【阪田和典】会議室では話さない、屋上で生まれたチームのアイデア
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ある日の昼下がり、オフィスの窓際の会議室で、私たちは新しいプロジェクトの方向性について議論していた。しかし議題は決まっているはずなのに、誰もが思考を押し付け合い、会話はどこか空回りしていた。結論が出る気配はなく、気づけば時間だけが過ぎていく。
そんなとき、ふと思い立ってチームメンバーと一緒に屋上に上がってみた。そこには街の景色と遠くの山並みが広がっていて、普段のオフィスとは全く異なる空間が広がっていた。風に吹かれながら私たちは自然とリラックスし、会議室では出せなかった本音や奇抜なアイデアが次々と口をついて出てきた。
あるメンバーが「もしプロジェクトが逆に失敗したらどうなるかを考えてみよう」と言った瞬間、誰もがその視点に引き込まれ、これまでの議論がまるで嘘のように整理され始めた。失敗の可能性を具体的に想像することで、必要なリソースやリスクヘッジが明確になり、自然とプロジェクトの最適解が見えてきたのだ。屋上という非日常の空間が、チームの思考を解放した瞬間だった。
私たちはそこから、会議室に戻らずにホワイトボードを広げ、アイデアを具体化する作業に取り掛かった。誰もが遠慮せず意見を出せる空気が生まれ、次々と議論は建設的に変化していく。普段なら議題に囚われて視野が狭くなる場面でも、屋上での体験がチーム全体の視野を広げたのだ。
振り返ってみると、成功の鍵は決して会議の進め方や資料の精度だけではなかった。環境を変え、思考の自由を取り戻すことが、チームの力を最大化するために必要なことだった。日常のルーティンに囚われず、ちょっとした工夫でチームの潜在力を引き出せる。それを実感した瞬間、仕事の楽しさが新しい次元で広がった気がした。
今後、重要な意思決定やブレインストーミングを行う際には、まず環境を見直すことを意識しようと思う。屋上の風の中で生まれたアイデアは、会議室の壁の中では決して出せなかったものであり、それこそがチームの真の力だと確信した。