これからのデザイン業界と、制作事業部のこれから
デザイン業界は、これから大きく変わっていく。
すでにAIによって、画像をつくる、文章を書く、動画を編集する、Webサイトをつくるといった、これまでデザイナーやクリエイターが時間をかけてきた仕事の一部が、急速に効率化されている。
これから先、AIはさらに身近になり、「つくること」そのもののハードルは下がっていくと思う。
そうなると、これまでのように「Illustratorが使える」「Photoshopが使える」「きれいなデザインがつくれる」というスキルだけでは、差別化が難しくなる。
もちろん、制作スキルが必要なくなるわけではない。
むしろ、良いものをつくるための基礎として、これからも重要だと思う。
ただ、それだけでは足りなくなる。
「何をつくるのか」
「なぜつくるのか」
「誰に届けるのか」
「どうすれば成果につながるのか」
こうしたことを考え、整理し、提案する力が、これまで以上に重要になっていく。
自分自身も、グラフィックデザイナーとして現場で制作をしながら、Webや動画など、さまざまなクリエイティブを含めて全体を見る立場になってきた。
その中で感じるのは、これからのデザイナーは「つくる人」だけではなく、「価値を設計する人」へ広がっていく必要があるということだ。
クライアントから依頼されたものをつくるだけではなく、その背景にある課題を理解する。
言われた通りにデザインするのではなく、本当に必要なものは何なのかを考える。
制作物を納品して終わるのではなく、その先にある成果まで考える。
そして、必要であればデザインだけではなく、Web、動画、マーケティング、AIなど、使えるものを組み合わせて解決していく。
これからの制作事業部も、そういう方向へ変わっていかなければならないと思っている。
これまで10年間、制作事業部には積み上げてきた経験がある。グループ会社との関係や、これまで培ってきた制作ノウハウも大きな財産だ。
ただ、これから先も同じやり方を続けていればいいわけではない。
「仕事をもらって制作する」だけではなく、「課題を見つけて仕事をつくる」。
「デザインを納品する」だけではなく、「成果につながるクリエイティブを提案する」。
「一つの制作領域に閉じる」のではなく、「必要なクリエイティブを横断して考える」。
そうやって、制作事業部そのものの価値を広げていきたい。
AIの普及に対して、正直なところ焦りはある。
今まで自分たちが時間をかけてきたことが、数分でできるようになる。これまで当たり前だった仕事が、当たり前ではなくなる。
それは、クリエイターとして少し怖いことでもある。
でも、だからこそ面白いとも思う。
「AIに何ができるか」ではなく、「AIを使って、自分たちは何ができるのか」。
ここを考えることが、これからのデザイナーには必要なのだと思う。
AIに制作を任せることで、単純な作業から解放されるのであれば、その分、人間にしかできないことに時間を使える。
クライアントの話を聞く。
課題を見つける。
アイデアを考える。
方向性を決める。
人を動かす。
成果に責任を持つ。
こうした部分は、これからもデザインの仕事として残っていくと思うし、むしろ重要性が増していくと思う。
だから、これからデザイナーになる人にも、制作スキルだけにこだわらず、少しずつ視野を広げてほしい。
「自分は何をつくれるか」だけではなく、「自分は何を解決できるか」。
その視点を持つだけで、デザイナーとしての可能性はかなり広がる。
これからの10年、デザイン業界は今まで以上のスピードで変化していくと思う。
その中で、制作事業部も変わっていく。
過去のやり方を捨てるのではなく、これまでの経験を土台にして、新しい技術や考え方を取り入れていく。
そして、AIに置き換えられる仕事を恐れるのではなく、AIを使うことで、これまで以上の価値を生み出せるチームを目指す。
これからのデザインに必要なのは、ただ「つくれること」ではない。
考えられること。
提案できること。
人とつながれること。
そして、変化し続けられること。
自分自身もグラフィックデザイナーとして、まだまだ学び続ける必要がある。
その変化を楽しみながら、これからのデザイン業界で必要とされる制作事業部をつくっていきたい。