京都を歩いていて、「あの古い洋館、なんだか気になる…」と足を止めたことはありませんか?
実は、そんな建物の中には、今もレストランやカフェとして現役で活躍している文化財がたくさんあるんです!
京都の世界遺産17ヶ所をすべて巡った私が、最近ハマっているのが「文化財の中でいただくごはん&スイーツ」。建物の歴史を知ってから味わうと、お料理がいっそう美味しく感じられました♪
今回は、実際に訪れた5軒をご紹介します!
歌舞伎の余韻に浸れる洋食店「レストラン菊水」
四条大橋のたもと、南座の真向かいにある「レストラン菊水」は、1916年(大正5年)創業の洋食店。現在の建物は1926年(大正15年)に完成したもので、当時の京都では珍しかった西洋建築として、国の登録有形文化財になっています。
近くには、江戸時代の芝居小屋にルーツを持つ「北座」の建物も。今は「北座ぎをん思いで博物館」になっています。
訪れたのは、南座で歌舞伎「曽根崎心中物語」を観た日。何度も前を通り、昔は打ち合わせで1階のカフェを使ったこともありましたが、建物の価値を知った上で入るのは初めてで、ワクワクしました!
席に敷かれた紙のランチョンマットには、昭和初期の四条界隈の写真が。なんと、四条大橋の上を路面電車が走っているではありませんか! 京都の路面電車が全線廃止になったのは1978年なのだそうです。
この日は「春の特別コース」(4,400円)を。穴子のマリネ、コーンスープ、イチゴのデザートなどが付き、メインは「フィレビーフカツレツ デミグラスソース」にしました。ソースとの相性が抜群で、思い出すたびにまた食べたくなる一皿です♪
レストラン菊水
京都市東山区四条大橋東詰祇園(南座前)
日本最古の手動エレベーターに乗れる「東華菜館 本店」
四条大橋を渡ってすぐ、菊水の対岸にあるのが中国料理の「東華菜館 本店」。設計したのは、学校や教会建築で知られるアメリカ人建築家のヴォーリズで、生涯で唯一手掛けたレストラン建築なのだそうです。
1926年竣工のスパニッシュ・バロック様式で、こちらも国の登録有形文化財。もとは西洋料理店でしたが、戦時中に洋食の営業が難しくなり、終戦後の1945年(昭和20年)に中国料理店として再開したといいます。
そして最大の見どころが、1924年(大正13年)に米国で製造・輸入された日本最古のエレベーター! 今も現役で、スタッフさんがレバーを操作して蛇腹の扉を開閉し、席まで案内してくれる手動式です。階数を示す針もレトロで素敵♪
案内された5階では、名物の具だくさんな春巻、チャーハン、青椒肉絲をいただきました。春巻は絶品! ちらりと見えた1階の内装も豪華で、また行きたくなりました。
東華菜館 本店
京都市下京区四条大橋西詰
「明治の煙草王」の迎賓館でアフタヌーンティー「長楽館」
「長楽館」は、1909年(明治42年)、「明治の煙草王」と呼ばれた実業家・村井吉兵衛が、国内外の賓客をもてなす迎賓館として建てた歴史的洋館です。現在は文化財にも指定されていて、ずっと訪れたかった場所でした!
案内されたのは「迎賓の間」の窓際席。まるで宮殿の一角にいるようなゴージャスさです☆
2階には歴史を紹介する展示コーナーがあり、村井吉兵衛が経営した「村井兄弟商会」が、1891年に日本初の両切り紙巻き煙草「サンライス」を発売したことを知りました。1894年発売の「ヒーロー」は、西洋式デザインのパッケージがハイカラだと評判になったそうです。
ちなみに「両切り」とは、フィルターのない、両端が切れた状態の煙草のこと。今の煙草とは形が違うんですね。
芳名帳には、伊藤博文、大隈重信、渋沢栄一、ロックフェラーといった錚々たる名前が並び、ここが国際的な社交の場だったことが伝わってきます。
テーブルのコースターは、当時の代表的な銘柄「PEACOCK(孔雀)」のパッケージ柄でした。
この日いただいたのは、桃とメロンのアフタヌーンティー。上品な甘さで、とっても美味しかったです♪
食後は館内を自由に見学。ビリヤードを楽しむ部屋だったという「球戯の間」はステンドグラスが美しく、「喫煙の間」は床のモザイクタイルが可愛い! 1階のギフトショップには、煙草の箱のようなパッケージのクッキーやジャムも並んでいました。
長楽館
京都市東山区八坂鳥居前東入円山町604
築112年の和風住宅で和カフェ「麓寿庵」
烏丸御池にある「久保家住宅(旧今尾景年邸)」は、1914年(大正3年)に建てられた日本画家・今尾景年の邸宅で、国の登録有形文化財。景年は明治から大正にかけて活躍した四条派の画家で、南禅寺の天井画などでも知られています。
この建物を活かした和カフェが「麓寿庵(ろくじゅあん)」。間口の広さからして圧巻で、都市部に残る質の高い近代和風住宅として評価されているそうです。
SNSでよく見かけていた、エディブルフラワーが浮かぶ「華わらび」の抹茶セット(2,000円)と、抹茶かき氷(1,750円)をいただきました。抹茶が濃厚で、見た目も味も大満足♪ 築112年の建物と庭園に、心まで癒やされました!
麓寿庵
京都市中京区六角通新町西入西六角町101番地
鴨川沿いの元老舗料亭旅館「LE UN 鮒鶴京都鴨川リゾート」
最後は、鴨川沿いのフレンチレストラン「LE UN(ルアン)鮒鶴京都鴨川リゾート」。1870年(明治3年)創業の老舗料亭旅館だった建物で、国の登録有形文化財です。もとは川魚業者が始めた仕出し屋さんで、現在の純和風の五層楼閣建築は一見の価値あり!
しかもここには、日本で2番目に古いとされる手動式エレベーターが今も現役。東華菜館が日本最古ですから、最古と2番目の両方を京都で体験できたことになります!
夏には、鴨川にせり出したテラスで川床ディナーを。空模様が怪しくなって途中から室内席に移りましたが、盛り付けの美しいコース料理(1人14,000円)は、柔らかいお肉もデザートも大満足でした!
LE UN 鮒鶴 京都鴨川リゾート
京都市下京区木屋町通松原上ル美濃屋町180
まとめ
日本の文化財保護は、1897年の古社寺保存法、1929年の国宝保存法に始まります。1949年(昭和24年)に法隆寺金堂の壁画が火災で焼失したことをきっかけに保護の機運が高まり、1950年(昭和25年)に文化財保護法が、1996年(平成8年)には登録有形文化財制度が生まれました。
今回巡った5軒のように、レストランやカフェとして活用されることで収益が生まれ、建物の保存・継続につながっているのですね。
私たちが美味しい時間を過ごすことが、京都の歴史ある建物を未来へつなぐ一助になっている。そう思うと、次の文化財ごはんも楽しみになりました♪