編集は『物語をつくる仕事』だった
大学の課題で、初めてドラマ編集を行った。短い作品だったが、「カットをつなぐ作業」だけではない、編集の奥深さに気付かされた。
カットは視点を作る
私は、今回のドラマ課題は、沈黙をどう見せるかがポイントだと思った。セリフがなくても胸の内で動く感情が沈黙のショットに少しでも滲み出ていれば、視聴者に引っ掛かりを与えると思ったからだ。
しかし、同じシーンでも、先生と私では選んだカットが違った。なんと言うか、プロの編集者が作った作品は「見やすかった」。
ここでワイドショットを使うのか、と、あえて引くことで見える世界があって驚いたり、人物のアップを使う箇所によって視聴者側の受け取り方が変わったり、編集する人による差異は興味深かった。
どのカットを選ぶか、は視点を選ぶことでもあった。
音楽は感情を高める
最初に素材を見たときは、派手な展開のある作品ではなく、静かな感情の積み重ねを描くドラマだと感じた。しかし後半部分にBGMをつけてみると、人物のセリフに説得力が増し、盛り上がりのあるクライマックスシーンに見えた。音楽は、かつて自分がどこかで感じた感情を呼び起こす。ただ、素材や脚本から受ける世界観と異なるものを選ぶと違和感が生じた。今回私はピアノソロを選んだ。静かな余韻が残るような、視聴者に押し付けない音楽を選びたかったからだ。どのような音楽をどの場面に挿入するか、で物語の印象は大きく変わると実感した。
編集は物語をつくる
カット編集、カラーグレーディング、サウンドデザイン、それぞれの過程で苦戦しながらも大きな学びを得たが、私はふと怖さも感じた。
編集は、素材を操れてしまう、つまり印象を操作できてしまうからだ。それでも、どう見せるかを選ばなければ映像作品にはならない。だから編集する際は脚本を読み込み、伝えたいことは何か、編集がその意図とずれていないかを都度確認し、何度も見直す必要がある。
そう思うと、今まで見てきたドラマや映画は、完成までの過程で各工程のプロが携わり、見せ方を追求し、突き詰めた結果の作品ということだ。それは当たり前だが、当たり前に受け取ってきたものの裏にある、『物語をつくる』仕事が細分化して見えてきた。
さて、課題を提出したが、編集の世界が少し見えただけ。まだまだこれから。
映像編集は技術だけでなく、「何を伝えたいのか」を考え続ける仕事なのだと感じた。これからも作品を作りながら、その感覚を少しずつ磨いていきたい。