているテレビ朝日からオーディションや仕事の連絡が入ったら対応をする・・・
夢を叶えられる人間が限られているこの世の中で、私のこのライフスタイルは比較的幸せな部類に入るのではないかと思います。実際毎日が幸せでした。夢を叶えることができたのですから。
しかし、夢を叶えたことで私は思わぬ舞台の裏側を見ることになりました。
例えばデザイン。
私が描きたいものとは全く違うものをクライアントから求められ、少しでも差異があれば問答無用で修正を依頼されます。
クライアントサイドから見れば簡単そうに見える修正依頼も、デザイナーサイドから見ると複雑で難易度の高いものが多いです。
ナレーションも小さい仕事だと単価が低く、この仕事だけで食べて行くことは至難の業です。
こちらとしては10年もかけて磨いた技術が少ない金額で使われることが悲しくて仕方がありません。
何より私には妻がいました。
「20代のうちに子供が欲しい」と言う妻の夢を叶えるためには、私のこれらの安い仕事はとにかく向いていませんでした。
夢を諦めるか、高額な給与をもらえる仕事に就くか。
私が出した結論は、『どちらもなんとかする』でした。
そしてどちらもなんとかするために選んだ道が『プログラマー』なのです。
プログラミングで収入を得て、いつかは自分の夢を加速させるためのサービスを開発できるようになろうと決めました。
幸いデザインもナレーションも固定のお客様ができたため、それらの案件をこなして実力を付けつつ、今入社しているSES企業で経験を積み独立することが、今の私の新しい夢です。