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第19話 保守担当者はギャンブルを辞めた

彼は制作運営部のリーダーであり、主にWebアプリケーションの脆弱性調査を担当している。
こんばんは、いつでもどこでも晩酌相手、ちほうタイガーです。

「…ぁあ、注いでくれてありがとう…。」

…せっかくこの愛されキャラが来たというのに、そんな死んだ魚のような目をしてどうしたんです?
…もしかして仕事で大きなミスでもしたとか?

「…いや、投資していた株価が下がりまくって…」

…株の話かよっ!
…確かあなた、この会社に入るときギャンブルはもう辞めたとか言ってませんでした?

「違う、違う!これは長期の投資だから。一喜一憂する必要はないんで、今までのギャンブルとは違うんですよ!」

ほぅほぅ…それなら持ち続ければいいわけだから悩む必要ないのでは?

「…3か月前に売っていれば…と」

…それ、一喜一憂してるってことじゃね!?
まぁどうしようもない話をしていても仕方がないので、ど田舎から始まるWeb制作会社戦記ネタ人枠の取材をはじめましょう。

「今、すごく自然な感じで『ネタ人枠』って言いましたよね…?」

え?もちろんです。どこからどう見ても『ネタ人枠』ですけど。
…さて、たしか佐渡出身だったと思うのですが、どういう経緯でこんな会社に転職するはめになってしまたんです?

「……この会社に転職することになった理由は…タイミングとコネですね。実家の父が亡くなったとき、家が空き家になってしまうことになったので戻ってくるのを決めたんですけど、その時に仕事を探していたら、親戚経由でこの会社が結構大きな会社の仕事をしているらしいと紹介されて入社した感じです」

…なるほど。もともとサーバーの保守とかしてませんでした?

「はい。こっちに来る前は東京でサーバー保守を専門とする企業に所属していて、現場で保守をしてました。高校を出てから色々あったけど、基本的にはサーバー保守が一番長かったですね」

…いろいろって、なんかギャンブルで人生浮き沈みしてたとか聞いたことがある気がするけど、その辺りのこと濁そうとしてます?

「…いや、言っちゃてるからね!?ほとんど濁りなく言っちゃってる…。まぁ、隠す必要もないし良いですけど…」

…まぁネタ人枠なんで、どうぞ専門学校時代から語ってください。

「…はい。専門学校時代は、学校にも行かずパチンコに熱中していました。生活できるくらいに稼げちゃって、このままパチプロの人生でもいいかなって思っていたんです。ただ、パチンコの設定が変わって稼げなくなったときに、専門学校の就職課に相談したんですけど…」

…ほぅほぅ、『パチンコの設定を変える仕事をしたい』とか?

「違うわ!『スーツを着て働きたい』って相談したの! そしたら、東京のサーバー保守の会社を紹介されて、流れのままに就職。そこから、6年ほどその会社で働くんだけど、仕事中にふと思ったんです」

…はい、徐々にネタ人枠の匂いが漂ってきましたね。
どうぞ最高のネタをかましちゃってください。

「やめてっ! ハードル上げないでっ!
よくある話ですよ…『俺このままでいいのかな』って思ったわけです」

…一見カッコよく言ってるっぽいけど、安定したまともな仕事をしているのに『俺このままでいいのかな』って、大体は起業して失敗系のフラグだよね。まぁ一応聞いてみましょう。それで、どうしたんです?

「……そんな時に同僚からネットワークビジネスの勧誘を受けて、見事にはハマっちゃったんですよね」

はい、ネタ投下キター!
それもまさかのネットワークビジネス地獄!!

「…退職して平日は漫画喫茶でバイトをしながら、土日にセミナーに参加して、必死に会員を集めて…なのに毎月14万円位自腹を切る生活…借金はどんどん増えて行くし、確かにあれは人生の地獄でしたね」

…ちなみにそんな養分になる生活をどれくらい続けたんです?

「…そうですね、2年ほどで気持ちも生活もボロボロになっちゃって、まっとうな正社員に戻ろうと決めたんです。サーバー保守の実務経験を活かして、業界でも大手の企業に転職しました」

それがこの会社に入る直前の会社になるわけですね。
…ちなみに借金は真面目に返しきった感じです?

