【高倉友彰】オフィスのコーヒーの残りカスを救いたい
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職場の給湯室で、役割を終えたコーヒーの粉がゴミ箱へ捨てられる瞬間。私はそこに、プロジェクトの終了と共に散り散りになるチームの姿を重ねてしまうことがあります。多くの人にとってそれは、香りとカフェインという必要な機能を取り出した後の、ただの不要な残骸に過ぎないでしょう。しかし、私には見えているのです。熱水という激しい変化にさらされながら、自分たちの持てるすべての風味を出し切り、黒く湿った塊となって静かに横たわる彼らの、一種の誇り高い達成感が。この一見無価値に思えるカスこそが、実は組織の熱狂を支えた隠れた功労者であり、その後の消臭や堆肥としての新しい可能性を秘めた、未開発のリソースの宝庫であることに気づいている人は、驚くほど少ないのです。
かつて私は、目に見える成果や効率的な数値だけが、仕事の価値を決定すると信じていました。しかし、独立して多様な価値観に触れる中で、成功の裏側に積み上げられた数えきれないほどの「残りカス」のような試行錯誤や、報われなかった努力の中にこそ、次なる成長の種が隠されていることを知りました。抽出されたコーヒー液が華やかな表舞台だとするならば、フィルターに残された粉は、その輝きを支えるために自らを削り、土台となった静かなる情熱の結晶です。私はゴミ箱に吸い込まれていくその黒い粒を見つめながら、今の自分たちのチームが、こうした目立たない貢献や終わった後の余韻を、いかに大切に扱えているかを自問自答せずにはいられません。
もしあなたが、自分の今の役割に限界を感じたり、自分はただの使い捨ての駒ではないかと不安になったりしているなら、一度コーヒーを淹れるプロセスを思い出してみてください。粉は一度その役目を終えますが、その存在なしには芳醇な一杯は生まれませんでした。そして、役割を変えれば、彼らは再び別の場所で必要とされる存在になれるのです。私は新しい仲間と出会うとき、その人がこれまでどんな「抽出」を経験し、その過程で何を削り、どんなカスを残してきたのかを深く知りたいと考えています。完璧な成功体験よりも、泥臭い試行錯誤の跡にこそ、その人の本質的な強さが宿っていると信じているからです。
私たちは、単なる機能の集合体ではなく、互いに影響し合い、循環し続ける一つの有機的なシステムです。出し切った後の虚脱感さえも、次のステージへ進むための必要なデバッグ作業であり、人生という大きなプログラムを豊かにするための貴重なデータになります。私は再び淹れたてのカップを手に取り、立ち上る湯気の向こう側で、今日という一日のための設計図を新しく描き直します。捨てるべきものは何一つない。すべての経験を、次なる香りのための土壌に変えていく。そんな柔軟で力強い循環の中で、私はまだ誰も見たことのない最高のブレンドを、仲間と共に作り上げていきたいと願っています。