自分の言葉に嘘をつけない私が、「自分の軸」を掴み取るまで。
今日の始まりは、ひどくどんよりとしたモヤモヤの中にいた。
5時間睡眠の重い頭で、自分のこれからについて考えようとパソコンを開く。
画面に並ぶのは、世間でよく言われる「キャリアのロードマップ」や「まずは業界と職種を絞りましょう」という、どこか冷たい、型にはまった言葉たち。
「教育領域がいいのかな」
「それとも、もっとビジネスに近い組織開発なのかな」
既存の「箱」に自分を無理やり押し込もうとすればするほど、胸が苦しくなっていくのを感じていた。
私は昔から、自分の言葉に1ミリでも嘘や誇張が入ると、途端にブレーキがかかってしまう面倒な生き物だ。
世間の就活本が教えてくれる「自分を上手に見せるテクニック」や「それっぽい名詞」を使おうとすると、心が拒否反応を起こしてしまう。
だからこそ、一回そういう「お作法」を全部ゴミ箱に放り投げて、自分がこれまでの現場で流してきた汗と、泥臭い事実だけをただ並べてみることにした。
島根の吉賀高校の魅力化コーディネーターとして、平日の日中という制約のなかで地域住民35人を巻き込み、生徒たちの目がキラリと変わる授業を作ったこと。
民間企業にステージを移してからも、マルチタスクのプロジェクトをスケジュール通りに完遂させてきたこと。
教員や地域住民という、立場の異なるステークホルダーの抽象的な想いを丁寧にヒアリングし、大型企画を成功へ導いたこと。
盛る必要なんてない。
私がやってきたのは、いつだって目の前のリアルと泥臭く向き合うことだけだった。
それらの点と点を眺めていたとき、ある瞬間、一本の太い線が身体を貫いた。
「あ、私は『業界』や『職種』に興味があったんじゃない。この【瞬間】に恋をしていたんだ」
私の内側から湧き出てきた、1ミリの嘘もない自分の軸。それは、
「『越境』によって、人や組織が『自分軸』で主体的に動き出す瞬間をつくること」
という言葉だった。
学校、大企業、前例主義、他人の目線。
そういう「今いる安全な枠(殻)」から人を外へ連れ出し(=越境)、正解のない新しい世界にぶつける。
その摩擦によって、人が「誰かの決めた正解」ではなく「自分はどうしたいか(=自分軸)」に目覚め、当事者意識を持って主体的に走り出す。
吉賀高校で仕掛けたことも、ミエタで届けてきた学びも、私は一貫して「安全な部屋から人を連れ出して、心に火をつける」というストーリーの裏方(プロジェクトマネージャー)をやってきたのだ。
この軸が見つかった瞬間、視界がパッカーンと開けた。
これまで自分のアンテナが直感的に「面白い!」と反応していたバラバラな会社たち――クイズ、探究教育、大企業のレンタル移籍、クリエイティブ共創、自律的な大学――
それらすべてが、実は「安全な枠から人を連れ出す、同じ志を持った地続きの仲間たち」だったのだと気づいて、身体が震えた。
「業界」や「職種」という既存の冷たい箱に、自分を切り刻んで合わせる必要なんてなかった。
私は、私の言葉のままで、私の作った生身の実績のままで、これから出会う未来の仲間たちと語り合えばいい。
そう確信できた今、朝のあの重苦しいモヤモヤは嘘のように消え去り、胸の奥がすうっと軽くなっている。
自分の言葉に嘘をつけない不器用な私だけど、だからこそ、誰よりも純度の高い自分の北極星を掴み取ることができた。