仕事をしていると、
「私は、そちらを優先しない方がいいと思う。」
「このまま進めると、あとで問題になるかもしれない。」
「今やるべきことは、別にあるのではないか。」
そう感じることがあります。
特に、業務全体を見ながら仕事をしていると、
どこで仕事が止まっているのか。
何が後回しになっているのか。
この判断によって、どこに影響が出るのか。
そういったことが見えてくることがあります。
だから、
「私ならAを選ぶ。」
と思っていても、会社としてはBを選ぶことがあります。
以前の私は、そういう場面でかなり気になっていました。
「本当にそれでいいのかな。」
「こっちを先にやった方がいいのに。」
「このリスクは大丈夫なのかな。」
でも最近は、一つのことを意識しています。
自分の意見を持つことと、最終判断をすることは別です。
見えているリスクは、伝える
自分が最終決裁者ではないからといって、
「社長が決めることなので、私は知りません。」
でいいわけではありません。
現場にいるから見えることがあります。
実務を担当しているから分かることがあります。
このまま進めた場合に起こりそうな問題。
ほかの業務への影響。
現場の負担。
お客様への影響。
スケジュール上のリスク。
それが見えているなら、私は伝えるべきだと思っています。
例えば、
「私はAを優先した方がよいと考えています。」
「理由は、Bを先にすると〇〇の対応が遅れる可能性があるからです。」
「Bを優先する場合は、このリスクがあります。」
ここまで整理して伝える。
判断に必要な情報を出すところまでは、担当者の仕事です。
でも、最後に決めるのは誰なのか
必要な情報を伝えた。
リスクも伝えた。
選択肢も出した。
自分の意見も伝えた。
それでも社長が、
「今回はBでいきます。」
と判断することがあります。
そこで大切なのは、
誰が最終判断をする役割なのか
だと思います。
担当者には担当者の見えている景色があります。
管理者には管理者の景色があります。
そして経営者には、経営者にしか見えていないものがあります。
資金。
取引先との関係。
今後の事業展開。
ほかの案件。
会社として取れるリスク。
現場から見れば、
「なぜ、そちらを優先するのだろう。」
と思う判断にも、別の事情があるかもしれません。
もちろん、経営者の判断が必ず正しいとは限りません。
それでも、
会社として最終的に何を選ぶのかを決めるのは、その判断に対する責任を負う人です。
判断する権限と、責任はセットです
もし私が、
「絶対Aの方がいい。」
と考えて、社長の判断を無視してAで進めたとします。
そして問題が起きた。
そのとき、
「私はAがいいと思ったので。」
では済みません。
なぜなら、私は自分に与えられていない判断までしているからです。
判断には、結果がついてきます。
うまくいくこともあれば、失敗することもあります。
だからこそ、
判断する権限と、その結果に責任を持つことはセットです。
責任を負う立場にない人が、最終判断だけを奪ってはいけない。
私は、そう考えるようになりました。
「言われた通りにやりました」でもありません
ただし、
「社長が決めたんだから、私は知りません。」
という話でもありません。
自分がリスクに気づいていたのに、何も伝えなかった。
必要な情報を持っていたのに、出さなかった。
問題が起きる可能性を分かっていたのに、
「どうせ社長が決めることだから。」
と黙っていた。
それも、自分の役割を果たしているとは言えません。
担当者には、
担当者として必要な情報を出す責任があります。
そして決裁者には、
その情報を受け取ったうえで、最終判断をする責任があります。
役割が違うのです。
自分の意見は、ちゃんと持つ
私は、
「上が決めることだから、何も考えなくていい。」
とは思いません。
むしろ、自分ならどうするのかは考えます。
AとBならどちらを選ぶのか。
何を優先するのか。
どんなリスクがあるのか。
その理由は何なのか。
自分なりの答えを持ったうえで、判断者へ渡す。
そして、自分の考えと違う判断が出たら、
「なぜ、そちらを選んだのだろう。」
と考える。
そこから、経営者の判断基準が見えてくることもあります。
自分の判断力を育てるためにも、
自分の意見を持ってから、判断を仰ぐ。
これは大切だと思っています。
納得できないなら、もう一度伝えてもいい
もちろん、
「これは本当に危ない。」
と思うことまで、一度伝えただけで黙る必要はありません。
重要な情報が伝わっていない。
リスクが正しく認識されていない。
判断の前提に誤りがある。
そう思うのであれば、
「念のため、ここだけはもう一度確認させてください。」
と伝えることも必要です。
ただし、
伝えることと、自分の判断を押し通すことは違います。
情報を追加する。
懸念を伝える。
判断材料を揃える。
そこまではできる。
そのうえで、
「リスクは理解しています。それでもBで進めます。」
と最終判断が出たのであれば、そこで線を引く。
私は最近、この境界をかなり意識するようになりました。
会社の優先順位を決めるのは、経営者です
現場から見える優先順位と、経営者が考える優先順位が違うことはあります。
私自身、
「今は、そちらではないと思う。」
と感じることもあります。
そんなときは、
なぜそう思うのか。
何を優先した方がいいと考えているのか。
この判断によって何が起こりそうなのか。
そこまでは伝えます。
でも、
会社として何を優先するのかを最終的に決め、その結果に責任を負うのは経営者です。
私は経営者の判断材料をつくることはできます。
自分の意見を伝えることもできます。
リスクを提示することもできます。
でも、経営者の代わりに経営責任まで負うことはできません。
自分でコントロールできるところまで、仕事をする
仕事をしていると、
自分の考えと違う判断が出ることがあります。
そのたびに、
「どうして分かってくれないのだろう。」
と抱え込んでいたら、自分自身も消耗します。
だから私は、
自分でコントロールできるところと、できないところを分ける
ようにしています。
必要な情報を集める。
整理する。
リスクを伝える。
選択肢を出す。
自分の意見を持つ。
相手が判断しやすい状態をつくる。
ここまでは、自分にできることです。
その情報を受け取って、
何を選ぶのか。
何を優先するのか。
どのリスクを取るのか。
それは、判断する権限と責任を持つ人の仕事です。
だから私は、
自分の意見は持つ。
必要なことは、きちんと伝える。
でも、
自分にない決裁権まで持とうとはしない。
判断する権限と、その結果に責任を持つことはセットです。
それぞれが自分の役割を果たし、最後は責任を持つ人へ判断を返す。
それも、組織で仕事をするうえで大切な役割分担だと考えています。