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【企画は誰にでもできるが、実際に行動できる人は少数】

学生から就職の相談を受けて、私が答えることはたった一つである。
「新卒採用なんて、ほとんどの学生は会社に入って実現したいことを抽象的にしか話すことができない。だったらどんなに小さいことでも良いから、その会社に入ってからやりたいことを、今ここで企画してすぐに実践するべきだ。具体的な経験があってそれを発展させたいという志望動機を話せる学生は、全く次元の違う戦い方で楽勝に勝ち進められるよ」
私が学生の頃からずっと実践し続けて、社会人になってから確信したことの一つが、行動の有効性である。
今ここで動かないことを最大のリスクだと捉えることができるか否か、これは本当に重要な資質であると思う。
例えどんなに素晴らしい企画を打ち出そうとも、実際に動いてみなければ状況は決して変わらない。また、動かない中で得られる経験値は皆無である。
検討に検討を重ねて、会議をすること自体が目的なんじゃないかと疑いたいくらい話し合い、結果企画倒れになる。
慎重なのは結構だが、一度の行動で得られる経験を捨て、時間(と金)だけが過ぎていく。
おそらく、日本中の古いタイプの会社で起こり続けている人災ではないだろうか。
事業の規模は関係ない。
自分の責任で周りを巻き込み、たった一度で良いから行動してみる。すると本当に世界は一変する。
一度動いてみると、次に動くことが全く苦にならなくなる。むしろ動くほどに新しい人間関係とチャンスが巡ってくる。その好機に応えていくと、今度は次々と仲間がついてくる。今までできなかったことが、できるかもしれないという射程に入る。できないことも、何をクリアすればできるか具体的になる。クリアすべき要素を把握することが可能になる。
この素晴らしい成功体験を、一人でも多くの人たちと共有したい。
どうして動かないのか、動けないのか私には理解できないが、喜びを分かち合えるのは行動者のみである。
【自らの手でドアノブを回した者に贈り物は届けられる】内田樹「最終講義」文春文庫より
「かすかなシグナルに反応して、何かわからないけれども自分を強く惹きつけるものに対して、自分の身体を使って、自分の感覚を信じて、身体を投じた人にだけ、個人的な贈り物が届けられる」
私が最近感動したのは、冒頭でのアドバイスを贈った後輩の勇姿であった。
たった30分話しただけで、彼女は企画を実行した。当然、第一志望に内定も獲得した。
本当に素晴らしいと思う。
好奇心と不安を持って、とりあえずやってみるの精神は、きっと世界中で渇望されているだろう。
私も行動を止めない。
状況を蹴り飛ばしてやる。

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