水族館のクラゲと目覚まし時計
Photo by Grace Anne Bobadilla on Unsplash
こんにちは!城間勝行です。
薄暗い水槽の中で、あちこちへと形を変えながらゆらゆらと漂う水族館のクラゲ。そして、毎日決まった時間に正確な音を鳴らして私たちに朝を告げる目覚まし時計。一見すると対極にあるようなこの二つの存在ですが、実は私が歩んできたエンジニアとしての道のりと、不思議なほどに重なり合っています。
新卒で入社した大手企業での約八年間は、まさに精密な目覚まし時計の歯車を一つずつ組み立てていくような日々でした。数千人規模の人が利用する大きな業務基幹システムや、絶対に止まることが許されないアプリケーションの開発。そこでは、要件定義から保守運用まで一貫して関わりながら、一分の狂いもない正確さと、誠実で丁寧な設計を徹底的に追求しました。決められたルール通りに、カチカチと間違いなく動く仕組みを作る。その中で得た上流工程の深い知識と確固たる技術の土台は、今でも私のエンジニアとしての誇りであり、原点となっています。
しかし、独立してフリーランスとなり、スタートアップの企業とチームを組んでプロダクトを開発するようになってからは、私の前に広がる景色が一変しました。そこは、まるで自由に形を変えながら泳ぐクラゲたちの世界でした。市場のニーズや利用者の反応によって、目指すべき方向や必要な機能が毎日のように変化していく環境です。あらかじめガチガチに固まった要件など存在しない中で、少人数のチームでスピード感を持って動き、仮説検証を繰り返しながらプロダクトの姿を柔軟に変えていく。その混沌とした、けれど圧倒的なエネルギーに満ちた現場に、私は大きな手応えを感じています。
目覚まし時計のような確実な骨組みを作る技術があるからこそ、クラゲのように形を変える自由な開発をしても、システム全体が崩れてしまうことはありません。単に依頼されたコードを書くだけの作業に留まらず、ビジネスの視点から「こう変えたらもっと良くなるのではないか」という提案を積極的にチームへ投げかけること。それこそが、二つの世界を経験してきた私だからこそできる、最大の価値だと信じています。
確実性と柔軟性、その両方の良さを贅沢に掛け合わせながら、明日の世界を少しだけ便利にするための仕組みを育てていく。カチカチと進む時計の針の音を背中で聞きながら、今日もゆったりと、しかし確実なスピードで、まだ見ぬ新しいシステムの海へと漕ぎ出していきます。