商売の本質──営業からバイヤーへ、変わらない“人と人”
私の社会人キャリアは、食品メーカーでの営業職からスタートしました。
新人にもかかわらず出社はギリギリ(苦笑)。
それでも、周囲とうまくやれたのは、学生時代に身につけた「先輩に可愛がられる力」だったのかもしれません。
右も左もわからない新人営業マン。
できることといえば、元気な挨拶と誠実な対応だけ。
でも、それだけは毎日欠かしませんでした。
お客様は、魚屋さん、寿司屋さん、惣菜業者、ベンダー、漁協など──
見た目も言葉も“強面”な方々ばかり。
それでも、どんなタイプのお客様にも共通するのは、信頼関係がすべての出発点だということでした。
日々のコミュニケーションを重ねながら、いつも元気に、誠実に仕事に取り組みました。
少しずつ経験を積む中で、大手ベンダーとの取引やプレゼンの機会も増えました。
パソコンが一人一台ではない時代。
資料づくりも試行錯誤の連続でしたが、確実に自分の成長に繋がっていきました。
ただ、その一方で、こんな課題にも直面します。
現場の営業がお客様から受けた声を、本社の仕入れや製造部門(先輩だらけ)に伝えても、
「聞く耳を持ってもらえない」「クレームが改善されない」。
理不尽な状況に、心がすり減っていきました。
本社とお客様の間に挟まれ、ストレスで体調を崩したこともあります。
この矛盾が、どうしても呑み込めませんでした。
大企業という組織の中で、本質からズレていく仕事。
現在の私は、飲食チェーン本部の一員として、仕入れ・商品開発・バイヤー業務にも携わっています。
様々な営業マンと日々対峙する中で、感じることがあります。
リモートで効率よく進める営業、実際に足を運ぶ営業。
商材の特徴、企業文化、営業スタイルは様々ですが、
最終的に問われるのは、
「この人となら一緒にやっていける」と思える信頼関係が築けるかどうか。
バイヤーとして数多くの営業現場を見てきて、こう思うようになりました:
- アポさえ取れればOK
- 取引スタートがゴール
- その場しのぎのクレーム対応
- 目先の売上だけを追いかける姿勢
そんな“本質を見失った営業”は、やがて継続ができなくなります。
商売の姿勢は、必ず現場の担当者ににじみ出る。
これは飲食業も同じです。
本質を見失った店舗は、スタッフの様子に現れ、商品に現れ、
信頼を失い、やがて売上も落ちていく。
だからこそ、私は仕入れ先・取引先を選ぶとき、
“信頼できる人かどうか”という視点を最も大切にしています。
もちろん『商品』そのものの価値も重要です。
しかし、本質からズレた経営が続くと、やがて商品そのものの品質まで下がっていくことも、何度も見てきました。
短い期間だったかもしれませんが、営業時代の原体験が、
今の自分の判断軸、そして“商売の本質”を支える柱になっています。