「借金はFXとかのセミナーを受けまくって…いっぱい騙されたけど、1回だけ成功してそれで返済してギャンブルから足を洗いました」

…借金返済のためにFXって…それ大体更なる地獄を見るパターンだから…運がよかったですな…

「いやほんと。なので今はギャンブルから足を洗ってまっとうに生きてますよ」

…それで、佐渡へUターンして、この会社へ入社してしまったわけですが、東京の大手企業から転職して感じたこととかを教えてもらえますでしょうか。

「感じたこと…というか、恥ずかしかったのは初日にスーツとリクルート鞄で出社したら、引くほど浮いたことですね」

…『スーツを着て働きたい』を佐渡でも実践したわけですな。まぁこの会社のスタッフ引きこもりとか多いから、それは浮くよね。

「スーツが着たかったのは専門学校時代だけですって。初日はやっぱりスーツが常識かなって思ったんです」

…ふむふむ、ところで上司は第14話のボンビーガールになるわけですが、年下の上司でやりづらいこととかはありますか? この企画無礼講なんでこの際なんでもどうぞ。

「いや全くないですっ! まぁ…ちょいちょい『ボール持ちすぎ、抱え込みすぎ』とシバかれますが、彼女は仕事ももちろんできるし、周りへの気配りもしてくれて本当に尊敬しています。もはや崇拝していると伝えておいてください」

……直接言えや。
…まぁ『もっと崇め奉ってくれていいよ』とか言われるだけだとオモウケド…

「…今後飲みの席で言うことにします」

…そろそろ酔いも回ってきたようなので、インタビューも〆に向かわせましょう。定番ですがこの会社の良い点と悪い点を教えてください。

「良い点は、なんといっても人間関係が良好な点と、佐渡という自然の豊かな環境で仕事ができることですね。崇拝するボンビーガール上司をはじめ、会社のみんなが本当に良い人たちです。みんな少し変わっているのも魅力ですね。そうそう、元サーバー会社勤務から言うと24時間対応や365日対応がないこともありがたいです。それに先日制作運営部が河原田オフィスに引っ越しをしたんですが、徒歩数分で海と夕日が見れるスポットへ行けます。暖かくなってきたのでお昼休みなどに散歩へ行けるのもうれしいです」

…あー確かにあのあたりの海辺は最高だよね。大昔だけど第1話の彼が突然「今日はもう仕事をしたくなぃぃ!」とか宣言して、モスバーガー買って皆でその海岸に座ってボーっとしたりしてた癒しスポットだわ…それで悪い点は?

「…うーん、悪い点というより改善点ですけど、仕事できる人はもっと給与上げてほしいです。僕に、というわけではなく『頑張っている人』に。結構みんな自由に仕事休んだりするので、そこは良いところでもあるけど、でも当日に突然数人が休んじゃったりすると出勤している人たちにしわ寄せが行ってしまうんですよね。そうすると悪循環だなって…」

…あー確かにこの会社のスタッフ、休む人は本当によく休むよね…有給使いきって欠勤になっても休むとか一般的な会社ではNGかも?…なお、その辺りは2022年4月から月々給与にプラスされる実績手当とボーナスを頑張っている人に傾斜配分すると第1話の彼が言ってたでござる。

「あぁ去年の会社の方針説明会でもそんなこと言ってたかもしれないですね」

…最後に、Uターンの後輩に向けて休日の過ごし方とかのエピソードをひとつ。ギャンブル以外でお願いします。

「ギャンブルは一切していませんって…あとは農業を頑張っています。3月から11月の収穫時期までは毎週末畑と田んぼへ行ってますよ。出勤前にも水の状態とか見に行ったりしていますね。あとは最近ロードバイクを始めました」

……ギャンブルから足を洗いたいWebエンジニアの方、是非佐渡島へ!


一定の成功を得た後に退くことは多くの人にとって難しいだろう。しかし彼は退いた。
Yes, life is wonderful, if you’re not afraid of it.All it needs is courage, imagination, and some money(Sir Charles Spencer Chaplin).

https://tane-creative.co.jp/inakadeweb/charcter/yuya_d/

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