ほとんどのケースでAIのだしたやつよりタイトルなども変えている
9月21日、代表からこう言われました。
Amazonの商品タイトルをAIに作らせ、人が確認してから送るシステムを作っている最中の言葉です。AIの原稿が、ほとんど書き換えられている。普通に考えれば、期待に届いていないという知らせです。
でも私は、これを失敗だとは受け取りませんでした。むしろ、このシステムをこの形にした理由そのものだと思いました。
何を作ったのか
合同会社TOBIRAが運用しているAmazonの商品には、雑貨やアパレルがあります。既存商品のタイトル、ハイライト、検索キーワードを見直すとき、これまでは資料を見ながら、担当者が一件ずつ手で更新していました。商品の数や色・サイズの種類が増えるほど、別の商品や、変えるつもりのない項目を誤って書き換えるおそれも増えます。
私が作ったのは、この作業を次の流れにするシステムです。
- AI(Codex)が、指定した商品の、指定した項目だけの原稿案を作る
- 承認画面で、変更前・変更後・変更しない項目を並べて見る
- 人が文章を直す、差し戻す、保留にする
- 承認した項目だけをAmazonへ送る
- 送ったあと、出品者側のデータと一致しているかを確かめる
7月末に商品登録用のAIを作ってから、出力を何度も直し続けてきました。その先にたどり着いたのが、この形です。
「送るのは人」にした理由
理由は一つです。Amazonの商品について、私自身があまり知識を持っていないからです。
作っている私が知らないのですから、AIの出した原稿が良いのか悪いのか、私には判断しきれません。一方、実際にAmazonで商品を売っている代表は、言葉の順番を入れ替えるといった微調整を、AIより的確にできます。だから、必ず人の目で確認してから送る形にしました。
判断できるのは、詳しい人です。ならば、AIの精度を上げる前に、判断できる人の手に渡す。作る側が判断できない領域では、それがいちばん安全だと考えました。
冒頭の一言は、その判断が間違っていなかったと教えてくれました。ほとんど書き換えるのだから、最初から書き換えられる画面でなければ、使ってもらえなかったはずです。
押せないボタン
最初の実送信テストで、代表から連絡が来ました。
送信ボタン押せないです
送信するには、対象の商品番号を入力し、確認のチェックを入れる必要があります。この仕組みは、最新のAIに任せて入れた機能で、意図しない商品を送ってしまわないための安全設計になっていました。押せないと言われても、安全側に倒れているのだから、そのままにしました。
親商品と子商品(色やサイズの違い)がある商品では、子を先に送ってしまい、親を別に送り直す場面もありました。基本は一つずつ確認する形にして、そのうえで、保存した複数の商品をまとめて確認・送信する機能を、あとから足しました。
大事なAmazonの商品です。最初はゆっくり、慣れたら速く。この順番は崩しませんでした。
全部反映したい週末
9月19日、代表が言いました。
この土日で全部反映させたいと思ってます!
ここから、止まる場面が続きました。
- 親商品の設定に未選択の項目があり、Amazonの送信前検査で止められた
- 古い原稿の末尾にあった一文を、Amazonが受け付けなかった
- 原稿を登録したあとに、売り場側で値が変わり、システムが安全のために送信を止めた
- 子商品が8つあるのに、元データには4つしかなく、半分しか反映されなかった
どれも、間違ったものが送られなかったという意味では、仕組みが働いた結果です。けれど代表にとっては、押せないボタンが増えたということでもありました。
親商品のエラーだけは、AIが原因を見つけられませんでした。私が自分で見つけました。
ちょうどその直前、代表から「全部AIに任せるのではなく、自分でも見るように」と言われたばかりでした。AIが分からなかった原因を自分の目で見つけたとき、一段進んだ気がしました。
正直に言えば、細かい原因の切り分けの多くは、いまもAIに任せています。内部の値が変わってから売り場の表示に反映されるまで時間差があることも、私が「反映って結構時間かかるんですか?」と聞いて、代表が教えてくれました。
私はAmazonの商品に詳しくない。だから、詳しい人が確認する。この構図は、システムだけでなく、私自身にも当てはまっていました。
「送った」と「反映された」は別のこと
このシステムでは、状態を分けて表示しています。Amazonが送信を受け付けたこと、出品者側のデータと一致したこと、購入者向けの商品ページに表示されたこと。この三つは、別の段階だからです。
最後の、購入者向けページの表示は、人が別に確かめています。システムが「一致しました」と言っても、お客さんに見える場所が変わったとは限らないからです。
執筆時点で、155件が承認待ちで、124件が出品者側のデータとの一致確認まで完了しています。手作業だったら、体感では2倍から4倍の時間がかかっていたと思います。
大きな数字ではありません。それでも、AIが作った叩き台は、ちゃんと役に立っています。
書き換えられるたびに、近づいていく
代表はAIより自分で直すことのほうが多い。それは、代表の頭の中に、AIが持っていない知識があるということです。
次にやりたいのは、その知識を、代表と話しながらAIに読み込ませていくことです。人が直した結果を手がかりにして、AIの原稿が少しずつ代表の書き方に近づいていく。そうできれば、「ほとんど書き換えられる」は、いつか「あまり書き換えられない」に変わっていくかもしれません。
最新のAIに、どこまで任せられるのか。それは、私にもまだ分かりません。ただ、最後の確認だけは、判断できる人が持つ。それが、この仕組みを作って学んだことです。